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死神少女はどこへ行く  作者: ハスク
漆 ―王国脱出―
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死神少女は貴族のお嬢様?

【ブランウェル王国 マルティアナ平原】

数分前、こんなやり取りがあった。


「いいですか、お姉様は聖都に取り残されたとある貴族令嬢。レイラちゃんとハンナさんが現地で知り合ったお友達。私とクリスティアナ様が保護をして王都へ向かう冒険者という形でまいります。」

「貴族令嬢の喋り方わかんないよ?」

「そうでしたか………ならばショックで喋れなくなったとか適当な理由を考えておきますので、お姉様は決して喋らないようにお願いしますね?」

「ん。」













そして現在、五人の前に第三騎士団が現れた。

先頭の騎士は大柄で色黒の男。山賊の頭に間違われそうな風貌だ。


「おう、聖都からやってきたのか?」

「はい。もう大変な騒ぎでした。」


隊長らしき男にクリスティアナが答える。

エミリア達を守るようにナタリーとクリスティアが前に、後ろにはエミリアのサイドから腕にしがみつくレイラとハンナ。二人とも怯えの表情を浮かべていた。演技である。


「俺は第三騎士団を束ねるグレック・サーシェスだ。」

「冒険者のライラ・ハノンと申します。こっちは仲間の………」

「ナターシャ・レイブンです。ナターシャでいいですわ………です。」


クリスティアナは心の中で謝りながら祖母の名前、ナタリーは帝都の魔法学園にいた生徒の名前を躊躇なく名乗った。


「私たちは聖都から脱出する際に貴族令嬢と思われる方を保護しまして。」

「かわいそうにショックで声が出なくなってしまったようで、どこの家の方かもわからず、王都へ確認に向かう最中でした。」

「あ、その二人はご友人とのことです。」

「ほぉ~?そいつは災難だったな。」


グレックはエミリアを少し眺め、またクリスティアナら二人に目をやる。


「聖都にいたのなら話が早い。この顔に見覚えはないか?なんでも第二王子を殺しかけた奴らしいんだ。」


懐からエミリアと思われる似顔絵を見せた。

エミリアの髪型など、うまく特徴を捉えている。


「ふむ?…………見覚えないですねぇ。」

「そうか、そりゃあ残念だ。」


ナタリーは少し考えて答えた。


「もし見かけたら知らせてくれよ。相手はガキでも人殺しになりえるんだからな、絶対相手にすんなよ?」


グレックはそう言うと騎士を引き連れて聖都跡地へと向かっていった。






「うまく行きましたわねお姉様っ。」

「私は何もしてないんだけど。」


正直エミリアは簡単にいくと思っていなかった。いざというときは皆殺しにするつもりだったが。





【ブランウェル王国 シルフの森】


森が見えてきたところで日没になった。


「今日は森で野宿になりますね。」

「こんな状況で宿に泊まれませんわね。」


シルフの森に入った辺りでテントを張った。

レイラはエミリアの背中で既にぐっすりだ。


「美味しいご飯獲ってきてあげる!」


ハンナはそう言うと森の奥へ消えていった。


「ハンナさんがいて良かったですわ。」

「こういう時にハンターは頼りになります。」



ハンターとは魔物討伐の専門家だ。

戦闘力は勿論、魔物の知識も豊富で中堅の冒険者よりも優れる。

それらの大部分は経験で養われる。

実はハンターの数は十人に満たないといわれている。というのも彼らは人間社会から離れ、自然の中で生活をするのだ。

俗世から離れることで人間本来の身体的、精神的な潜在能力を発揮させることができるんだとか。

ちなみにハンターは冒険者からは商売敵とされている。

魔物討伐に関しては下手な冒険者より頼りにされ、そちらを指名して依頼をする者もいる。

ただ彼等はギルドに属していないことが多く、仲介人もいないため、まずは危険を冒して接触する必要がある。



現在人間社会で生活しているハンナは血筋が良いのか、幼い頃から過酷な生活をしてきたからか不明だがハンターが理想とする身体能力を所持している。視力に優れ、微細な音も聞き逃さず、猟犬のような鋭い嗅覚を持っている。

そのお陰で弱点もあるが彼女は割りきっているようだ。

自然から結構な時間離れているのだが件の潜在能力は低下しているようには見えない。



「お待たせー!」


ハンナが背負ってきたのは自身よりも大きなソードタイガー。以前レイラが倒したものより更に大きかった。








【聖都跡地】

「女狐共め、俺達を騙した代償を身体で払わせてやる。」


グレックはエミリアの似顔絵を握りつぶして王都の方向を睨んだ。

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