第一章 闇と光 第一話 唐突な別れ
主人公が登場し、話が少しだけ進みます。
※7/19 変更しました。
コーマ学園→ナタラ学園
第一章 闇と光
第一話 唐突な別れ
「ここが霊獣使いの学校で今日から僕の通う学校かぁ、実感がわかないや。父さんと母さんは楽しんでこいって言ったけどできる気がしないよぉ〜。ん?あと一人誰か忘れているような気が。気のせいか」
僕の名前は朝霧 針路、今日からここナタラ学園高等部一年に編入します。そして今日は一学期の始業式、周りを見てみると見渡す限りの人、人、人の人尽くし。
ここナタラ学園は初等部から高等部まで存在しているもはや街と言われても信じられる大きさを持っている。
そして、この学園で習うことは 霊獣の使役とその後である。
この霊獣と言われる生物は殺伐となってしまったこの地球で突然現れた生物で、なぜか貴族など位が高い人と契約する節がある。
ちなみに僕は霊獣と契約しているがとても一般的に生活していた一般人だ。なので貴族についてわかっていることは、貴族の証である十字の盾がかたどられたバッジを胸につけていることだけだ。
しかし、周りを見てみると貴族ばかりで一般人が僕しかいなかった。だからかは知らないが、周りから軽蔑の目で見られたり冷ややかな視線を浴びたりしている。それでも僕は耐えなければならない。ある目的を果たすために。
ところでなぜ編入なのかと言うと、入学式があるのは初等部だけで、後は持ち上がるだけだからだ。ちなみに卒業式はこの高等部にしかない。
不安になってしまった僕は「僕、大丈夫なのかなぁ、御霊?」と僕の契約している霊獣である肩に乗っている1羽のカラスに話しかけた。
ここでまた霊獣の説明に戻るが、全体の内約60パーセントが陸上動物で25パーセントが海洋生物で、14パーセントしか飛行生物の霊獣が存在しないので、僕の御霊は珍しい分類に入るのだ。
ちなみに残りの1パーセントは、世界中全ての人口の内たった一握りしか所持していないと言われるほど珍しいカテゴライズ 神獣だ。
この神獣というカテゴリーは王族のものの中でもほんの一握りしか所有せず、普通ならあるはずの使用回数がないというものだ。
で、話は戻るとしよう。話しかけたはいいが御霊は「カァ?」とひと鳴きしただけだった。
そしてしばらく歩くと学園に着いた。うっひゃー、今日からここで学べるなんて、なんかわくわくする。そしてクラス表を見てみると僕のクラスはBクラスだった。
ちなみによく見てみるとクラスは1年がAからLでの12クラスで、2年生がAからGの7クラス、そして、卒業過程の3年生がAからCの3クラスしかない。
クラスを確認すると自分のクラスにへと足を進めた。後ろでニヤニヤした5人組の貴族に気づかないままで。
クラスに行ってみるとやはり非難の視線を浴びせられた。座席表で自分の席を確認してから「僕、体持つのかなぁ?」と思っていると隣から
「あ、あの。」
ととても小さな声が聞こえてきた。まぁ、気のせいだろうと思っていると一旦離れたかと思うとまた戻ってきて
「あ、あの朝霧君。」
と行ってきた。どうやら先程一旦離れたかのは座席表で僕の名前を確認してくるためだったらしい。まぁ、呼ばれたので隣を向くとそこには花の妖精とでもいえるようなとても可愛らしい女の子が1人いた。そして、彼女の胸元を見てみると、そこには花の形を型どったバッジがついていた。
花ということはこの娘王族!?でも今まで振り返ってみてもこんな可愛らしげな娘と親しくしていた覚えなんかないしなぁ、などと思っていると目の前の少女が意を決した顔をしたかと思うと、口をパクパクさせた後
「あ、あの私ロミナ・ライト・ネハーレンというものです。よろしくお願いします。」
と挨拶をしてきた。挨拶をしてきたのでこちらも返すべきかなと思ったので
「こちらこそよろしく、僕の名前は朝霧 針路呼びやすい呼び方でいいよ。」
「で、ではこちらもロミナでいいです。・・・・・・針路さん。」
いや、僕としては別にそう呼んでもいいんだけどその「キャッ。」というような仕草はやめてくれないだろうか。周りの視線がまた強くなったよ。それも男子生徒のものが。
しばらくすると始業式が始まった。そして僕たちのクラスの担任が決定した。
どうやらカマキリの霊獣を従わせているサンバル・ロンドベル先生みたいだ。その後、長い学園長の話が終わり、今日の学校は終わった。
僕の実家からこの学園まで結構距離があるので僕は学園備え付けの寮に入ることとなった。だが、この寮というものは2人ようなのである。なぜかこの学園にはトイレと風呂以外全て男女一緒なのだそうだ。
その理由は学園長曰く
「男女平等の社会の今、男女の垣根を無くし、交流を深めることを第一とする。まぁ、さすがに風呂とトイレはまずいがな。」
などということだそうだ。いや、その理屈でいうなら男女同じ部屋もアウトでしょ!?と思っていたが、どうやらこの寮は自分たちで同居人を決めるとのことらしい。ロミナは近くに別荘があるらしいのでいない。よって誰からも誘われることなく1人で2人部屋を使うことになった。
自分の部屋へ向かっていると同じ色の柄のない生徒錠(学年が色、柄は初等部が縞模様、中等部が水玉模様、高等部が柄なしとなっているこの学園の生徒であることを証明するもの)をつけている銀髪ストレートの少女が通った。その隣には真っ赤な髪のサイドテールの少女がいた。あんな娘始業式にいたっけ?だが、今日は明日に備えて眠れ!という睡魔に負けて寝るために自分の部屋へ向かった。
「ん?今の気配は。」そう言うと振り向いて今通った奴を見た。正確に言うならその肩に乗っているカラスを、だ。「あいつらと戦ったら楽しそうだな。クイナ。」そう銀髪の少女が言うと赤髪の少女はコクリと頷いた。
そして、翌日朝起きるとまず昨日もらった日課表で今日の日課を揃えて朝食を取ると学生服に着替えて学校へと向かった。むろん肩に御霊を乗せて。
午前の授業はなんとか理解できるものだった。まぁ、いくら霊獣について学ぶ学校とはいえ普通科目も普通に行われている。ちなみに今日は数学Ⅰ、現代国語、古典、数学Aだった。終わってからよく考えてみると国語と数学しかしていない。誰だこんな日課考えた奴、出てこい。
そして昼休みになった。なので僕はダッシュで学食に向かった。この学園の学食は生徒錠を見張りの人に見せることで無料で使用することができるのだ。なので僕は手早く好物である肉じゃがが入っている和風定食と御霊用に御霊の好物である魚肉ソーセージを注文し、トレイに乗せてもらってごったがえっている食堂の席をなんとか確保することができた。にしても相変わらず上品に少しずつ食べてるなぁ、御霊。次の授業はいよいよ戦闘実習かぁ、御霊にもがんばってもらわないとな。
このときの僕はまだ知らなかった。御霊とこのように食事を取るのが今日で終わるということをまだ知るよしもなかった。
昼食を食べ終え、皿等を下げて教室に戻ろうとした帰り道、先程の銀髪の少女と赤髪の少女の2人がいた。その隣を通り過ぎようとしたところ、銀髪の少女が
「ねぇ、そこの君、私達と戦ってみない?」そう言ってきたので不思議に思い横を見るとその少女はまっすぐに僕を向いていた。
だが、僕は校則を思い出したので
「私闘は禁止になっているはずだよ。校則でも、世界共通のルールでもね。」
そう答えたが、返された答えは意外なものだった。
「あなた知らないの?この学園でも、ルールでも私闘は禁止にされているけれど、お互いの合意と先生の許可を貰った決闘は許されるのよ。」
そんなことあったのか!?だったらまぁ、別に断る理由もないし
「別にいいんだけど、いつ?今から授業なんだけど。」
「じゃ、明日の午後11時55分にコロシアムで、それまでは絶対に生きていることね。」
そう言うと2人の少女は僕と反対方向にへと去って行った。
その後,教室に戻る途中、後ろから通り過ぎてきた五人の男子がささやき声で、しかも僕にだけ聞こえるように順にこういってきた。「頭に乗りやがって。」
「調子に乗ってんじゃねぇ。」
「美少女3人ともう仲良さげにしやがって」
「次の授業楽しみにしてろ。」
「確実にテメェに恥をかかせてこの学園から追放してやんよ。」
などと言ってきた。疑問に思いながらも授業の準備を済ませてコロシアムへと足を進めた。
先程の五人の言葉が本当になるとは知らずに。
さて、いよいよ本日最後の授業になる三時限ぶっ通しの戦闘実習が始まろうとしていた。どうやら一学年合同でするらしい。
しばらく待っているとやっと教科担任のコガネ・ムラマサ先生がやって来て、授業が始まった。どうやら最初の一限は説明や諸注意などを説明し、次の一限で1人での自主練習とその日の班決め、そして最後の一限で実習開始となるらしい。
それがわかると説明が始まった。
「皆さんに今回行っていただく課題は二つあります。ですが、その前に二つほど注意事項があります。一つは決闘以外で相手に直接攻撃しないこと。これはもし生身の体に当たってしまうと相手が最悪死んでしまう場合があるからです。ルールでは罰されませんが、先生は問答無用で罰します。もう一つは意図的に相手の霊獣を消滅させることです。もし自分の霊獣がいなくなってしまうとこの学園での授業全部が受けられなくなるので、この学園から追放されます。普通あり得ませんが自分の霊獣がいなくなったその日中に別の霊獣と契約を結んで登録しな背ばまぬがれます。では、諸注意が終わったところで今日の課題を説明します。」
今日の課題というものは霊獣と武器を融合させる速度の上昇とその霊獣の力の行使だった。
僕はその両方ともできるが、まだ練習して見ることにした。ちなみに班は誰とも組めなかった。なぜならロミナはもう既に誰かと組んでいて(なぜか僕に申し訳なさそうな顔を向けていた)、あの銀髪の娘と赤髪の娘はどうやら決闘のときまで相手のことを知らないようにしているみたいだった。
そして、しばらくして最後の実習の時間がやってきた。どうやら決闘の形式で行うようだった。僕の相手はどうやらあの五人組のリーダー角みたいなやつだった。しかもニヤニヤと笑っていた。
そして、先生の「はじめ‼︎」という号令がかかり、実習が始まった。
僕は自分の武器である刀を取り出すと僕の相手である…名前はサヴァーとかいう奴だそうだ…が僕の刀を見るなり
「ほぉー、貴族でもないのにWBN《※》でできた刀か、お前には勿体無いな。俺によこせ。いや、まてよ、その刀を貰うということはそのザコそうな霊獣もついてくるのか、じゃあいらねぇわ。ギャハハハハハハハ。」
などと言いながらやつの獲物であるコンバットナイフを取り出した。そして、そいつの霊獣も姿を現した。
どうやらモデルはサイらしい。とんがった角印象的だ。そして、僕とサヴァーが同時に霊獣と武器を融合させ、実習が始まった。御霊の能力は《知識上昇》と《夜目》である。
知識上昇は一時的に知力を底上げするというもので、夜目は今は意味がないが、暗いところでも昼間のように見えるようになるというものである。
一見使えそうな能力だが戦闘ではあまり使えないのだ。
そうとわかっていながらも御霊を使い続けている理由は、まだ生きていた両親に僕が生まれたときと同時に霊獣になったと聞いたからだ。
当時の僕は生まれることができないかもしれないと言われていたのに、たまに家の畑に来てはなぜか畑を荒らそうとしてしているイノシシや猿などを必死に追い出そうとしたり、そのことを家のものに伝えようとしていたのだ。
ある日遂に猿に噛まれてしまい飛ぶことがままならなくなっていたところを当時の両親が拾い、看病したそうだ。
その頃に食べさせてもらっていた魚肉ソーセージが好物になったそうだ。ちなみにその頃から既に少しずつ食べていたらしい。
だが、僕が生まれた日、誰もが僕のことを諦めようとしていたとき、そのカラスはなんの前触れもなく息が途絶えてしまったのだ。
そして、その直後、そのカラスは霊獣になる前の光を輝かせ、僕が無事に生まれたのだ。
奇跡を同時に二つも起こしたそのカラスの命を尊重して親族のみんなが霊獣となったそのカラスの名前を御霊と名付けたそうだ。
そんな御霊と初めて融合に成功したのは4歳、能力を引き出したのは7歳のときだ。
そして今、御霊とともに実習での戦いを実戦する。相手はサイの霊獣を従えるサヴァー、その戦いが今はじまる。
「ハァァァァ!!」「オラァァァ!!」まずお互いに武器での打ち合いで始まった。お互いにその全ての攻撃を受け切るとザヴァーが能力を使った光を発した気がしたが気のせいだろう。
それからしばらくの間打ち合いが続き、周りがどんどん終わってゆき残っていた僕とサヴァーの実習を見物していた。その中にはロミナと僕に決闘を申し込んできた内の赤髪の方がいた。それを確認したのかザヴァーの口がニッと笑い短剣を僕に振ってきた。
さっきよりも速い。
そう思ったが時は遅く、既に僕の刀をかすめて心臓部近くまで短剣が近づいていた。確かにこれなら偶然を装える。もう死ぬのかと思いながら目を閉じた。その時「カァ」と鳴き声がしたと同時にドスッという鈍い音と周りから叫び声が聞こえてきた。目を開けて見てみるとそこには
「御霊」
短剣に突き刺された状態の御霊がいた。
※高温、高圧の火山の噴火によって形成され、ダイヤモンドよりも18%高い圧力に耐えることができ、燃えにくく、圧力がかかると結合の一部が90度ほど回転することにより応力を緩和し、破壊されにくくする鉱石。
次回の投稿は早くて3日後になります。