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死神少女はどこへ行く  作者: ハスク
伍―邂逅―
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死神少女は親友の危機を察知する

【ブランウェル王国 王都ミゼリオナ】

風邪でダウンしていたエミリアの見舞いに来たリリノアが見たのは、レイラの顔を弄くり回すエミリアだった。


「………なにしてんの?」

「気晴らし。」


どうやら三日間外に出られなかった鬱憤を晴らしていたようだ。

レイラにとってはいい迷惑だが気にしてはなさそうだ。


「なに、貴方達まさか三日間ずっとそれ?レイラちゃんにうつるじゃない。」


リリノアが引き剥がそうとするとレイラがいやいやと抵抗してきた。


「私は風邪ひかないから大丈夫。」

「ひいたことないから言えるんでしょ?近くに居たいのはわかるけど………」


しっかり抱きついて離れようとしないレイラを見てリリノアは呆れる。


「けほっ………セリカさんは?」

「緊急の仕事ですって。名指しされるなんて珍しい。」


セリカはCランク冒険者ながらギルドからの信頼は厚く、時折名指しで依頼を斡旋されることがある。

実力的にはBランクへ昇格してもおかしくない。


「ん、有名なんだ。」

「そうね色々と。」


エミリアは純粋に凄い人だと言っているのだが、多分リリノアは見た目のことを言っているのだろう。

ビキニアーマーを来てたら嫌でも目立つ。



「あら?そういえばもう一人の子は?」


リリノアは黒髪が特徴のハンナが見当たらないことに気づく。


「何かを買いに出掛けた。リリノアさんが来る少し前に。」

「入れ違いになっちゃったか。」

「果物は風邪に効くってけほっけほっ!」


エミリアが少し咳き込むとレイラが背中をさすった。

お礼のつもりで優しくレイラの頭を撫でると気持ちよさそうに目を細める。


「仲睦まじいわね全く。セリカもこれくらい大人しかったら…………」


何やら俯きながらリリノアはぶつぶつ呟き始める。

相方に何か思うことがあるらしい。


「これはお見舞いの品よ。私は戻るから、安静にしてなさいよね。」


適当に買ってきたパンを置いてリリノアは出ていった。




「こほっ………悪くない。」


クロワッサンが入っていたので少し嬉しい。


「お姉ちゃん、私が食べさせてあげる。」

「ん?…………まぁレイラがやりたいならいいよ。」


レイラはクロワッサンを少しちぎってエミリアの口に運ぶ。


「あーん。」


………前みたいな失態は犯さない。

お互いに気まずくなるだけだ。


うまいことレイラの指を巻き込まずパンを咥えた。



なぜかレイラが残念そうな表情を浮かべているが見なかったことにする。



差し入れのパンを食べたら瞼が重くなってきた。


「ん………ごめんレイラ………。」

「うん。おやすみなさい、お姉ちゃん。」


時間帯は昼、今からどれくらい寝ていられるだろうか。

二人をこれ以上心配させるわけにはいかない。















夢を見た。

馬車に乗って何処かに向かっている場面のようだ。


目の前には………地下闘技場で見かけた王子?

怪しく赤く光る目の王子は何かを囁いてきた。

なぜか聞き取れない。







(助けてください………!!)



「………クリス?」


エミリアは起き上がる。

頭の中に親友の声が響いてきた。

自然と体が動き出す。


部屋にはレイラとハンナがベッドに寄りかかって寝ていた。

起こすのはやめておく。

クリスティアナを助けるだけ、すぐ戻ってこれる。




「うぅ………」


汗で服と下着が張り付いて気持ち悪い。

おまけに寒気もする。



何処に行くべきなのかはわかる気がする。

………王都のはずれ?












王都のとある宿の前でそれは立ち上がった。

周囲を見渡すと唸るような声をだす。



体の動きはかなり鈍い。

しかし彼は使命に従い歩き出した。







「主………必ず参る。」


兜の向こうが赤く光った。

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