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やや濃いめ
ホームセンターで布団一式を買った。
真空包装なので嵩張らない。
車に積んで越したばかりのコーポに持ち帰り、袋から取り出してフローリングの床に広げた。
夜が来るのを待ちきれなくて、抱き抱えるようにして転がって、掛け布団にくるまった。
しゅるるんとした、ふわりくるりとまとまった髪の束が花開くように広がって、覆い被さる青年は花の蜜を吸うようにちゅちゅと柔らかな唇を吸う。彼女の髪を指にくるりと巻き付けて、指を引き、また巻き付け、また引き抜いて。染まっていく頬をなで、潤んだ目に溜まりこぼれたしずくを親指で拭いてやる。
彼女の左手を取り、薬指に口付ける。
ねじれの中央にちっちゃな光が一粒入った流線型の揃いの指輪。
手の指を、口の中では舌を、そっとそっと絡ませる。
愛しい人と繋がれて、二人で描く美しい螺旋。
「この髪と私と、どっちが好き?」
答えは決まっている。もちろん彼女で、どんな髪型でも彼女が好きで。
でも、しゅるるんとした彼女の縦ロールは大好きだから、彼女の髪を指にくるくる巻き付けて、愛を込めて口付ける。
大好きな彼女と、大好きな彼女の縦ロール。