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第四話「結果報告」

「がっはっはっはっは! よくやってくれたじゃねーか! 予想以上の戦果だ!」


 作戦の成功に喜びの声を上げ、手を叩くベルセウス王。


「それにしてもすごい魔法だったな。あれほどの実力があったなんてな」


 一緒に参加していたジーニアスが口を開く。今回の作戦は誰も怪我がなく、スムーズに進行したらしい。負傷者がいない戦闘は初めてだったようで、周りの人々は口々に「あの女は誰だ?」と噂しているようだ。


「ありがとうございます。今回の作戦が無事に達成できてよかったです」


 わたくしからもお礼を伝える。魔法を放ってからの反応が予想以上に大きくて少し緊張したが、結果的には成功したのでひとまず安堵していた。


「それにしてもアルティ、その魔法、どうやって覚えたんだ? 一朝一夕で使えるものじゃないだろう」


 ジーニアスが興味津々の様子で尋ねてくる。


「そうですね、公爵家令嬢として特別な教育を受けた成果ですよ」


 公爵家令嬢としての役目を果たすため、殿下と婚約するために身に着けた魔法だ。思えば辛い毎日だった。血反吐を吐くような思いで勉強をしていた気がする。それをあの女は……簡単に殿下の心を射止めてわたくしの前から奪っていった。


「お前って凄いんだな」

「へっ?」


 不意にジーニアスに褒められる。不自然に持ち上げられることには慣れているが、素直に称賛を受けるのは慣れていないので変な声が出てしまった。


「わたくしじゃなくて公爵家の教育の賜物ですよ。わたくしが凄いんじゃありません」

「そんなことない。その実力はアルティ自身のものだろう? 俺は見事な魔法だったと思うぞ」

「あっ、ありがと……」


 声が裏返ってしまう。この人はいったい何なんだろう。調子が乱れてしまう。これから大事な話があるというのに。

 

「――イチャイチャするのはいいが、ここでは止めてくれねぇか?」


 黙って様子を見ていたベルセウス王が話を切り出した。


「べっ、別にイチャイチャんなんてしていません!」


「なんのことだ?」と首を傾げ、頭にはてなマークを浮かべている鈍感な彼に代わって否定する。なぜこうも鈍感なのか。


「まあいい。それじゃあ続けるぞ? あんたの復讐の手伝いをすることについてだが……」


 王は腕を組みなおして答える。わたくしは緊張しながら次の言葉を待った。


「男に二言はねぇ、約束通り復讐とやらの手助けをしてやろうじゃねーか!」


 声を張り上げ、了承の言葉を告げる。


「ありがとうございます!」


 わたくしは嬉しさを露にしてお礼を伝えた。ようやくこれで一歩前進だ。小さな島国の王であれとも、少ない人数でアイデンシテンの攻撃を凌いでいたのだ。その実力は折り紙つきであろう。これは大きな戦力となる。


 王は、わたくしの喜びを見て笑顔を浮かべるが、すぐに厳しい表情になった。いったいどうしたのだろう?


「だが、その前にひとつ条件がある」

「条件……ですか?」


 先の戦いが条件ではなかったのか? と思いながら聞き返す。いったい何を言われるのだろう。


「【俺たちは正義の味方である】この意味がわかるか?」


 真剣な表情で問いかけてきた。


「はい、理解しています。それは、あなたたちが自分たちの信念に従って行動し、正義を実現するために力を尽くすことと……」


 わたくしはベルセウス王の問いかけに即座に答える。


「正解だ。俺たちは海賊ではあるが、常に正義の側に立ち、国民を守るために戦っている。そして、あんたが手伝ってくれるなら、それも正義の一環だ」


 王は更に言葉を続けた。


「だが、この条件を守らない者は、俺たちの敵と見なす。それがわかっているなら、協力してくれるか?」


 厳しい目つきで問いかけてくる。


「はい、必ず守ります。私も正義を信じており、あなたたちと共に戦いたいと思っています」


 わたくしは力強く答えた。


「それでよろしい。では、そろそろ時間だ。行くぞ」


 王は立ち上がり、わたくしたちを誘った。


 わたくしも立ち上がり、ジーニアスと共に出発する準備をした。この先、どんな試練が待ち受けているのかわからないが、信念を貫き、正義を守るために戦い続ける覚悟はできている。


「おっと、その前に――」


 突然ベルセウス王が立ち止まる。いったい何があったのだろう?


「どうしたのですか?」


 忘れ物でもあったのだろうか? わたくしは王に問いただす。


「俺たちはどこに行けばいいんだ?」

「そういえばそうだな」

「あ……」



 とんとん拍子に話が進み過ぎて、大事な説明をするのを忘れていた。



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