食堂のお祈りと家族達
食堂には入るとすでに家族は席についており、横に整列していた側使えと顔を合わせる。。ヒュン またズキンと頭が傷んだ。
同時に名前と記憶が流れてくる。。
その人物の上に名前と記憶が同時に浮かび上がる。
ううっ。けっこうキツくはあるが。。
「おはよう、シュー。よく眠れたのかしら?」
「母上、お婆様、おはようございます。暖かくなってよく眠れ、少し遅くなりました」
………少し周りの空気が変わった。。言い方を間違えてしまったか?席につくまで少しの沈黙が流れる。
「…シュー坊がキチン挨拶するとはねえ。。嬉しいじゃないか」
「本当に。今日は少し顔色が良く思えましたけど。フューリ、今朝何か合ったの?」
「いえ、珍しく早く起きられていましたが。特に?外の景色を見ていらっしゃった位でしょうか。。」
うーん。シューリヘトの行動はなんとなく見た感じで、思い出す事はできるけど…多分あまり話掛ける事は少なかったみたいだ。黙々としてるほうがいいのかな?
食事は朝なので簡易的な物と思っていた。が四品大皿に盛ってある。もちろんパンは別だ。貴族は凄い。
「まぁ今日は誕生日ですから。それでは食事を頂きましょう。コビパの導く食材に感謝を。ネプトゥヌスが生み出す魚貝に慈悲を。生命の穫をアテネに感謝し頂きます」
「「頂きます」」
食事は思った以上に美味しかった。だが側使えが取り召してくれてるので、量が少ない。んーもう少し蛤の様な貝の蒸しを食べたいけど…
チラッと隣にいるロンドに視線を向ける。チラッチラッと蛤を見つめる。おお。とりなしてくれた。
次にパンを……
「あら?食欲があるのは珍しいわね?」
「はい。今日は食が進みます。どれも美味しいので」
「…変わった物でもあったかしら?うふふ、嬉しき事ですね」
「シュー坊も四歳になりますから。良き事良き事。ホホホ」
ちなみにお婆様は同じく少食で、すでにお茶を飲んでいる。知識としての記憶をみるけど、食事に関せば記憶はほとんどない。どんだけ病弱だったのか。そこまで食欲が増えたのは気分の問題かもしれない。
だってパン焼いて食べるだけの日々。。ああ貝とサラダが美味しい!そして久しぶりではないだろうか。家族で朝食を摂るのは。少し泣きそうになる。
ロンドはそんな僕の様子を見て少し心配そうだ。この場でいるのは家族3人。僕と母上とお婆様だ。双子の妹は一歳半過ぎたばかりで、食事もまだ。ここにはいない。
自然と周りの人物に目が行く。
母上はとても綺麗だと思うし、まだまだ現役だ。
さすが領主夫人。
少し青色の眼、そして一番目に引くカラフルな金髪。おっとりとした態度は貴族だなぁと感じた。
お婆様も母上と同じく、いやもっと深い森青な目が怖かった。白髪になっても品のある白髪。日が強いのだろうか。少し日に焼けている。
この地域の特徴だろう。
まだ鏡を見てないけど、僕も髪は青色なのかな?
目も金色のかな?うー青って‥‥‥
今はともかく何より裸眼で見るって素晴らしい。
――ああ。世界はこんなに良く見えるんだ。
「今日は家族が揃う日ですもの。シューも体調がいいみたいですし安心したわ。ロンド、アレフレッド、準備は大変だけど宜しくお願いしますわね」
「かしこまりました。奥様」
普通の動作でも少し異なり、ロンドがお辞儀をすると一斉に側使えが礼をする。その動作一連が領主一族に向けてのものと知り嬉しくなった。
「母上。後で妹達に会いに行っていいですか?」
「もちろん。今日はあなたの誕生日ですから好きに過ごしなさい」
「ありがとうございます」
食後挨拶終わって僕は妹達に会いに行く事した。
廊下で転び。。あいた!「ドテッ」
…まだこの体型に慣れてない。
□□□
半二階というのか、階段を上がると小綺麗な通路に着く。子供なので階段も辛いが、記憶を思い出しながら部屋に着く。ドアを開るとまたズキンと頭痛がした。ヒュン
「にぃにぃ」「しゅー」
「おはよう。クリル、リリル♪」
かわいいな♪
生まれて歩くのが少しできる程度の妹達がよってくる。よちよちとした歩き方は可愛らしくほっこりした。
双子というだけに容姿はそっくりで目の左右がそれぞれ色が異なるオッドアイだ。金と青の聡明な色、くりくりとした動きは愛らしい。
「シューリヘト様おはようございます。妹様も元気に育っております」
「ああアレフレッド。少し一緒に遊んで行くよ?」
「にぃにぃボールする?」
「しゅーあそぼう」
兄妹はいたが、年が離れてたのでこうして遊ぶのは新鮮だ。ボール遊びというより僕が投げると我先に妹が取りに行く。
…なんか犬の躾みたいだな。
ふとボールが遠くに行きリリルが(むー)と言いながら投げ返す。ボールは届くと思わなかったが大きくふわふわ楕円を描き僕の手の元へ。。(?)あれ?物理法則無視してない?
「リリル、なんかした!?」
「ん?まほー」
「クリルもできるもん!たぁ〜」
・・ボールがふわふわとクリルとリリルの間を行き交う。
なんだこれ?
「フューリ。。あれはどうなってるんだ?」
「幼いながら魔法をキレイに使えてますね。将来が楽しみですわ」
魔法。。だと?あれ?記憶を思い出しても良く分からない。多分理解のできない記憶は。。ないのか?
「えっと、フューリ。あれは僕でもできるのかな?」
「ええもちろんですわ。母上リュフォーリル様の血を引きついでいますもの。ぼっちゃまはまだ理解していませんが、幼少期の時は同様にしておりましたよ?」
ええーっと。魔法というものがこの世界に存在して。。僕も使えるんだ。目の前で妹達が手を使わず交互にバレーボールの様に遊んでる光景を見てると、なんだか頭がこんがらがってきた。
「にぃにぃもしないの?」
「しゅーだっこー」
「よし来い!大きくなったな。リリルは魔法使いになれるぞ〜」
「まほーつかい。つおい?」コテンと首を倒す。
そんな感じで一刻ほど妹達と遊びつつ一度部屋に戻った。
フューリには用があれば呼ぶといい告げて。
ベッドに座り頭を整理をする。
―――この世界は魔法が存在する。
僕も血筋で使えるようだ。
貴族特有のものらしい。
………よし。やって見るか。
眼を閉じ気持ちを集中をする。
すると少し揺らっとする気配を自分の中に感じた。
右手の中心に集中しその何かを注ぐ。
熱くなるのがわかる。
眼を開ると同時に腕を突き出し頭に思う言葉を選ぶ。
『ファイアボルト!!』
一瞬の光
手が熱くなる
思っていた火の塊は出なく光を出しただけだった
が、同時に足元が崩れた。
一気に全身から力が抜ける感覚。。
「うぐっ。。なんだこの脱力感…」
「ぼっちゃま!なんです今の光は。。あ!ぼっちゃま!しっかり・・
僕は答える事ができない。
すでに倒れ意識が薄れ。。
バタバタと運ばれる記憶と共に眠りについた。
− 初めての魔法は失敗に終わった −
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