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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

週に一度黒人バッターに殴られる刑『バッティング法』

作者: ヒロモト

「ケニス・カーボンじゃん」


俺でも知ってる野球選手。本物デケー。なんでユニフォームなん?


「イツデモヤレマス」


俺は渋谷のスクランブル交差点の中心で縛られ座らされている。たくさんの人たちに囲まれ見られ何だか照れる。何が始まるんだろう?おまわりが俺を押さえつけて縄をほどき、右手の手のひらを地面につけさせた。


「いてーな!」


「刑務執行!」


刑務ぅ?俺は懲役半年だろ?重すぎる判決だ。

女を犯して殺して生き埋めにしたぐらいで半年もムショにいなきゃいけねーのよ?狂ってるね。この国の法律は。いつか俺が偉くなったら法律変えるわ。


「ヘイメーン」


ケニスは俺の手の甲にバッドの先端を置いた。


「クラーーーッシュッ!!」


「いぃぃぃっでえええ!」


ケニスは思い切り体重をかけてきやがった。俺の手の甲の骨がパキィンと折れる音がした。人混みから悲鳴が上がる。痛いってか熱い!ふざけんなよぉぉ!


「シーユー!ネクストウィーク!」


何で俺がこんな目に。なんも悪いことしてねーのにさ。


「あぁぁぁっ!?」


「WOwーー!」


次の週。同じ場所でケニスにバッドで胸を突かれた。骨は折れなかったが一週間息苦しくて地獄だった。


「3!2!1……ファイヤー!」


「あぁーーっ!」


次の週。膝にスイングを喰らった。俺は片足の皿を持ってかれた。だから何でこんな目に!?

弁護士が言うには「君は週に一回痛い思いをする事で半年で社会に出られるんだ。刑務作業もないし、医療も受けられる。だから我慢しなさい」だとよ。納得出来るか!こんな見せ物みたいなのやだよ!貧乏人にやらせろよぉ……。


「んーー!!ホームベーーース!」


「いぎぃぃぃ!?」


ケニスはピッチャーとしても優秀だった。俺はケニスの豪速球を目に食らって片目を失明。もう片方の視力もほとんど失った。怖いよ。7日経つと必ず地獄の痛みがやってくる。野次馬達も最初は悲鳴をあげてた癖に今じゃ俺が痛め付けられると歓声をあげてる。俺が痛め付けられるのがそんなに楽しいか?殺す。全員殺す。ムショから出たら渋谷にいる連中全員ぶっ殺してやる。



「……懲役1年でも2年でもいいんでもう止めてくれ」


それから2週間。駄目だ。心が折れた。手足をやられ視力もない状態でケニスの暴力の恐怖には勝てない。俺は目の前にいるであろうケニスに懇願した。


「oh!ユーアーチキンボーイね!」


うるせぇな外人がよ。テメェの面は絶対忘れない。

おめーも殺すからな。一年待ってろや。


「バトンタッチね!」


「サンキューケニスさん……君には呆れたよ。君は一年や二年で許される罪だと思ってるのか?強姦殺人死体遺棄だぞ?」


誰だ?おっさんの声?どっかで聞いたことがあるな。ふぉん!ふぉん!ケニスと比べようがないぐらい弱々しいスイング音。


「思い出した!おめー!あいつの親父か!」


俺が殺した女の親父だ。なんでこんな所にいんだよ?親父が俺に偉そうな口きいてんじゃねーぞ?


「糞親父!てめーみてろや!てめーの娘の100倍苦しめておめーもぶっ殺してやっからよ!」


「……やれやれ。ケニスさん。こうですか?」


「ソウデス。脇を閉めて……グーです!カモン!カモン!フルスイング!」


ケニスと糞親父。何の話してんだ?バッティング指導?


「出たら全員殺す出たら全員殺す出たら全員殺す!」


「あのね?水滴程もない君に理解しろというのは無理かもしれないが……『バッティング法』を放棄した君に生きる権利はもうない。私としては放棄してくれてとても嬉しい。半年堪えられたらどうしようと思ったが……君にはそんな根性なかったね」


「おーい。おまわりさーん。俺の罪に1ヶ月プラスしていいからこいつ殺していい?」


何となくバカにされてるのは分かるわ。こんな親父に。我慢ならねぇ。何とかしてぶっ殺したい。

こいつは今殺す。……おっ?縄が緩んでる?チャンス!


「言い残す事はあるか?」


「よく見えねーけど。どーせてめーはすだれハゲのクソキモ親父なんだろうな!?人生おしまいの詰み人間めっ!いるだけでお前は老害なんだよ!死ねっ!プッ!」


「……」


おっ?唾が当たった手応え。ざまぁ。よっし!縄がほどけた!さぁ殺す!俺は親父に向かって飛びかかった。


「カモン!お父さん!ヘッドショット!レッツゴーー!」


「娘の敵ぃぃぃ!」


パキィーーーーン!


脳に響く何かが壊れる音。


これが俺が生前最期に聞いた音になった。








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― 新着の感想 ―
[良い点] 斬新な刑罰でした。 お父さんが仇を討ててよかったです。
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