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「とにかく色目を使ったり、迫ってこない女でよろしく!」


そう少しイラつく声で言って、電話を切る。


これで何度目だ?えっと4度目か・・・


家政婦を雇って夕飯を作ってもらっているのだが、

こどごとく色目を使われ、迫られている。


まあ、そこそこ儲かっているファッション会社の

社長令息で29歳の結婚適齢期、しかも3男となると、

女性からしたら、良い獲物かもしれない。


自分で言うのもなんだが、まあまあ顔もいい方だと思う、

これも拍車をかけているのだろう。


そうやって過ごしていると、

次の家政婦という女性がやってきた。


「橋本楓です、よろしくお願いします」


白のカッターに黒のスーツ風のズボン。

いかにも仕事といったきりりとしたメイクをした

整った顔立ちの若い女だ。

実際年は24歳だと家政婦の紹介文にあった。


「大丈夫なのか?」


失礼と思いながらも、ついつい聞いてしまう。


「お話は聞いています、私は大丈夫です」


そう断言され、ならと料理を作ってもらう事にした。


「好きな食べ物はありますか?」


「だいたい何でも食べるよ」


「それじゃ困ります、好みとかできるだけ細かく

 教えて欲しいんです」


「と言われてもねえ、家庭料理だけど、

 小綺麗に盛られていて、そこは外食みたいなのがいいかな」


「そうですか・・・」


と少し困った顔をされた。


何でもいいと言っているのだ、喜ぶ所では?と思う。


「味付けは?」


「良く分からん、任せる」


困った顔を通り越して、真顔になっている。


俺はそんな困った契約者か?


「アレルギーや苦手な食材はありませんか?」


「ないな」


そんな風にお任せして、橋本さんはキッチンへ向かった。


そして出来上がった料理を口に運んで、

思わず叫ぶように言ってしまった。


「滅茶苦茶美味しいじゃないか!」


「良かったです」


「盛り付けも綺麗だし!

 やっぱ見た目って重要だよな~」


食べ終わって、食器を洗おうをしてる橋本さんに向かって、

声をかける。


「料理はマジで気に入った、

 聞いていると思うが、今まで何人か迫られて

 辞めさせている、それだけは気をつけてくれ」


「その心配はありません」


きっぱり言い切られて、おや?と思う。


「自信あるんだな」


「報酬のお金しか興味ないので、

 迫って仕事を無くすなんて馬鹿な事はしません」


そうはっきり言うのを聞いて、

結局お金かと、少し冷めた目で見ていた。

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