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掌編小説集4 (151話~200話)

読み

作者: 蹴沢缶九郎

その日、鈴木は午前中の仕事を終え、ぼちぼち昼食にしようと定食屋に立ち寄った。何を食べようかと壁に掛けてあるメニュー表を見ていると、そこに誤表記を発見し店主に指摘した。


「オヤジさん、あそこに書かれてあるメニュー、『チャハハーン』になってますよ」


「あ、本当だ」


店主は苦笑いしながらマジックを取り出すと、『チャハハーン』と書かれてあった文字を『チャハーン』に訂正した。


「いや、オヤジさん、『チャハーン』じゃなくて『チャーハン』だよ」


「え、いや、『チャハーン』ですよ」


店主は当然のように言った。その後、店にやってきたサラリーマンが「オヤジさん、『チャハーン』一つ」と注文しているのを聞いた鈴木は、「自分が今まで『チャーハン』だと思っていたのは『チャハーン』だったのか」と衝撃を受けたのだった。


会社に戻った鈴木は、ハサミとエンピツを手に取り同僚に聞いてみた。


「これは何て名前だ?」


鈴木の妙な質問に怪訝な顔をしながらも同僚は、


「変な事を聞く奴だな。それは『ハサミ』と『エンピツ』だろ」


と、当たり前に答えた。同僚の言葉を聞いた鈴木は安堵のため息をつき、「バカな事を聞いてすまん」と午後の仕事に取りかかろうとしたところへ、上司が鈴木を呼んだ。


「おーい、『スゥズッキ』くん、ちょっといいかな?」


鈴木は、仕事を終えてからでも親に自分の名字の読みを聞こうと思った。

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― 新着の感想 ―
[一言] なるほど、そうきましたか。 私は、「ハサミ」と「エンピツ」が実は逆だった、というオチを想像してました(笑) ついつい、それまで上司に何と呼ばれていたのだろうと考えてしまいますが、上司はただ…
2016/05/07 20:22 退会済み
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