表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
死神少女はどこへ行く  作者: ハスク
陸―聖都の伝説―
57/174

死神少女は死の境地を見る

【聖都ラ・ブランダス】

前に会ったときとクラークの雰囲気が違う。

エミリアへの殺意は変わらないが何か黒いものを感じる。


「無様だな、これから俺に殺される奴の格好ではないな。」

「………うるさい。」


ムキになってエミリアは起き上がる。まだ背中は痛いが気合いで隠す。

クラークは既に臨戦態勢だ。エミリアも剣を逆手に構えるが正直ただの剣では頼りない。


やがて剣撃の音が鳴り始める。

エミリアはクラークの剣を受け止め続けるが以前よりも重い一撃に反撃できずにいた。

接近されたら蹴りで突き飛ばす。

悔しいが今はこの男に勝てる気がしない。仲間の誰かが来てくれるまで時間を稼ぐしかできない。

あまり頼りたくはないが………


「よそみをしてる暇はないぞ!」

「くっ………!」


クラークは容赦なくラッシュをかけてくる。

地下の空間に剣が叩きつけられる音が鳴り響く。

時折魔法剣による炎の斬撃もくるがエミリアはうまくかわす。最初は驚きのあまり動けず直撃してしまった、もう同じ攻撃は当たらない。


「いい加減観念して俺に殺されろ!」


クラークが思い切り剣を振る、少しよろけた隙を逃さず懐に飛び込んだ。

王子の胸と腹がナイフで切り裂かれる。

反撃が来る前に蹴飛ばして離脱をした。


エミリアはナイフについた血を白い袖で拭った。



「それで勝ったつもりか?言っておくが前の俺とは違うぞ。」


クラークから黒いオーラが出てきた。

邪神の力を発現したのだろうか。


クラークが飛び込んできた。先程とは比べ物にならない速さに対応できずエミリアは吹き飛ばされた。

再び剣を交える音が鳴り始めた。


「っ?!」


エミリアの剣が猛攻に耐えきれず折れてしまった。同時に右腕も斬られる。


「………役立たず。」


折れた剣を投げ捨てたエミリアは左手にナイフを持った。






手詰まり………






右腕は使い物にならない。

仲間が来るまでの時間稼ぎもこれ以上は難しい。

相手はもはや人外、ナイフだけでどうにかなるものではなかった。





ふと、エミリアはクラークの後ろに光る物を見つけた。

投げたナイフの大きさではない。


「覚悟は決めたか、今度こそ死ぬがいい。」


クラークが突っ込んでくる。





なんでもいい。






こいつを倒せるものならば。








エミリアは突っ込んだクラークをすり抜けると走り出した。

すぐさまクラークが追いかけてくる。エミリアは振り返らず一点だけを見て走る。


「くぅっ!!」


追い付かれて背中を斬られる。切り傷と火傷を同時に負った。

その間にエミリアは祭壇にたどり着いた。



祭壇に刺さっていた剣………クラークに抜かれたそれは黒い墨のような物が付着していた。


エミリアは剣を手に取った。

直後剣から稲妻が放たれる。


「っ!?」

「くっ!!」


クラークは先程の電撃を喰らっていたためその場から離れた。

エミリアは明らかに直撃を受けているのだが目を大きく見開いたまま立っているだけ。








稲妻はやがて黒くなり剣を覆う。


銀色だった刀身は光を一切反射しないほど真っ黒に染まり、微かに赤いオーラを放っていた。


エミリアは異質な剣の刃先を撫でた。



「………悪くなさそう。」


初めて持つ剣なのにずっと使ってきたかのように手に馴染んでいた。


「……………グリムリーパー、それでいいか。」


咄嗟に頭に浮かんだ言葉を呟くと刀身が怪しく赤色に光った。

昔読んでもらった本のキャラクターが持っていた剣にそっくりだった。




エミリアは黒い剣…………グリムリーパーの切先をクラークに向けた。





グリム・リーパーとは死神を意味します。

エミリアは知らないようですが。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ