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契約をして、2か月が経ったある日、

キッチンからフライパンが落ちる音がした。


「どうした!?」


あわててキッチンへ向かう。


そこには座り込み、ぐったりしている橋本さんの姿が。


「大丈夫か!?」


青い顔をして、小さな声で、


「大丈夫です」


と言われる。


どう考えても大丈夫じゃないとは思うが、


「後、1品だけなので・・・すみません」


それ以上は何も語る気はないようだった。


よろよろ立ち上がる彼女をキッチンに残し病院に電話する。


料理をだいぶ食べた頃、インターホンが鳴った、医者だろう。


俺は医者を迎え入れ、橋本さんを診て欲しいと告げる。


「え?そんな事して頂く事はできません」


「もう医者を呼んだ、費用はこちらで持つ」


戸惑う彼女を無理やり医者に診せる。


彼女が戸惑うのは当然だ、本当はここまでする必要はない、

ただ、彼女に何かあれば・・・と心配で、

こうしなければ気が済まなかった。





「過労か・・・」


医者の診断結果を受け、俺は考える。


そして、彼女の事を調べ上げた。


彼女の父親はどうしようもない人物のようで、

仕事もせず酒浸りで、時々暴力も振るう。


母親はそんな父親に愛想をつかし家を出て行き、

橋本さんとその妹は叔母に引き取られ、

養女となっている。


叔母の家には大学生で他府県に住んでいる息子がおり、

その仕送りもあり叔母の家庭にお金に余裕がある訳ではない。


なので、妹と二人分の生活費を橋本さんが叔母に払っている、

それどころか、妹さんの高校費用も橋本さんが出している。




お金の為なので・・・




彼女の言葉が重みを持って感じる。


彼女は妹さんの為に、自分は高校を辞めてまで働き、

生活費を稼いできたのだ・・・


俺の家政婦の他にも、飲食店を掛け持ちして、

これでは睡眠時間は5時間ぐらいしかないだろう。


休日も図書館で料理本を読むとかしていたらしく、

休みらしい休みもない。


この報告書を見て、俺は決意をした。

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