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60 過去の因縁、異世界から来るもの その1

 休日の祈祷所。

 珍しく詩乃がいた。 

「動かないでね。手術中だから」

 詩乃はそういいながら、綿の飛び出た球磨川風月斎くまがわ ふうげつさいの体を糸で縫い付けている。

 彼女は洋裁ができた。

 若い時はモデル稼業の合間に自分で洋服を作っていた時期もあったのだ。

「詩乃さんは本当にお美しい。今独身と聞きましたが、私というイケメンが近くにいるのはご存知かな」

「いや、あの、先生はぬいぐるみだと思いますクマ」

「恥ずかしがるな、今後は父と呼んでもいいんだぞ」

「あんたみたいな軽薄な原人はこちらから願い下げだぜ」

 ダーク翔一も珍しく、ぬいぐるみに宿っていた。

「原人とは失敬な。文明が進んでいないだけで人権は同じだぞ」

「人権とかそんな概念なかったくせに」

 土壁源庵つちかべ げんあんとダーク翔一は顔を合わせるといつも言い争いをしている。

 見ようによっては仲がいいのかもしれない。

「はい、終わりました。翔ちゃん、私、午後から仕事があるの」

「お母ちゃん、ありがとうクマ」

 立ち上がった詩乃を見送る翔一たち。

「奥方、かたじけない」

「気になさらないで。翔ちゃんをよろしくお願いします、クマちゃん先生」

 そういって外に出る。

「もう行ってしまうのか、いつも美女というのはかないな」

 別れを惜しむ、源庵。

「ドブスなら一瞬でも永遠の苦痛に感じるがな」

 辛辣なダーク翔一。

「女性対してにそんなこといっちゃいけないクマだよ」


 そんなことをいっていると、車は去っていく。

 運転手は女性マネージャーだが、彼女にはあまり詳しくは語っていない。

 一応ヒーロー案件ということで詮索はなしにしてもらっているのだ。

 しかし、彼女は治癒クマーが翔一であることは知っている。

 詩乃が漏らしたらしい。

 彼女は翔一の失踪時にも詩乃を支えた戦友のような人物で、詩乃は非常に信頼していた。

 モフ手を振って彼女たちを見送る。

「こんにちわー。某急便です」

 インターフォンから声。

 入れ替わりのように宅配が来た。

 これは普通の宅配である。

 翔一は人間になって迎え入れる。熊のぬいぐるみたちは見えないところに隠れた。

「東宮市保管所ですか、ここ、変わってますよね、変なお守り持ってないと入ってはいけないとか」

 金髪にピアスの青年。宅配の制服を着ている。

 尚、『東宮市保管所』は祈祷所の世間向けの名称である。

「こんにちは。必ず持って入ってくださいね、上からの指示なんです。でも……いつもの人じゃないんですね」

「はい。ええ」

 青年は自分は質問をしておいて、翔一の質問には答えなかった。

 翔一は気にせずサインをして幾つもの荷物をリビングに置いた。

 宅配の男もどんどん運び入れてくれる。

「お守り持っていないとオバケにたたられるそうです」

 翔一がそう告げると、

「お、オバケですか。僕はそういうの弱いんですよ」

「冗談ですよ。でも、持ってないと、道に迷うかもしれません」

「は、はあ?」

 怪訝な顔の宅配の男だったが、仕事が済むとすぐに立ち去る。


 宅配が帰ったのち、クマクマ軍団で箱を開けまくる。

「仕事の依頼ばかりだな、あ、これは侍鎧のセットだ」

 源庵が石器のナイフでバリバリとガムテープを破って行く。

「それは拙者の鎧だな」

 風月斎の鎧だった。

 早速、着用する。

 翔一も手伝った。

「ふむ、軽いうえに、動きやすい。見た目は戦国の世の鎧なのに、こうも進化するとは驚愕でござるな」

 非常に硬いセラミックプレートにいくつかの複合材料が重ねられた、ボディアーマー素材を使った侍鎧である。

 小さな胴丸に小手と具足。サイズもぴったりだった。頭は強化編み笠。

「これは癖になる鎧でござるな」

 剣を持たずに型だけするが、動きを阻害しない。

「受祚載せるクマ」

「鎧の固さはもう十分でござるよ、翔一殿」

 彼の体にはすでにいくつもの受祚があった。そして、説明書には対物の大口径ライフルには負けるとあるが、それ以下の武器は通用しないらしい。

「わかりました。現状でも十分な強度ですクマ」

「ん、これは依頼品じゃないな」

 普通に買った商品風の箱をダーク翔一がしげしげと見る。

 非常にしっかりしたパッケージ。

 他の箱は防衛会議の職員が箱詰めしたようないい加減な感じの箱が多い。

「あ、なんだこれ」

「それは、私が注文したのだ」

 源庵が答える。

 彼が買ったものはかなり大きな人形だった。

 びっくりするほど非常に可愛らしいお姫様的なドールだった。ふわっと落ちてきた納品書を見て、値段に目をむく翔一。

「可愛いけど、すごいお値段クマ……」

「心配するな、政府の金だ」

「逆に心配になるクマ」

「お姫様ドール。おっさん、こんな趣味だったのか……圧倒的にキモいな」

 絶句する、ダーク翔一。

「わ、私の趣味じゃないぞ。ネット検索して、萱津女かやつめがそれがいいと……」

「あのねーちゃん、現実界に出たがってるのか」

「あのねーちゃんじゃないぞ熊宿精。私ではない、こちらのお方が、翔一殿のお助けをしたいと」

 萱津女の声が聞こえる。

 振り向くと、精霊界に二つの霊魂がいる。

 一つは以前、手を借りた萱津女。

 もう一つは、黒くて巨大な魂だった。

「大絹姫じゃ。いつぞやは世話になったな、熊の翔一殿。わらわはあれから世話になっただけではだめだと考えた。父母もお主を手伝えと申される。そう考えて、再び現世に戻ることにしたのじゃ」

 光る双眸。恐ろしい闇のオーラ。

「あんた、何か得意技はあるのか。現世は『浸食』されて怪物が一杯やって来ている。戦えないのに来ても無駄だぜ」

 ダーク翔一は礼儀が全くなかった。

「ふん。わらわは鬼道と方術に通じておるわ、その方らこそ何の術を使う」

「私は精霊術だ」

 胸を張る源庵。

「時代遅れな術は知らぬ」

 源庵をバッサリ斬る大絹姫。

「じ、時代、遅れ」

「いや、あの、鬼道方術も相当古代のような……」

 呆れるダーク翔一。

「いいから、呪を人形に封じられよ。わらわが宿るゆえ」

 翔一は一瞬悩んだ。

 大絹姫の魂は黒く強大だったのだ。 

 しかし、善意を持った人をむげにするのもどうかと考えた。

 結局、人形の背中を開く。

「呪を描きますが、木片は入らないですね。翡翠の勾玉を背中に入れますから、それに宿って下さいクマ」

「それでよい」

 カッターで切りこみを入れ、呪を描いた勾玉を入れる。

 勾玉は極天で安く買った翡翠だ。世の中にはそういう需要もあるのだ。

 柔らかい樹脂素材にはニュルッと入った。瞬間接着剤できっちり蓋をする。

 核を得た人形に大絹姫が自分で自分を呪縛した。

「ホホホ。簡単じゃな。今後ともよろしくな、翔一殿」

 動き出す可愛らしい人形。

 しかし、大絹姫の魂が宿ると、目つきが怖い。

「そこの下人。この屋敷を案内しなさい」

 姫はダーク翔一を促す。

「下人って、酷いいわれようだな」

「人徳レベルで測れば宿精殿が最低値なのは明らかだ」

「素焼きの仮面被ってる奴にいわれたくない」

「早くしなさい」

「まあいいか、俺は翔一の宿精」

 クマとお人形は館の中をうろつき始めた。

わらわは疲れたからおんぶするのじゃ」

「一瞬で疲れるんだな。というか、歩くのが面倒なだけだろ」

 ぶつぶついいながら、結局、大絹姫をおんぶするダーク翔一だった。

 

 荷物の大半は受祚依頼だった。

 ボディアーマーが多い。

 翔一と源庵で手分けして、片っ端から弱めの精霊を封印していく。

「なになに、かっこよく輝く精霊を入れてくれ。光でいいかな」

「そういう変な要望は無視して、頑丈になるのでいいと思うクマ」

「要望無視はまずかろう。石器でも顧客を無視するとクレーマーの野蛮人が怒鳴りこんできたものだ。いつぞやなんて、わざわざ遠い所から丸木舟に乗りつけてきて……」

「古代も今も変わらないクマなんですね」

「後、栗とドングリの虫は要注意だ。これもクレームが多い」

「はぁ?」

 よくわからない古代のビジネスの話をされても、翔一にはピンとこなかった。

 とにかく作業を進める。

 視界の端に中庭が映る。

 風月斎が新しい鎧を着て武術を試すのに余念がない。

 そして、その後ろを、女の子の人形と子熊が歩いてどこかに行く。

「あ、姫様とダーク君がどこかに行くクマ」

「大丈夫だろ、子供じゃあるまいし。そんなことより、この鎧どうする。『俺、風呂が苦手。体臭を消す精霊をお願いします』だって」

「う、すごい臭いクマ……完全ガン無視でお願いします。強甲と守護をセットしたらいいと思いますクマ」

「だよな。風呂入れっての」

「そういえば、多少、先生も匂いますクマ」

「え、そうなの? 汗とか掻かないから大丈夫だと思ってた」

「行動し続ければ、何かと汚れて微生物もつきますクマ」

「じゃあ、風月斎の奴もかなり臭いな」

「先生は時々入浴されてますクマ」

「あいつ、抜け駆けか。……そうだ、いいこと思いついた。私を洗濯機に入れろ」

「そんなことして大丈夫クマ?」

「男は度胸、なんでもやってみるものだぜ」

 呪術の札や符は、水にぬれても呪力がある限り溶けるようなことは無い。

 仕事がひと段落してから、翔一は洗濯機の前に来た。


「ネットに入れて、洗剤と柔軟剤投入。つけおき洗いモードがいいクマ」

 洗濯機に土壁源庵を入れる。

「普通で頼む。面白そうだ」

「……本人がそういうなら、まあいいかな。ぽちっと」

 ザー、ザーと激しい動きを始める洗濯機。

「お、なかなか面白いぞ。すごい回転だ。これは病みつきになる」

 源庵は大喜びだった。

 グルグル回る洗濯機。

「ウオー。これは最高だ! 現代のエンターテイメントだな」

「洗濯機は誰かが楽しむためにあるものではないですクマ……」

 しかし、源庵が満足しているなら、邪魔することもないと思い、片付けに戻る。


 受祚したものを再び箱に詰め直して、宅配を呼ぶのだ。

「やれやれ、ちょっと面倒な作業クマ」

 バイトでも雇いたいと思う翔一だった。

 ふと、振り返ると、中庭に風月斎はいない。

 何処に行ったのだろうか、全員の行動を把握しているわけでもないので、気にせず作業に戻る。

 送り状は先方に書いてもらっていた。

 張り付けるだけだが、それでも面倒ではある。

「あ、クマたんいる」

 背後に誰かが立っていた。

 懐かしい声。

 翔一は驚いて振り向く。

 耳の尖った、非常に可愛らしい少女が立っている。

「あ、……君はダナちゃん」

「クマたんだー」

 小さな女の子だった。 

 彼女は翔一に抱き着くと。毛皮に顔をうずめる。

 懐かしい匂い。

 異世界で長くともに冒険した少女。困惑しながらも喜びが胸に満ちる。

 チビクマもいる。

 本物としか思えなかった。

 翔一は思わず抱きしめて、涙を流した。

「元気そうクマ。どうして、どうやってここに?」

 二人はソファーに座る。

「えーっとね。クマちゃんにまた会いたいって思ってたから、ゲートが開いたの」

「そんなことをして、お母ちゃんが心配してるクマだよ」

 そういいながらも、霊視して、彼女の呪詛の状態を調べる。

 これは、ダナと過ごした時の習慣だった。

(よかった。ほとんど呪詛は消えているクマ。……しかし、微かに痕跡はある、ないに等しいけど)

 安どする翔一。

「母様忙しいから……」

 寂しそうにダナはつぶやく。

 彼女の母はエルフの女王なのだ。政治の仕事が多忙を極めるのは現代でも同じだ。

「……でも、ダメだよ、勝手に出歩いたら」

「みんなと一緒にいた時が楽しかったわ。タマゴさんはいないの?」

 翔一はびくっと震えた。

 親友のことは永久に忘れることはない。

 彼は無数の敵を巻き添えにして自爆した。

 翔一の目の前で、永久に消えたのだ。

 未だに、その時できた心の穴はぽっかり空いている。

「た、タマゴさんは……」

 言葉が出なかった。

 ぽろぽろと涙が出た。

 いつも心の中で、彼を助けられなかった自分を責めている。

「ご、ごめんなさい。何かあったの?」

 優しく、少女は翔一の背中を撫でた。

「ごめん、気にしないでいいよ。タマゴさんは……じ、自分の世界に還ったんだよ。もう、心配いらないんだ」

 翔一は彼の魂がどこかに向かったのを見た。

 愛する人と一緒に幸せそうだった。

 唯一それが、翔一の心を慰める光景だったのだ。

「そうなんだ、よかった」

 小さな少女にとって、彼のことはそこまで大きな存在ではないのだろう。

 すぐに別のことが気になる様子だった。

「ねえ、何これ。それに、これも」

 興味津々で家電やその他諸々を質問攻めにする。

 外を見ると、昼過ぎだ。

「やはり、ここに居てはいけないよ。お母さんが心配しているから」

「えー、私、クマたんとずーっと一緒に居たい」

「ダメダメ、ダナちゃんはこれからエルフの里で幸せに過ごして、立派な大人になるんだよ。未来のことはいえないけど、里から出たらダメクマクマ」

「ブー」

 可愛く頬を膨らませる少女だった。

「さあ、ゲートに戻ろう。難しそうなら僕があの世界まで送るよ」

「サナトシュというのよ」

「へぇ、世界に名前が付いているんだ」

「この世界はなんていうの?」

「この世界は他の世界という概念が無いから、名前なんてないよ。比べるということがないから」

「そうなんだ。でも、確かにちょっと孤立してる感じね」

 ダナは小さいながらも魔術の専門家なのだ。

 たぶん、魔法の世界サナトシュワールドにおいても最上級の魔術師。


 翔一とダナは手をつないでゲートの方角に向かう。

 あからさまに強力な反応があるので、迷うことはなかった。

 集落廃墟の中心部に大きな石を並べて円形の魔法陣を誰かが作っていたのだ。

「あ、誰だろう、こんなことしたの。これがダナちゃんの世界から呼応してゲートを作ったクマだよ」

 陣の中心に空間の亀裂がある。

 見ていると、ひとりの男が出てきた。

「あ、人が出てきたクマ。エルフさんですよね」

 男は年齢不詳だが、剣と弓、鎖帷子を服の下に着こんでいる。

 かなり、戦闘装備だ。

 しかも、相当に上等な装備だった。霊視をしなくても魔力を感じる程だった。

「おお、そなた、勇者ドゥーベだな」

「えっと、そうですクマ。そう呼ばれたことがあります」

「父様。何で来たのよ!」

 ダナが男性を見て不満顔。

 男はダナの不満を無視して、翔一の毛皮の手をモフっと握る。

「私は、そのダナの父だよ。名はケルブレルという。そなたは我一族の恩人だ。一度お会いしたかったのだ。我が妻とは面識があるのだろう?」

「ええ、女王様には助けて頂きましたクマ」

「とんでもない。助けてもらったのはこちらの方だ。それに、またご迷惑をおかけしたみたいだな」

 ニヤッとして、ダナの方を見る。

「フン」

 生意気で可愛いダナは父の笑顔に知らんぷりを決め込む。

 そして、もう放さないといわんばかりに、翔一の体に抱き着く。

「ダナ、母が心配しているぞ。一人でふらふら出歩いたらダメではないか」

「父様もいつも一人でふらふらしてるじゃない」

「それは、その、私は王家というものが性に合わず、野伏としての生活から離れられんのだ。妻もこれは承知している。私が冒険を続けることによって、里には大きな利益が齎されているのだ」

「ブー」

「こんなところで立ち話も何ですクマ。少しお茶でも飲みませんか」

「そうだな、それもよかろう」

 結局、二人と翔一は館に戻る。

 

 コーヒーを淹れる翔一。

 二人はコーヒーを飲んだことがないという。

 初心者向けに、砂糖とミルクを入れて出した。

「わあ、変わった香ね」

「ふむ、甘いですな。それに、苦みとまろやかさ。これは癖になります」

 ケルブレルは意外とあっさり順応した。

 ダナは香りを嗅いだが、すぐには口に入れず、眺めている。

 ようやく口に含むと、

「わ、結構、苦いのね」

 可愛い舌を出して苦いという顔をする。

 コーヒーを皮切りに、二人はこの世界のことを質問攻めにする。

 翔一はあまり世界のことを知らないと痛感しながら、何とか説明に汲々とした。

「えーっと、この世界の政治は民主主義です。王様とかはいても全く実権がなく。選挙で選ばれた政治家が実際のリーダーだったりしますクマ」

「ほう、そのようなことで政治が成り立つのか。では王族は何をしているのだ」

「そうですね、天皇陛下は王族外交とか、宗教行事です。多分」

 頭を掻く。あまり政治のことは興味がなかったので、うろ覚えだった。

 ダナはすぐに退屈になったのか、テレビに興味を移す。

 

 しばらく話し合ったのち、

「この世界もなかなかに面白い。暫く放浪したいがよいか」

「止めはしませんが、あの世界みたいに悪党は表に出ていないクマだよ。陰湿に陰に潜んでいる」

「悪党なんてそんなものだ」

「法律は厳しいクマだから、武器をあからさまに持ち歩くには許可とか何かがいるクマ」

「一般人はどんな服装で、持ち物はどんなものだ」

 翔一はネットで検索して、画像などを見せる。

「わかった、魔法で偽装してみよう」

 彼は隠密と戦闘に特化した魔術師だった。

 偽装は彼の術にあるようで、簡単にビジネスマン風の服装になった。

「フム、悪くない。ダナ、どうだ、俺の姿。カッコいいだろう」

「変よ」

「似合ってるし、かっこいいクマ」

「やっぱりな。ダナはお父さんのことを否定ばかりする」

「べーっだ」 

 父に厳しいダナだった。

「そんな態度だったらコチョコチョするぞ!」

「きゃー」

 父と娘のじゃれ合い。

 微笑ましい光景だった。翔一はそれを楽しく見た。


 ふと、外を見る。

(そろそろ夕方……僕も帰る時間だね。遅くなるとお母ちゃんが心配するクマ)

 過保護な母を思って、少し苦笑する翔一。




2021/5/17 7/3 微修正

2021/5/17 詩乃の描写を微修正

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