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覗き見できる頭の中は

作者: 衣乃 城太

 この世の中はしばしば狂っている。昔の人々はそんなことなかったらしいが、いつからかこんなことになってしまった。

 進化とは人を腐らせる。幸せにせず、堕落させる。

 繋がりを断ち切り、誰もが心を失う。

 彼らがまず排除するのは、進化できなかった彼らの言うところの下等人類だ。

 つまりは、私だ。

 私は世界で唯一進化に対応できなかった人類。世界最後の下等人類だ。

 私の思考は進化した彼らにとっては呼吸をするように読み取れるものだ。

 そう、彼らの進化とは思考の読み取り。サイコメトリーだ。

 ゲームには負け、仲間にはいれてもらえず、誰とも何もない。世界からの拒絶。

 私の考えは彼らに分かり、彼らの考えは私には一生分からない。

 この理不尽を受けて、私の頭がおかしくなるのに時間はいらなかった。

 回りを睨み付け、ただ何も考えず、考えたとしても『殺す』か『死にたい』のどちらかだった。

 私はこの年まで生きたが、もちろん家族など持てるはずもなかった。面白い観察対象として近寄って来た人間もいた。一度ムカついたので辱しめを受けさせてやったが、そいつはなぜか嬉しそうだった。変態か。

 いつしか私の回りには観察する人間が増えた。子供にまで私の姿を観察させるやつがいた。この世は末期だと、頭では思わずに思う。

 私はそろそろ死ぬのだろう。その時には観察者共が私の事を記録してくれるはずだ。『最後の下等人類、死ぬ』なんてパンダみたいにニュースになれば面白い。

 ああ、くそ食らえみたいな人生だなあ。」








「・・・・・・でね、向かいのおじいさん、ついに亡くなったそうよ。最期は家族全員に看取られたんですって。」

「奥さんも大変だったわよねぇ。幼なじみで。」

「あのおじいさんずーっとぶつぶつぶつぶつ何か喋ってるんですもの。」

「頭に障害があったのよ」

「献身的介護ねぇ。」


はい、衣乃城太でございます。講義中に思いついた自分の被害妄想を小説にした物です。一応ハッピーエンドなんでしょうかね? 自分もハッピーに終わりたい物です。

衣乃城太。

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