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神官マシュー厶・ストリープ

 朝目覚めるとそこはいつものベッドだった。あれ。。馬車からそのまま運ばれたのかな。


「おはようございます。ぼっちゃま」

「おはようフューリ。そのまま寝たのかな?」

「ええぐっすり眠ってましたので。アレフレッド様に運ばれましたが気づかず。。お疲れでしたのね」


 身なりを整え食堂に向かう。

昨日の町の様子は幼少の僕には刺激的過ぎたようだ。



「母上、お婆様おはようございます」

「シューおはよう。下町の様子はどうだったかしら?」

「思った以上に多くの人がいて驚きました。いい町と思います」


「お土産もフューリから頂いたわ。夏の終わりに祭り事もあるので一緒に行ければいいわね。そうそう、明日より神官が派遣されます。(しばら)く忙しくなりそうだから。今日はゆっくり過ごして置くように、ね?」


「神官の方がですか?はい!」


「詳しい話は明日ですね。それでは食事を頂きましょう。ケートルーゼの導く食材に感謝を。ネプトゥヌスが生み出す魚貝に慈悲を。生命の穫をアテネに感謝し頂きます」


「「頂きます」」


 食事は昨日町で仕入れた食材が使われており、どれも新鮮だった。フルーツもありいつも以上に食が進む。朝食後に庭で軽めに運動をし、クリル、リリルと遊んだりして過ごした。

貝殻を渡すと、興味ありそうにくりくりの目を瞬く。


「にぃにぃ、ピカピカー」

「しゅーなにこれ?」

「町で買ってきたんだ。綺麗だろ?」

「うん、ありがとーにぃにぃ♪」


 リリルがパクっと口にした。。。慌ててソムが口から取り出す。…そうか、いつも食べてるから。。今後気をつけよう。



□□□

 翌日、参の刻が訪れる前に馬車が入って来る。

屋敷の馬車より小さく馬も1頭だけだ。神官が到着したのだろう。暫くしてソムに呼ばれ客間に通される。


「おはようシューリヘト。今日よりしばらく読み書きの指導をお願いする神官マシュー厶・ストリープですわ。神官であり、文官としても教わります。魔法知識ももつ優秀な方ですわよ」


「おはようございます。シューリヘトと申します。神官様、今後宜しくご指導お願いします」


 基本領主一族は頭を下げてはならない。

胸に手を当て視線で挨拶をする。


「シューリヘト・オズベルタス・レグナム様。良き出会いコルツァの導きに感謝します」


赤い光がぽわッと。。見とれていたらクスッと笑われ素に戻る。あれが祝福か。 ヒュンと久しぶりに心が動いた。


 片膝を付きこちらに敬意を示すマシュー厶・ストリープはオレンジ色の綺麗な髪をしていた。その背の高さ容姿からか幼く見えるが、18歳らしい。神官を示す長く綺麗な白いストール、刺繍の入った紋章入りの服はシスターそのものを示していた。


 この辺りは暖かくそこまで込入った服装は少ない。貴族なので凝った異風の衣装だが、晩餐会の時も簡易的な動き易い衣装をしていた。神官の服装は初めて見る僕に不思議な感覚を持たらした。


 その後側使えを交えて打ち合わせを進める。予定管理だ。

北の書斎を勉強部屋とし、運動を終えた後に朝の時間は座学を教わる。昼以降は本格的に読み書きを教えてもらう。


勉強が慣れて来れば書籍を基により高度な授業に移行し、歴史や地理、宗教の内容を教わる。


 魔法は時間がある時に教える事も約束してくれた。魔術書が古文な分実技だけではどうしてもすぐにつまずくのだと。


母上もうんうんと頷く。まず座学を終わらせ、魔法は使える様になればいいかな?くらいに考えた。そんな気持ちになったのは、未だにクリル達みたいにボールも浮かせれないからだ。


 - こうして僕の勉強は始まった -


□□□



「それではシューリヘト様。まずは基本文字を覚えて下さい」


 この世界では八割以上このラウン語を共通語として使われている。


動詞や述語動詞が先に来る英語に近い法則であるし、単語も最も多く存在する。


 つまりこれを覚えればほとんどの読み書きで悩む事は減るだろう。しかし単純反復練習は結構辛かった。覚える為には書いて叩き込むしか無い。ちなみにマシュー厶は書庫から本を取り楽しそうに読書に励んでいた。


 筆記用具は時代として高価なイメージが合ったのだが、そうでもないらしい。庶民には紙は高いが既に産業が存在する。


インクに至ってはレグナム神国特有の島々でタコの様なものが取れる。つまり墨はそこまで苦労せず手に入り、他国にもいい特産となっている。


 二週間後には簡単な単語、基本文字は習得できた。


「シューリヘト様は優秀ですわ。数月かかると思ったのに。もう覚えたのね?」

流石に人生二周目とは言えない。


「側使えに本を読んで貰ってましたので。。多少覚え易かったのでしょう」


「それは結構ですね。次に数字、単位、貨幣など計算を学びましょう。歴史と地理も兼ねて参ります。これは文官としても大事な知識となります」


 数字や計算は簡単だったが、各国々で通貨単位異なる。今は大小23の国々があるのでその名前も辛かった。


 ユーロが入る前のヨーロッパで両替、といえば解るだろうか。国が弱ければ単価が下がる。同じ金貨でも1,5倍もあれば0,8倍もある。ああ為替一覧表があればいいのに。


 こうして一通りの地域と国名を覚える頃には一月がかかっていた。本格的な夏に入り昼過ぎ暑いのも記憶が悪くなる。


ちなみにレグナム神国の通貨はドラクマ。金銀銅貨で統一されている。

紙幣ある国は現在少なく偽造が出回るらしい。

 

「合格です。シューリヘト様。驚きました」

「ありがとうございます。神官の指導のお陰です」


ふふふっと笑うマシュー厶は慣れて来たのだろうか、少し表情が柔らかくなった。


 数字や計算は比較的にすぐ終わるが、それらに関する契約書の見本などもあり事細やかに指導を受ける。


 現在歴史はまさに荒れて来ている。王族は力が落ち、細々と隣国と紛争がある国、魔獣が増え疲労する国、帝国の軍事化、そして天中海の南から侵略してくる蛮国の心配など大変だ。ついこの春に開戦した国もあるという。


 神国と言う名の通りレグナムは歴史は長く、首都に神殿もあるがその神殿内の情勢でも旧神殿派、新革命派など揉めているようだ。。宗教って。貴族がそれぞれ裏に着いているので領主も大変だ。父上だけど。


 地理的問題も教わる。西の小国が貧困が高く移民問題も頭を悩ますらしい。時勢は問題だらけだな。


「この調子だと古文字もすぐに覚えれそうね。神国らしく神の話もお伝えできます!神に感謝を!」


「あ、ありがとうございます…そういえば次の星のたどる休日に神事があると伺いました。母上も行くので・・マシュー厶様もご一緒どうですか?」


「喜んで!夏の後期といえばこの辺りは灯籠祭ですか。祖先の霊を祀る大事な神事ですわ!」


ん。。灯籠祭か。お盆みたいなもんかな。


「私も神事を見るのは初めてです。色々とお伺いできれば。マシュー厶様宜しくお願いします」


 最近マシュー厶は勉強でいつも僕に付きっきりなので。下町で気分転換などできれば良いと思う。

この島はまぁ良くも悪くものんびりしているし。



神の話にテンションを上げるマシュー厶に、はァ〜とため息を着く。


優秀なのだがこの人、神の話は長いんだよね…



しばらく毎日投稿していく予定です。

本日も2部! 2部目です!


是非ブックマークいただけると嬉しいです。

またコメントなどもどうぞ。

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