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死神少女はどこへ行く  作者: ハスク
陸―聖都の伝説―
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死神少女は昔からおかしかった

【聖都ラ・ブランダス】

エミリアは瓦礫の中から這い出てきた。魔方陣の転移先が既に埋もれていたようだ。

転移直前に一発直撃したらしく頭から血が流れている。頭に手をやって出血に気づくと顔をしかめた。だがそれよりも先に…………



「くっ…………うぁぁっ!!」


お腹に刺さっていた剣を引き抜いた。いい加減気持ちが悪かったのだ。

血と一緒に力が抜けてその場に倒れこんだ。


上を見上げると少し離れた所で邪神が魔物を呼び寄せていた。

他に特殊な魔法を使ってる様子はないが巨体というだけで周りの被害は大きい。




殺気。


すぐに起き上がると振り向き様にグリムリーパーを横に凪ぐ。


「ギャァ!!」


黒いハーピィが両断された。

どうやらエミリアの血を嗅ぎ付けたらしい、他にも殺気が複数放たれている。

エミリアは舌打ちしつつ相手することにした。


そばに来ていた黒いウルフをまずは捌く。

動きの速い魔物は残しておくと面倒だ。飛びかかりを避け、すれ違い様に深く切りつける。

二体目のウルフは突進を蹴りで迎撃、怯んだところを一突き。

黒いハーピィが上から急襲。足の爪がエミリアの髪を掠めた。振り向いて切りつけ、足を切断した。

ハーピィがその拍子に墜落し、背中を貫かれ絶命した。


騒ぎを聞き付けた黒い魔物がエミリアの元に次々と集まり始めた。



流石に休む間も無いと少女の身では厳しいものがある。おまけにお腹の出血はまだ止まらない。



黒いウルフが二頭同時に飛びかかってきた。

一頭は頭から切りつけ二つに分断した。

もう一頭の爪がエミリアの頬を掠めたが気にしない。


「グァオォォォ!!」


エミリアの背後にいた魔物が炎に包まれた。

振り向くと赤いドラゴンが咆哮をあげ炎を吐いていた。

ドラゴンの影から一人の少女がエミリアの元に走ってきた。


「エミリアっ、すごい怪我………すぐに治してあげます!」


クリスティアナが回復魔法を発動させた。少し時間がかかるが傷を完治させる効果がある。


「良かった………何かあったら私………」

「ん、私まぁまぁ強いし。」

「それでもですっ!予想外のことはいくらでもあるのですから!」

「むぅ………。」


エミリアは自分が死ぬと思われているのが不満なようだが、自分のことを思ってくれているのは満更でもないようだ。


「ギュウゥゥン…………」


フレイムドラゴンが甘えるように頭を擦り寄せてきた。

心配してくれているのだろう。

大丈夫だよと優しく撫でるとグルルゥと唸り頭を引っ込めた。


「ナタリーとハンナは?」

「あなたの怪我を見て魔物を根絶やしにすると。」


クリスティアナが指差す方向には二人で数十頭を相手するナタリーとハンナの姿が。


「全部まとめてぶち殺してあげますわぁ!」

「地獄に落としてあげるんだからぁ!!」



クリスティアナの魔法により体の痛みが取れ、出血が止まった。


「エミリア、それは聖剣………ですか?」

「あーこれ?転がってたから拾った。」


エミリアは地下で起きたことを話した。

クラークが襲ってきて半殺しにしたこと、捨ててあった剣を拾ったら黒くなったこと。


「聖剣が黒く?そんなことが………」

「せっかくだから名前をつけたの。グリムリーパー、私がお母さんに読んでもらってた絵本のキャラからつけた。」

「えっ………まさかあの絵本ですか?」


クリスティアナはエミリアが言っている絵本に心当たりがあった。


幼少期、母親に読んでもらった絵本『グリム君とリーパーちゃん』は妹思いの兄グリム君が妹のためにいろいろ頑張る童話だ。

問題はファンシーな絵柄で中身が非常に過激で教育にはとても向いてない代物だということだ。


今のエミリアはこの絵本が作り上げたと言ってもいいくらいに影響されていた。



クリスティアナはそんなエミリアに何か言いたそうだったが、グリムリーパーをいとおしそうに撫でるエミリアを見て諦めた。




エミリアら(二人と一頭)は暴れまわる邪神を見上げる。


「帰る前にあれをなんとかしないと、だよね。」


グリムリーパーは怪しく赤い光を放った。

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