プロローグ
「これが。。海なんだ……」
窓の外は見渡す限りの海。景色は穏やかであり、キラキラと光輝いていた。古き時代の帆船、漁船の群れ、遠くに見える地平線しかこの世界になかった。
「海って綺麗だな。よし。俺はこの島の領主になるぞ!どうせやり直せるなら夢はでっかく!」
何処かのフレーズが頭に響いて。
海特有の白い羽を飛ばしていたウミネコが鳴く。
まるで旅立ちを応援してくれてる様に。
□□□
・・目が開けば前より少し小さく。
現実に戻ったのか?
少なくともどこかで見た様な気がする。
欧州の。。。どこかのパンフレットの景色。
小さくなったのはまた転生か?
―――何時間か経過したときだろうか。目を開ると生きているのが奇跡と思った。周りは何も見えず、暗闇に馴れることに時間がかかる。
ふと動かすにしても理解するまで時間がかかった。
娘達の未来は。。。
頑張ったよね?僕は。。
(このまま終わってしまうのか…)
それが今…死を前にして見ればよくわかる。
嫌だ。死にたくない!
こんな人生をするために生まれて来た訳じゃない!
最後は祈るもんだ。
本当の神に僕は祈った。
「…神様。次に生まれ変わったら。世界を楽しみさせてください。きっと。。。何も見てない世界へ」
目の前が光った気がする。
意思を保つのもきつくなり。腕や下半身の痛みも消えた。
あぁ‥僕は死ぬんだ。嫌だ。
い。いやだ。。死にたく……ない
―――一瞬にして死神が。無常にも暗闇が囲い込む。
□□□
「……あれ?生きてる?足は。。ある?」
目が開くと。
そこは潮の音が聞こえる部屋だった。
窓の日差しが強く少し大きな部屋と感じる。
暗闇から一気に反転。まるで空間を飛ばされたようだ。
「あれ?何か小さくなってない?」
手を見ればとても小さく自分のものと思えない。
グーパーと平げて。閉じて。う?自分の手だよね。
動作は子供の頃と同じ感覚だった。
自然と明るい窓に視界が行く。ここはどこだ?
窓は大きく開けてみるには力が足りない。
子供の身体に慣れていない感覚。
なんとか近くの椅子によじ登り窓から見た。
「うぁ〜なんだここ!キラキラしてる!」
正直海へ行った記憶は数回しかない。もちろん日本限定の記憶だ。
海外のパンフレットに載っていた様な景色が素晴らしいのだろうか?それとも感覚が素晴らしいのだろうか?初めて見たリゾートの光景に興奮しているのだろうか?もしくは天国なのだろうか??
…否 ここは島の少し大きな丘で
海が一面を多い尽くしていた
ただそれだけ 僕はずっと見ていた
ヒュン ヒュン ヒュン 頭の中で何かが変わっていく
「ぼっちゃま。起きられましたか?今日はいい天気ですから。。。!!ぼっちゃま大丈夫ですか!?」
振り返るとメイドの様な格好した女性が近寄ってきた。小さめだけど少し青がかった大きい眼と短くしている金の髪は綺麗だ。
ヒュン う、頭がズキン響く。
酔うようにふらふらとする……記憶の渦が流れてきた。
「…フューリ。。だよね?ごめん。海を見てたんだ」
「大丈夫ですか?何かお身体に異変は?どこか痛い所はないですか!?」
「うん。大丈夫。おはようフューリ」
「ぼっちゃま…おはようございます。そんなにお泣きになって。。本当に大丈夫ですか?」
ふと目元に手が行く。頬・・あれ?濡れている。
―僕は泣いていたのか?
あぁそうか。目の前のメイドは心配してくれてたんだよね?
ゆっくりと僕は頭で整理する。何て言うのか文章を作る。
「ごめんねフューリ。大丈夫。何処も痛いとこはないよ?嬉しかったんだ」
「はぁ…何か嬉しかったのでしょうか?コホン。では着換えを済まし朝食へとご案内します」
一通りの準備をしながら記憶を思い出す。
まだ少し整理するには時間が掛かりそうだけど、痛みは減って行った。
僕は今レグザという島にいて生活をしている。今日は四歳の誕生日で初夏の時期だ。今日は久しぶりに家族が帰って来て誕生日会をしてくれる。お婆様の家で育つ僕は領主の家系の一族らしい。この屋敷は幼年期育つので、今いるのは母と僕と双子の妹達だけだ。側使えは全部で5人しかいないのだが、アットホームな雰囲気は昔育った田舎のばあちゃん思い出すいい環境と思う。
「フューリ、今日は父上も兄上も来るんだよね?」
「はい。領主オズベルタス様もラインストーン様も、リアコタス様も来られます。皆シューリヘト様の誕生日会をお楽しみにしていますよ」
そう。僕の名前はシューリヘト・オズベルタス・レグナム。レグナム神国の第六王子という肩書だが、病弱なゆえ母も心配している。通常領主一族は首都の王宮にて教育を受けているので、兄上も長く合っていない。三歳のとき寝込んでいたせいか、父上こと今の領主様の顔も思い出せない。
ん〜王子様か。。ピンとこない。
もちろんこの世界も多くの国があるのは分かるのだけど。。レグナム神国は中小国の一部に過ぎないみたいだ。
「久しぶりに合うのでぼっちゃまも楽しみですね」
「そうだね。四歳か。。」
「あら今日は何だかしみじみしておりますね?大人になったのでしょうか?」
「フューリ、何か長い間夢を見てたみたい。少し変かな?」
「そんな事ございませんよ。今日はお身体もよろしい様子ですし。神の思し召しですかね♪」
そんな些細な事を言いながら部屋を出て行く。
ああ。白い壁と木の窓が綺麗。廊下も掃除が行き届いていて何だか美術館に行っている見たいだ。
自然と食堂に足を伸ばしながら、多分知っている世界とは異なるのは何処か感じた。
―――そう。ここは知っている世界ではない
改めて転生したんだと。
歩く歩幅も小さく天井が大きい。
屋敷の中はアール・デコ調で、みるもの全てが新鮮だ。
子供になった僕は不謹慎だけど、領主一族という状態を感じながらワクワクが止まらなかった。
しばらく毎日投稿していく予定です。
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