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パンツァーリート  作者: 明三
第一章
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プロローグ-帰投-

訳のわからんなんちゃって文章ですが宜しくお願い致します。

20XX年7月19日-日本-○○駐屯地-






その日の午後、突然の猛烈な豪雨に見舞われていた。








近年、隣国軍がこの国の領土を不当に占拠したり、領海を侵したりとあまり平和的ではないきな臭い出来事が多々起こっているのは周知の事である。


そのこともあって、今年は訓練の回数が例年より多く予定され、先月には海外の同盟国の広大な軍地での大規模な演習も行われた。



この国は平和国家であるため、戦力は保持していない、代わりに国防の為の自衛手段として自衛隊を置いている。


自衛隊は国の防衛を主たる任務とし、それ以外にも公共の秩序の維持にあたるものとされている。

細かく言えば文頭でいった国防の防衛出動に加え、公共の秩序維持として治安出動、その他には災害派遣や海外派遣などがある。


国防での必要最低限の実力組織でありながら、海外からは、その練度や各装備、車両、航空機、艦船等の性能の高さから、かなりの高い評価をえている。


そしてその日も自衛隊の訓練があり、それを終わったのを見計らった様に突然降り出したのだ。










そんな雨が降りしきる中、演習で出張っていた戦闘車両や、装甲車両が舗装されていないぬかるんだ泥道をものともせず走行していた。


その暗く閉ざされた空に電が走る。








「演習中に降り出さなくて良かったですね。」



ある砲手がそういった。



「全くだ…!」



いつもは「私語を慎め!」とか言いそうだが、今日に限っては心底そう思っているような口ぶりで幹部…車長がいった。



「台風が近付いてるなんて予報なかったのになあ…!」



この車両は車長・砲手・操縦士の3名で運用される。

声をはりあげてお互いが会話しているのは、

ひとえに数十㌧からなる車体を動かす高出力の発動機から大層な音がするため自然と声が大きくしなければ相手に聴こえないからである。



(また光った…)



車長が潜望鏡から外の様子を伺う。


入隊して何十年という人生を自衛隊で過ごしてきた車長でも、未だかつて演習でこれ程の荒れようは体験した事は無かった。



「よりにもよってこの日とはなぁ…『走るコンピュータ』は壊れないか?」



車長の言葉に砲手が苦笑する。



「そんな事ありませんよ!なんせ国産の最新鋭の『10式(せんしゃ)』ですから!」



そう言えばコイツ…ミリオタだったな…と車長は思い出した。



「 全長 9.42m、全高 2.30m…総重量約40tと他国軍の保有するMBTと比べても軽い!

そして世界の主力戦車中、加速力と速度、旋回能力共に世界最速!スラローム走行に超信地旋回、ドリフト、スピーンターンだって御手の物!乗ってて分かりますけど74式より遥かに駆動音もちっさいですし…。

主砲は44口径120mm滑腔砲…しかもライセンス生産ではなく悲願の日本製鋼所製国産!

副武装には歴戦の12.7mm重機関かっこ狙撃銃M2と、主砲同軸は……、あまり宜しい噂を聞かない74式7.62mm機関銃。

ですが!複合装甲で90式と同等に硬いんですよ!?…海外からは「いつタンクがロボットに変形するんだ?」って言う位の日本の誇るハイテク技術の結晶ですからねー…ってもまぁ側面が弱いらしいいんですけどね、けど! 頭と横と底とケツが弱いのはどの戦車でも同じですからねっ!って!それはほぼ全部じゃん!!

けどそれに追加の装甲もつけれますし、それでC4Iシステムなんですが…!!!… 」



(また始まったか…)


何年も一緒にいると分かってくるのだが、

この砲手…、

一度趣味の話に火がつくと止まらない。

それこそ、この車両の頭についている機関銃の銃弾の如く吐き出される。


そしてその弾は聞いている相手の精神を正確無慈悲にゴリゴリと削っていくのだ。


本来ならこのような場合、注意すれば良いのだが、なまじ今回の話の種をまいたのは自分であったのがいけなかった。



ちらりと操縦士を見ると苦笑いを浮かべていた。



車長はため息をつき適当に相槌をうちながらそんな、砲手だけにマシンガントーク…を聞き流し辺りを見回す。


と、突然…










!!!!!!!!









「ッ!!?」



衝撃で壁にぶつかる。

さっき一瞬だけ見えた強烈な光…あれは、



「ッ!!…落雷か!!!大丈夫か!?」


「大丈夫です!!変態戦車ですからこれくらいビクともしません…!!」


「いや、戦車じゃ無くてお前の心配をしているんだが…、」



しかし、この分だと大丈夫だろう。

結構な衝撃だが計器には異常なさそうだ。



「一応、計器異常確認!確認急げ!」


「車長!!」



今まで操縦していた操縦士が悲鳴を挙げた。

 


「どうした!?」


「操縦が利きません!!勝手に動いています!!しかも前にはあれが…」


「何!?」



なりふり構わず前を見る。

そこには…




『闇』の世界があった。




さっきまで前にあった道が180度黒で塗りつぶされた様に黒い。暗いではなく黒い。まるでそこから先は太陽光に照らされていないかの様に黒い。しかもその先が分からない。



「な、なんだあれは…、」


「しゃ、車長このままではあこに突っ込みます!!」



車長は止まった思考をフル回転させ、この状況打開策を探る。

車長は、伊達に戦車長と呼ばれていない。こんな時でも己を沈め、冷静になり考えられた。


この最新鋭の戦車を放棄するか…いや、あれが何か分からん以上突入するわけには行かない。

もしかしたら道があるかも知れない。

いや、なんだかわからんがあれは危険な気がする…人命を第一に考えねば…良し!


車両を放棄して退避…!と言おうした次の瞬間…






 …オリロ…、





「なっ!??」



身体が淡い光に包まれた。



「車長!!」



あたりを見ると他の隊員も謎の光に包まれていた。

どうにかここから逃れようともがくがどれだけもがいても光を振り払う事は出来ない。




と、突然視界が切り替わり冷たい感触が肌を襲った。


暗い視界、泥濘んだ足下、上からの連続的に降ってくるのは…





雨だった…。





後続の車両から慌てた様子で隊員が駆け寄ってくる。

先程まで車内だったのになぜ……


視線の先はなんの変哲もない不整備の道。先程の『闇』はもう無い。


あれほど曇っていた空は雨が止みつつあり、所々日が差してきていた…。







車長は呆然と今まで黒かった道の先を見つめていた。




「何だったんだ…今のは、それに最後の声は…」



ふと下を見ると今まで乗っていた戦車のものと思われる履帯の跡が残っていた。


目を進め、履帯のあとを辿るとそここら先はそれまでくっきりとあった跡が切り取られたかの様に無くなっていた。



自分たちが今まで乗っていた戦車は突如として、その姿を消したのであった。
















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