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光の精霊元首と魔法

誰もが、その光景を見て固まった。

 美しい白い翼は、風に吹かれた桜のように、緩やかに天に昇りながら消えていく

全ての羽根が消えると、ミラは崩れるようにしてその場に座り込んでしまった

「ーーーっ!大丈夫ですか!?」

即座に、エミリーは惚けていた気を立て直し、ミラの元へと駆け寄る

ミラは荒い息を吐きながら答えようとするも、声が上手く出ないのか、口をパクパクと動かしている

「救護室に連れて行きます!属性調査はそのまま続けてください!」

「エミリー先生、私も付き添います!」

「ありがとうございます、エリアス先生!」

エリアスと呼ばれた教員に背負われて、ミラは通路の奥へと消えていった

「・・・・・」

「・・・・・」

水を打ったように、講堂は静まり返る

「・・・今のって」

「んじゃ、続き始めるぞー」

その静寂を、気の抜けたソフィアの声が切り裂く

「え〜と・・・あ、Bクラスはアイツで最後か。じゃ、Aクラスの・・・ーーーアシェル・フェルストス!」

「っはい!」

何事もなかったかのように進行をするソフィアに、周囲は困惑しつつも、教師陣から放たれる「何も言わずに続ける」という空気に呑まれ、皆押し黙った

「手順は分かってるな?水晶に魔力込めてじっとする。それだけだ」

「分かりました。」

エミリーが見れば秒で指導が入りそうな雑さを気にせず、アシェルは水晶に手を置く

深く深呼吸をして、静かに、魔力を流し込んでいく

クレアは義弟の召喚がうまくできますようにと、手を合わせて必死に祈っている

集中するアシェルの足下に、風が渦を巻く

その渦は次第に大きくなっていき、やがて小さな竜巻が、講堂の中に出現する

ビュウビュウと荒ぶる風の音に混じり、子供のような小さな笑い声が響く

ゆっくり、ゆっくりと竜巻は小さくなっていき、アシェルの体に収まるようにして、消えていった

「・・・・よし、オッケー」

長い灰色の髪が逆立ったソフィアが、のんびりという

「えーと、今のは風の・・・精霊()()か。」

『精霊元首!?』

生徒、教師陣が目を剥き、綺麗に揃った声を出す

「え、精霊元首が召喚されたっては・・・」

「今代の風の愛し子って・・・アシェル様!?」

「ああっ!さすがですわアシェル様ぁっ!」

周囲が騒ぎ始め、アシェルは困惑しながらもどこか安心したように魔法陣から出る

「アシェルーっ!!」

「ぐぉふっ」

クレアは助走をつけて飛び付き、正面からまともに受けたアシェルは変な声を出して倒れる

「すごい!すごいわアシェル!さっすが私の弟よ!大好き!」

「義姉さんっ近い近い!ちょっと離れて!」

「そうですわクレア様。お体が汚れてしまいますわ」

やいのやいのと騒ぐレイラ達を見つめながら、壁の花を決め込んでいたエマはぼそりと呟く

「・・・・・・あれって・・・」


その後も、奇跡が続いた

レオは兄のテオ第二王子の炎の精霊元首と並ぶ、炎の最上位精霊を召喚し、エレノアは植物の最上位精霊を召喚。

いずれも周囲は歓喜し、講堂は興奮の空気に包まれる

「っじゃー次は・・・レイラ・フェルストス!」

「はいっ」

緊張の面持ちで、レイラは魔法陣の上へと入っていく

「義姉さーん!焦らずにやるんだよ!」

「レイラ様!魔力を爆発させないように!」

「落ち着けよー」

「分かってるって!大丈夫よ!」

友人(ほごしゃ)応援に応えて、レイラは深呼吸をして水晶に手をかざす

水晶に魔力が流れ込み、淡く光を発する

集中しているのか、レイラは目を瞑って眉間に皺を寄せ、周囲は興奮と期待の入り混じった顔で静かに見守っている

シン・・・と講堂は鎮まりかえる

「・・・・、」

その音に一早く気づいたのはエマだった。何かガラス製の物にヒビが入ったような、高い、耳につく音

音はだんだんと大きくなっていき、生徒も周りを見渡す

ミラの時とは違う、何か不穏な音に不安の顔が隠せていない

割れるように音が大きくなり、誰が発狂してもおかしくないような空気になった時、不意にその音が止む

レイラの方を見れば、足元に黒いモヤが巻き、ゆっくりとレイラを覆っていく

三人は今にも飛び込みそうな態勢で、じっと固唾を呑んで見守っている

モヤがレイラの全身を包み、大きくなっていく

そのモヤはいきなり回転をやめたかと思うと、今度は空気を入れた風船のように膨らんでいく

どんどんと大きくなり、魔法陣を越える大きさになったその時、雲が晴れるようにそのモヤは消え去り、ぼんやりと水晶の前に立つレイラが姿を見せた

誰もが、ソフィアでさえも驚きで固まっていた

「・・・おい、」

「っは!」

肩を叩かれて、レイラは焦点を戻す

「えっ!?せせせせ先生いま今わた、私なんかすごい物見た気がぁああああああぐぇっ!」

「落ち着け。」

めちゃくちゃに動揺している以外、何もなさそうだと即座に察したソフィアはレイラの額にチョップをかます

「よし何にもないな。お前の精霊の属性はよく分からないから一旦保留。次行きたいからさっさと陣から出ろ」

「えええ〜・・・そんな雑なぁ・・・」

ブーブーと文句を言いつつ、とてとてと歩いて保護者の元へと歩いていく

「レイラ様!?何処か痛いところは!?怖くなかったですか!??」

「怪我は!?目眩がするとか無い!?」

過保護代表者がすぐさまワッと、矢継ぎ早に囲んで質問する

「大丈夫よ!二人とも過保護なんだから!」

「大丈夫なんだな?本当に、大丈夫なんだな・・・?」

「レオもそんな真っ青な顔しないで!?今にも泡吹いて倒れそうよ!!」

ギャアギャアと騒がしく会話する四人組に、周囲の者達の混乱も和らいでいく

その光景を見て、ソフィアは肩をすくめて名簿に目を移す

「えー・・・っと、次で最後か。エマ・ヴェアル!」

「ーーーはい!」

ついに呼ばれたかと、エマは覚悟を決める

(大丈夫だ大丈夫だ。私に精霊元首なんてご大層なものは宿っていない。目立たず過ごすんだ・・・)

緊張でバクバクなる胸に手を置いて、少し深呼吸をして陣の中に入っていく

「最後だからな。一発デカいのかましとけ」

「何を言ってるのです?ソフィア先生」

ソフィアの謎発言に思わず突っ込んでしまったエマは、あっと声を漏らして手で口を隠す

チラリとソフィアの方向を見ると、フッと小さく笑って、顎で早くやれとやる

(・・・・緊張を、ほぐしてくれたのかな)

そう思いながら、エマは水晶に手を置く

「魔力を込める・・・・」

そう呟くと、じんわりと手のひらが熱くなるのを感じ、水晶も呼応する様に淡く光り始める

(あれ・・・?)

(そもそも私・・・魔法使えるのか?)

(講和で習ったのでは、貴族しか使えないって・・・・)


『使えますよ。』

「え」

()()()ならば』

水晶に向かっていた視線を、声のした方向に向ける

パシャリと、水の跳ねた音がする

『今回はあなたですか』

「ーーーーーあ、」

『運命とは数奇なもの・・・ーーー応援していますよ』


『私の主人(マスター)ーーーーー




気が付けば、元の魔法陣の上で、

片手は水晶に乗っていて、さっきと同じ様に薄暗い講堂

「・・・・ーーー精霊元首だ」

誰かがポツリと呟いた声が、エマの耳に届く

「えっ・・・ーー」

「水の・・・精霊元首・・・!」

途端に、講堂が歓声に包まれる

「凄いぞ!二人同時に精霊元首の愛子、そして上位精霊が召喚された!」

「今私たち、凄い場面に遭遇したんじゃ・・・・!」

「それどころか、歴史的瞬間だよこれは!」



・・・・嗚呼、アメリア、クロエ。そして私の学園内での設定を考えてくれた誰か

“目立たず静かに学園生活を送る”こと、


ちょっと、無理そうです。 


まず最初に。

更新遅くなってしまい申し訳ございませんでした。m(__)m(土下座)

ちょっと!ちょっとだけ現実の方で事情があり、止むに止まれず更新がストップしてしまいました・・・・

そして重ね重ね申し訳ありませんが・・・またしばらく更新できそうにありません。

ブクマをつけてくださっている方!そして評価してくれた方!本当にごめんなさい!二ヶ月・・・も行かないとは思いますが、待って頂けると幸いです。

今人生の岐路的な立ち位置にいるので!頑張ります!( ̄^ ̄)ゞ

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[一言] リアルの方頑張ってください! 気長に待ちます^ ^
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