9話 天動説
それはミイの何気ない質問から始まった
海水浴をしていた時
「ヤマトー!潮に流されるー!」
何度目だ、海に来る度にミイは海で遭難しかける
「わざとじゃないだろうな、まったく」
「気づいたらいつも流されてるのー」
まあオレが近くにいる限り平気だけどな
「ねえヤマトー、このまま流されたら滝に落ちちゃう?」
「滝?」
ああ、天動説のおとぎ話のことか
「あのな、滝なんてねえよ」
「ないの?」
ふむ、外洋ってのを見せてやるか
「よし、明日みんなでその滝があるか見に行くぞ」
「ほ?どうやって?」
「そりゃ船で行くんだよ、オレが用意しておくからな楽しみにしておけ」
「おお!すごい楽しみー!」
翌日
ミイ、サーシャ、サラ、ララ、ドロシー、フォルテ、ランラン、メア
このメンバーで外洋へ行くことにした
戦艦大和が沖に停泊している
「ヤマトが船用意してるから乗れって言ってたけどあれかなー?」
「あれ船なの?」
サラの疑問に
「城にしか見えませんね、しかもあれ鉄では?」
サーシャが答える
「ヤマトが小舟に乗って来いって言ってたから行ってみよー!」
キコキコキコキコ
小舟を漕ぎ近づいていくと
「でかい、でかすぎだよ………………この世の物じゃないね」
サラは見上げながら口をポカーンと開けている
他の者も似たようにポカーンとしていると
「そこの階段から登ってきてくれ」
ヤマトが拡声器で話しかける
「うは!声でか!大将か」
「登ってこいって………………」
カンカンカンカン
「うわ、これ鉄だよ、ユラユラ揺れてるし浮いてるのこれ?」
ドロシーも信じられないようだ
登ってくると
「うわ!広!あれってヤマトのでかい音がするスキルのやつだ!」
ミイが46cm3連装砲を見ていた
「中に入っても外にいてもいいが、外は波かぶるぞ」
ヤマトの声が響く
「ヤマトどこー?」
「オレはこの船の操作しないといかんからお前たちだけで楽しんでてくれ」
「えー、そうなんだあ」
ミイは残念そうだ
「じゃあ、出発するからな海に落ちるなよ」
ザザ
「おお、動いた…………」
ザザザザザザザザ、ザパーン
「おおお!すごい!」
ドロシーが1番感動していた
ドロシーは科学に興味津々だ
「どうしてこの鉄の塊が浮くんだ………………箱であればなんでも浮くのか?」
ザザザザザザザザ
ザバー!ザパーン!
「ヤマトー!波にさらわれるー!」
またミイが海に落ちそうになっている
「お前は中に入っててっぺんまで登ってこい、眺めがいいぞ」
「はーい!」
「じゃあ私も!」
「オレも!」
全員が階段使って登ってくる
当然エレベーターの存在は知らない
「ふえー!高い!何この数字がいっぱい書いてある物、ポチポチ」
「ミイ!勝手に色々触るな!」
「むむ!何故わかった!」
「ひえーー、高い…………」
ワーワーワイワイガヤガヤ
「一面海だ、海ってすごい大きいんだね」
「すごいね海って」
みんな海のデカさに改めて驚いていた時
ん?レーダーになんか映ってるな
この大きさは船か、かなりの数が停泊してるところを見ると港、陸があるってことか
外洋の国は地図にはなかったよな
みんな海の先は滝だと思ってたんだから陸があるなんて知ってるはずもないし
しかし、船ってことは生き物がいて文明があるってことだよな…………
「みんな聞いてくれ、この先に陸があって船もあるみたいだ、要するに人だか文明を持った生き物がいる」
「えーー?本当に?」
全員驚いてるが当然か
んー、近づいちゃやばいよな普通に領海侵犯だし
しかし、確かめたいよな………………
「これから陸に近づくが、もしかしたら攻撃されるかもしれんから全員中に入ってトビラをしっかり閉めて鍵をかけてくれ、絶対外に出るなよ」
「はい!」
ザザザザザザ
港と思われる場所まで進む、望遠鏡で確認すると
ふむ、帆船だな…………キャラックって感じかそこそこでかい
もっと近づくか
ザザザザザザ
「うわー、本当に陸がある、滝なんてウソじゃん」
「ヤマトさんの言うことが本当でしたね、私はヤマトさんを信じてましたけど」
サーシャが何故かドヤ顔だ
ザザザザザザ
近づくと他の者達も帆船の存在に気づくと同時に多数の帆船が動き出し近づいてきた
「みんな絶対外に出るなよ攻撃してくる!」
「え?」
ゴーー!ゴーーー!
バリバリバリバリー!
帆船からの魔法攻撃だ
「うわーー!あちあち!なんで?」
ミイもみんなも驚いている
「どうやら歓迎してくれる感じじゃねえな」
ゴーー!ゴーーー!ゴーー!
ビキビキビキビキ
バリバリバリバリバシャーン!
火炎、凍、雷に風あらゆる魔法攻撃が飛んでくる、帆船の数もドンドン増えていく
「きゃー!ヤマト!大丈夫なの?ひゃあー!」
沈める気マンマンだな
「安心しろ、反撃するからな見学してろ」
「全砲門、目標敵艦隊」
キュイーン、キュイーン、キュイーン
「うわ、筒みたいなのが動いてるよ」
「ヤマトさんのスキルが………………」
「てーーい!」
ドドドドーン!ドドーン!
ドガーン!ドドーン!
ドゥフーーン!ドゥフーーン!
ドゥフーーンドゥフーーン!
ヒュー
ヒュルルルルルルヒュルルルルルル
ドーン!ドーン!バシャーン!バシャーン!
ドガーン!バシャーン!
砲撃を食らった帆船が次々と破壊され炎上し、外れた砲弾が巨大な水柱をあげる
ドドーン!ドゥフーーンドゥフーーンドゥフーーンドゥフーーン!
ヒュルルルルルルヒュルルルルルル
ヒュルルルルルルヒュルル
ドドーン!バガーン!バシャーンバシャーン!
海面は炎上した帆船で埋め尽くされていく
なんかどこかで見たような戦いだな
ん?なんだあれは
げ!ちょっとやばいかこれ
メテオという魔法だと知ったのは後のことだ
燃えさかる岩のかたまりが空から降ってきた
「12.7mm3連装高角砲」
ダンダンダンダンダンダンダンダンダン!
ダンダンダンダンダンダンダンダン!
てか全然見当違いな方向に落ちてるな、しかも1つか
動いてる物に当たるようなもんじゃないな
どこから撃ってんだ…………
港に艦砲射撃しておくか
ドゥフーーンドゥフーーンドゥフーーン!
ドゥフーーンドゥフーーンドゥフーーン!
ヒュルルルルルルヒュルルルルルルヒュルル
ヒュルルルルルル
ドーン!ドガーン!ドガー!
アルテミスみたいな戦いかただな、相手も人間だけか…………
ミイ達もいるし今回は1度撤収するか
「とりあえず今日は帰るぞ、相手がよくわからん」
「わかったー」
「いやいや、さすがだね大将は、この一面火の海になってる光景は壮観だよ」
「神の怒りに触れた者達の末路って感じだね」
帰路につくヤマトたち
後方からはいつまでも黒煙が立ち上っていた