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「大っきいマンション」


指示されたマンションに到着して、思わず呟いてしまった。


私は橋本楓、24歳。

派遣食卓事業部、つまり家政婦の食事担当の仕事をしている。


家政婦を雇うなんて、大概がお金持ち、

しかも、私の働く「株式会社SATOU」は、

出汁は昆布とカツオから取ってくれないと嫌だとか、

夕飯は和食、作り置きは中華でとか、

ズッキーニは嫌いだけど、ナスは好きとか、

とにかく細かい依頼にも対応するというのがウリだ、


仕事は、調味料はその家庭にある物、

食材も冷蔵庫にある物を中心にしないといけないので、

センスも問われる。


かなり、難問も多い仕事だが、

その分他の家政婦より断然給料がいい、


採用試験では、1時間以内に、

指定された5つのリクエストを叶えて、

5品作って、見事に採用された。


母親が働いていたので、中学生の時から、

夕飯は私が作っていたし、

高校入学してすぐ、近所で懐石も出す店で、

調理の仕事をしていたのも、良かったと思う。


事情があって、高校は2年の最初の方で中退している。


今は平日はこの家政婦の仕事、だいたい一日に5家程作って、

休日の午前中は図書館で料理の勉強、

午後1時から5時まで、最初にバイトした店で仕込みの手伝いをしている。


家政婦の仕事は、雇い主からクレームが入れば、

解雇もあり得るので、腕を磨く事は止められない。

完全に安定ではないが、

実力を評価して給料に反映してくれるのでありがたい。


今までの経験、勉強の成果もあって、私の雇い主の評価は高く、

こんな依頼なんかも来る訳だが・・・


「自分に迫らない女性希望ね・・・」


今まで料理のリクエストには散々応えてきたが、

このリクエストは初めてである。


上司にも、両手を合わせて拝まれてしまった。


お金持ちを相手にするので、

清潔感があって、好印象なメイク、服装して下さい、

と入社当初から言われている。


お金がないので、メイクなんて・・・

と思っていたが、今では見た目も大事だと感じ、

ピンと背筋が伸びる感じを感じる為にも、

しっかりとメイクをしていえる。


しかし、今回はそれ以上にメイクに気を使う、

色気は最小に、少し堅苦しいぐらいに、

でも愛嬌はあって、なれなれしくはなく・・・


料理の派遣なのに・・・


と思いながらも、真剣にメイクをした顔をきりりとして、

マンションに足を踏み入れた。

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