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プロローグ その3

 異世界転移における最も重要なイベントの一つ。それが「ステータス」確認である。こういった異世界では自分の体力や攻撃力等が数値として表されているのがほとんどだ。また、基礎的な能力の他にも、スキルや固有のユニークスキルがかかれてあったりして、これらはレベルが上がったり、経験を積むことによって変化する。

 まるでゲームのようであるが、どちらも人の妄想である以上同じようなシステムがとられるのはおかしくない。

 そして、僕達が召喚されたこの世界でも「ステータス」は存在するらしく、それは「ステータスオープン」と言えば、空中にタッチパネルが出現するタイプのものだった。

 他の作品では、個人の血液を垂らしてステータスカードを作成するタイプも存在する。あれは読んでいて少し痛そうだが、これから命懸けの戦いに行く人からすれば関係ないだろう。


 さて、とにかく「ステータス」だ。これ次第で今後の展開が決まると言っても過言ではないどころか、そうならざるをえない。どれだけスペックが高いか、使えて強いスキルがあるか。この世界では強い者が有利に働く。そのため、この「ステータス」次第では今までの人間関係を全てひっくり返される可能性がなきにしもあらず。

 先に述べたようにこのクラスのリーダーは天道君だ。彼の周りには人がたくさんいる。そして、彼以外にも上位カーストに所属している人は人気があったり、一部から嫌われていても態度を大きくしていたりする。

 きっと彼らはこの世界でも皆の中心になって、頼られる存在でいなければならない。そのためには「ステータス」が並よりも優れている必要がある。弱ければ、使えなければ、人はついていかない。

 逆にだ。もしクラスの日陰者、具体的には高宮君が抜きん出て高スペックだったとしよう。誰も太刀打ちできないほどに強い場合を考えてみよう。人望がなく、周りから見下されている人物が一番強ければ、今まで下に見ていた人物が自分より強ければ。彼らの心情は火を見るよりも明らかだ。


 何度でも言うが、これは現実の話なのであって(現実味も何もあったもんじゃないが)、創作話ではない。当然ご都合主義など存在しないはずだ。元の世界でいくらスペックが高くても、いくらスペックが低くても、こっちの世界でもその通りとは限らない。


 だが、しかし。仮にこの世界が一つの「作品」だとして、シナリオが決まっているのだとしたら、このイベントにおける結果はきっとテンプレ通りになってしまうだろう。…………まあ、七割僕の妄想だ。


 とにもかくにも、「ステータス」を確認することには大きな意味がある。きっと皆は自分の「ステータス」がどんなものかを気にせずにはいられないだろうけど、僕にとって自分のそれは二の次、三の次だ。なぜなら僕にとって最も大事なのは、この先の展開なのだから。つまり、誰が主人公枠で、誰が外れ枠か、ということだ。外れ枠とか言ってる時点ですっかり創作話の設定を入れてしまっているんだけどね。

 それで、まあ、順当にいけば、この役に誰が当てられるかなんて大体予想がついてしまう。ただ、「異世界転移」のテンプレとして、外れ枠こそが真の主人公であって、主人公枠は後々に噛ませになるんだよね。いや、もちろんそれは、この世界を「作品」として捉えた場合であって…………


 うん、なんか考えるのが面倒になってきた。僕もさっさと自分の「ステータス」確認して、それでこっそり皆のも教えてもらおう。




「ステータスの説明は以上です。ご自分のステータスを確認した後は、そちらにいる者に報告をして下さい。」


 やっべ、説明聞いてなかった…………






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