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死神少女はどこへ行く  作者: ハスク
捌 ―帝国血に染まる―
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死神少女は容赦なく死を振り撒く

【ベルセイン帝国 巨大湖の町レキノ】

城から逃げ出すため玄関に向かう。

目を覚まさないレイラを器用に鼻を抑えながらおぶっている。


今回ほとんど動けてないハンナは負い目を感じていた。

腐敗臭に怯んでお荷物状態となってしまった彼女はせめてこのくらいはと申し出た。

普段甘えさせてもらっている身、嫌われて追い出されたくないのだ。


先頭を行くエミリアはそんなことを気にする素振りを見せず、ずんずん進んでいく。



扉を開けると玄関、エントランスホールが見えた。



それは突然だった。


「っ!?」

「お姉様!!」


エミリアがエントランスホールに足を踏み入れた瞬間、扉のあった場所に壁が降りてきた。

壁を蹴っても当然びくともしない。


向こう側でナタリーが何かぶっぱなしているのか轟音が鳴り響いていた。



「おほほほ!!どちらへ行かれるのです?」


いつの間にかエントランス中央にアデーレと武装した侍女が立っていた。


「レイラに随分な歓迎したから出ていく。」

「帰り際の挨拶は必要でしょう?勝手に出ていくなんて失礼ですわね。」

「大事な仲間に怪我させるあんたの方が失礼。」


主人を『あんた』呼ばわりしたエミリアに侍女達が殺気を放つ。


「どちらにしろ大事なお客様をまだ帰らせるつもりはないわ。そこの玄関は日の出がこないと開かないの。」


見ると玄関扉には巨大な魔方陣が浮かんでいた。

魔力の低いエミリアではどうすることもできない代物だろう。


「あなた達、お客様が帰れないからもてなしてあげなさい。」


アデーレの命令で武装侍女達が向かう。

だがほとんどは本当にやっていいのかと困惑気味だ。

その中で血気盛んらしい侍女の一人が斬りかかってきた。


はぁ、とため息を吐くとグリムリーパーを逆手に構えた。



先頭の侍女の剣を受け止めた。

そのまま剣を持つ腕を思い切り引っ張り引き寄せる。

侍女はエミリアに背中を向け捕まった。


「なっ!?」

「じゃあね。」


引き寄せた侍女の腹から剣が突き出た。

殺意を向けてきた時点でエミリアは一切の容赦がない。


侍女の剣を奪うと死体を蹴り飛ばす。


「悪くない。」


そのまま侍女の剣で戦い始めることにした。




今の惨劇を見た残りの侍女達は顔を青くしていた。

まさか目の前の少女が仲間一人を躊躇なく殺すとは思わなかったのだ。

命令で全員武装しているものの、怯えて降参してくれるものだと思っていたのだ。


だが今ので彼女達は理解してしまった。



目の前のそれは自分達を殺してしまえる存在だということに。


アデーレの命令には逆らいたくない。でも死にたくない。

板挟みになった侍女達は選択を迫られる。





「うわぁぁぁぁぁぁ!!!」


全員同時にかかれば怖くない。



剣を振り上げ叫びながら一斉に突撃をした。






一度に複数を相手するのはさすがに面倒だ。


エミリアは両端の侍女に向けナイフを投げた。

仕留めはできなかったが二人の足が一瞬止まる。直後走りだし真ん中の侍女の腹に一発頭突き。


「ぐぇっ!!」


侍女が卒倒した直後、残った二人の侍女から強い殺気。

倒れた侍女を無理矢理起こし影に隠れた。


「ぎゃあぁぁぁ!!!」


二本の剣が侍女に刺さる。

飛び出したエミリアが一人ずつ奪った剣で相手する。



二人の首が飛んだ。



瀕死になっといる侍女にエミリアがゆっくり近づく。


「やだ………来ないで…………。」


後ずさる侍女は涙目で少女に懇願する。


「だめ。レイラを怖がらせたのはそっち。」


そう言うとエミリアは容赦なく侍女の首をはねた。


武装侍女は全滅できたがアデーレの姿がない。

戦闘中、アデーレらしき気配が上へ行くのを感じたエミリアは上の階層へ向かう。


ナタリー達ともその内会えるだろうと根拠はないがそんな自信がエミリアにはあった。








道中武装した侍女達の洗礼は勿論受けた。

奪った剣はなかなか使いやすい。投げナイフの数は残り少ないし、そこらに落ちてるから代用してもいい気がする。


早速武装侍女の集団に投げてみた。


「ぎゃああ!!」


一人の顔を抉って終わった。倒せてない。

やはり投げナイフと比べる物ではなかった。


不満そうにナイフを取り出して応戦していく。



ふと、右手に持つグリムリーパーに目をやると何やら赤く光っている。



そうだ、この子も剣だった。


ナイフを侍女の額に当てるとグリムリーパーを両手で構える。



間合いに入った侍女達の体が一気に上下に別れた。

上半身だけになった侍女達は何が起きたのかわかっていない様子。


エミリアは自分より低くなった侍女の一人に近づき首を掴みあげた。


「あっ…………がっ………!!」

「あんた達の主人の部屋はどこ?」


首を傾げて聞いてみるが侍女の顔には恐怖しか浮かび上がってない。


そのうち別の上半身侍女達が悲鳴をあげはじめた。


靴に血が垂れてることも気にせずエミリアはアデーレの部屋を吐かせようとした。


「うっ!?」

「どこにあるの?」


じれったくなったのか壁に叩きつけた。

苦痛と目の前の狂気に耐えられなくなった侍女がある部屋を指差す。


意外と近かったようだ。


用のなくなった侍女を乱雑に投げ捨てるとアデーレの部屋を蹴り破る。








「まぁ、礼儀のなってない子ね。」


真紅のドレスを着たアデーレがベッドに座り待っていた。






エミリアの中で一際殺意がわいてきた。


「レイラに酷いことしたあんたは絶対に殺してやる。」

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