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死神少女はどこへ行く  作者: ハスク
漆 ―王国脱出―
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死神少女は再会する

【ブランウェル王国 港町スレイル】

五人が目的地である港町に辿り着いたのは夕方。

しかし空は暗い雲で覆われ、今にも振りだしそうだった。


あれからエミリアはずっとレイラに抱き着かれていた。「お姉ちゃんはもう泣かせたくない」と何を言っても離してくれない。

他の三人も特に何も言わないのでそのままやってきたのだ。ちなみにエミリアは完全に泣いた記憶が無くなっていた。




「嬢ちゃん達、キャプテンが待ってるぜ。」


海賊風な男がやってきて、建物を指差す。

どうやら話を聞いているらしい。




「…………。」

「エミ…………どうしました?」


エミリアが落ち着かなさそうに周りを見ている。


「何か気になることでも?」

「………今は大丈夫。」

「?」







エミリアは三人位の殺気を感じていた。

だが今は向こうも仕掛けては来ないはず。


狙うとしたら…………











「よぉ、待ってたぞ。」


部屋に案内されたエミリア達は街を仕切るキャプテン・フェイズと再会した。


「あの時は思い出せなかったが、エリオットの子だったのか。大きくなったな。」


フェイズはエミリアの頭を撫でた。

どことなく懐かしさを感じた。もうずっと前にもフェイズに会っていたような…………。


「おじさま、お久しぶりですわ。」

「私たちもいます。」

「ナタリーにクリスティアナか。お前たちも来てくれて何よりだ。」


フェイズは二人の頭をぽんぽんとする。

手を離したときエミリアがちょっともの足りなさそうな顔をした。


「ゆっくり昔話したいところだが、お前達を里帰りさせなきゃいかん。」

「お願いします。」

「船は用意できている、すぐに出港させるぞ。」


フェイズは窓から海を見る。

空は暗いが波は荒れてない。







フェイズは五人に船の場所を教え部屋に戻った。

立場上彼は国に五人の逃走に関わったことを知られるわけにはいかないのだ。


フェイズに教えてもらった船の前に到着すると、船長と思われる男が手招きした。

もう出港するらしい。


エミリアは何か遠くの方を気にし始めた。

先程感じた殺気の場所…………狙うなら今なのだが。



「う゛っ!?」

「きゃああ!!」

「お姉様!!」



エミリアの肩に矢が刺さった。

完全に意識外の方向からだった。おまけにエミリアの感知範囲外、避けることができなかった。


クリスティアナにだき抱えられながら船に乗り込む。


エミリアは矢が飛んできた方向を睨んでいた。

感知範囲外でもだいたいの場所はわかった。


弓を持った女性が見えた………………見覚えのある顔。


「くっ!!」


エミリアは女性に向かってナイフを投げ、その場に倒れた。

四人分の悲鳴があがり、船は出港した、














ルーシー・ギッデオンは冒険者の中ではかなり腕の立つ弓使いの女性だ。

パーティーのリーダーであるバッツと共にエミリア捕縛の為に港で待ち伏せていた。


彼女は別にエミリアを殺すのが目的ではなく、戦力低下を狙っていた。エミリアの異常性に気づいていた彼女はまず一番やばそうな奴を機能停止させることにした。


矢にはバジリスクの持つ神経性の麻痺毒が塗られていた。

命には関わらないが半日はまともに動けなくなる。


射程ギリギリから放った矢はエミリアの肩に命中、かわいそうだが仕方ない。


「あっ!!」


直後、ルーシーの腕にナイフが刺さった。

方向からしてエミリアが投げた船………あんな場所から………。


ルーシーは大人しく下がることにした。








大丈夫、動いているのは私たちだけではないから。


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