剣術と領主の息子
朝起きると昨日の晩餐の疲れはなかった。
家族と久しぶりに話しもできたし、皆良くしてくれる。何より布団が気持ちいい……グー。
「ぼっちゃま。朝ですよ?準備をなさらないと」
「…おはようフェーリ。。そしてお休み。。。」
「ぼ、ぼっちゃま!」
布団をがばりと取られて起こされる。残業続きな分睡眠がとても気持ちいいのに。。貴族するか。衣装を着換え食堂に向かう。すでにみんないるようだが、領主とラインストーン兄はすでに朝戻ったらしい。
「おはようシュー。まだ寝ぼけてるかな?」
「母上、お婆様、リアコタス兄様おはようございます。父上は帰られたのですね」
朝食は昨日と同じ様に祈りをしてから頂く。昨晩の残りもあり、食堂のおかずはさらに豪華と感じた。
「朝早くね。さて、父上がおっしゃった通り神官が近々来られます。シューの勉強を見てもらいますわ」
「母上、神官とは…」
「書き覚え、歴史、簡単な計算など教わる文官ですわ。魔法も興味あると言うことで余裕があれば教えてもらいなさい」
読み書き、魔法。。超嬉しい。
「ありがとうございます!勉強します!」
母上はにこりと笑いこっちへ優しい視線を向ける。
「シューは身体が弱いので文官としての知識を蓄えなさい。将来どの様になっても困る事がないように」
「剣術なら教えてあげれるんだけど。。まだ無理か?」
うーん。騎士も格好いいけど今は魔法の方が気になる。魔獣とか無理ぽいし…
「リアコタス兄上、後で指導宜しくお願いします」
「ほう。やはりオズベルタスの血もあるのか。いいだろう」
ザワッと側使えがした。。あ、間違えた?
体力がどの程度あるのか知りたいし。
あまり僕は強く無さそうだけど。
少し経って僕は兄上と庭に向かう。うん今日もいい天気だ。
木剣が用意されて簡単に構えを教わる。
本当に簡単に、だ。
元々剣道を習った事もなく難しい技術は皆無。
子供用の木剣さえ重い。
遠目でフューリがハラハラしているのが解った。
「よし。では好きに打ってこい」
「・・いいのですか?」
「ああ。当てられる気もしない」
身長が2倍ほどあり、普通ではとても叶わないのは解った。
まずは。。エイッ!
出会いがしらに打ち込むが簡単に弾かれる。
ビリっとするね、手が。
何度か打ち込み少し息を整える。
うーん。無理だ。当てれる気がしない。
よく考えろ・・
少し間合いを取り、足に力を。。
おや?これが魔力かな?いままでに感じた事がない感覚だ。
少し足場が軽く。足から足裏にまた少し軽く。
足裏から足の親指へとシフト。うんいい感じだ。
打ち込むのではなく、なぎ払う様に横へ構え。
よしっ!僕は兄上に突っ込んで行く。
「!!」
剣が当たると同時にガキーン!と響き僕の木刀が宙を舞った。
兄上は反応し片手で木剣を合わせただけだ。
その腕が弾かれ今、上を向いている。
―――勢いが止まらない
そのまま足がもつれ込み僕はコケた。
「イタっ!ガッ。。」
「シュー。。お前何をしたのか聞いてもいいかい?」
「イテテ。兄上…何をと言っても足指に力入れれば軽くなったので。。そのまま打ち込みました。。」
手を取り持ち上げてくれたリアコタス兄はふむ、と不思議そうな顔で僕を見下ろしていた。
「上出来だ。あのスピードは少々驚いたが筋力はまだまだだ。せめて木剣が持てる位に素振りをしなさい」
ぷにぷにと僕の上腕をもみながら優しい顔をしていた。
その後素振りをしたり庭のランニングをして練習が終わって、昼食になる。フューリが少し嬉しそうな顔をしていたのが気になるけど。。
「ふむアレフレッド。少しシューの稽古を見て上げてくれないか」
「存じました。妹君も少し落ち着いた様子。代わりの側使えと変えて様子を見ます」
「あら?リア、シューは剣の才能でもあったかしら?」
「…何といいいますか。少し身体を鍛えたほうが倒れにくくなるかと。基礎体力は二歳並みなので」
うっ。。そんなになの!?
確かに筋力痛になる自身はある!
「シューも毎日今日と同じ様に身体を動かすこと」
「…はい。兄上様」
日常の鍛錬は毎朝の日課になる。
昼ごはんが美味しくなるといいな♪あー疲れた〜
昼からは特にやる事もないのでフューリに色々話しを聞く。
僕は基本病弱で家から出ることも少なかったらしい。島の様子を聞くとワクワクしてきた。小規模の港が丘を降りたところにあり、商店や市場もあるみたい。基本島には平民が暮らし、貴族は親族しかいないので、お屋敷らしいのは此処くらい。立て続けに子を産んだ母上は安静しているが、元々島の代表的な立場になるみたい。島の町長みたいな感じ?
「特産品は漁業と塩か。平地部には畑があるのはいいね」
「ぼっちゃまは産業に興味もありますの?商店ではキレイな貝殻もありますし女性には人気ですよ?」
「新鮮なものが食べれるのはいい事だと、ね?他に目立つものはあるかな」
「そうですね、灯台と裏の滝、あとはレグザ名物のネプトゥヌス神殿でしょう」
「ネプトゥヌスの神殿?それは何かあるの?」
「神儀式の時や洗礼式で使いますよ?七歳になれば祝福を送られるのです。通常は動物の憩いの場ですが…」
うーん。普段は使わないけど、神の儀式で色々使われるみたいだ。・・使用を考えれば神社のほうがイメージ強いかな。それとは別に教会も別に町にあるみたい。そこには神父が居て神官もいる。用途は銀行と相談場みたいで庶民的だ。さすが異世界。。
「側使えの事も聞いていい?」
「もちろん。最近入ったのはソムです。春に成人式を迎えたのと同時でまだ15歳ですね。西の貴族から来られました。筆頭側使えはアレフレッド様。武芸も強く母上様と長年付き合っています。その下はロンド、ツィーター、私フューリと護衛兵のランダとエリア、トラウト。料理人のテ厶とハッサですか。あとはお婆様の親友エド爺はたまに遊びに来ます。親族ですよ」
思った以上に多く驚いた。側使えは元々貴族階級らしい。フューリは僕が生まれた一歳の頃から居てくれたので、色々恥ずかしい記憶も全部知っている。そういえば風呂に入れてもらう記憶も、倒れる時も、泣いてる時も必ずフューリがいた。。なんか恥ずかしい。
「…フューリには敵わないから・・」
「もちろんですわ。ぼっちゃまの全てを知ってますね。うふふ」
「もう少し体力をつければ町に行ってみたいけど…どうかな?」
「レグザの下町ですね。いいと思いますよ。他の町に比べアットホームですし。島民はみな領主様も奥様も尊敬しています♪」
そんなこんなを話しながら過ごし生活に慣れて来た。
それから二週間が過ぎようとしたとき、僕は領主の息子として自覚し、運動したおかげでそこそこ行動できる体力になっていた。
しばらく毎日投稿していく予定です。
本日は2部! 2部目です!
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