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死神少女はどこへ行く  作者: ハスク
伍―邂逅―
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死神少女のゆるい夜

【ブラウェイン王国 王都ミゼリオナ】

夜になっても人の行き来は止まらない。

エミリア達は宿に近い食堂に来ていた。


「いらっしゃーい。あら、可愛いお客さんね。好きなとこ座ってー。」


割烹着を来た若い女性は看板娘だろうか。

厨房には厳つい風貌の男性が少しこちらに顔を向け、すぐに調理を再開した。

店内には少数の客がいる。

なんとなく落ち着くので一番端のテーブル席に決めた。


エミリアを挟むようにレイラとハンナが座った。


「………そっち空いてるけど?」

「「こっちがいい!!」」

「おぉ……。」


二人の謎の剣幕に思わず圧倒され、左右の腕に二人が抱きついた。

腕越しに柔らかい感触を押し当てられる。真ん中が男性ならムフフな場面なのだろうが、残念ながら美少女二人が挟むのは美少女。エミリアにそんな気はない。


店員と客は温かい目でエミリア達を見ていた。



エミリアは野菜定食とバターロール、レイラは焼きキラーフィッシュ、ハンナはエビルベアのモモ肉を食べていた。



ハンナの肉料理は結構な大きさなのだが残さず完食していた。

エミリアはどちらかというと少食なのでハンナの半分も食べきれない。

レイラは人間の姿で長いこと過ごしたせいでドラゴンにしては少食だが、人間的にはハンナほどではないが大食いに部類される。




飲み物を持ってきてもらい女子トークをし始めた。


ハンナの狩猟自慢(グロ注意)に始まりエミリアの孤独なサバイバル話(グロ注意)、レイラの子竜時代(グロ注意)など話題はたくさんあった。




結構話し込んでしまったのでそろそろ宿に戻ろうかと席を立ち上がりお会計にむかう。


なかなか美味しかったのでしばらくはこの食堂で世話になろうか。

お金はオークから貰ったからまだ余裕はある。





「おぉなんと美しい女だ!」


食堂を出たところで冒険者風の男が近寄ってきた。

レイラが怯えてエミリアの背中に隠れる。


「なかなか好みのやつと会えるとは運がいい。」

「誰?」


エミリアとハンナはレイラを守るように並ぶ。


「僕はアルフレッド・ゴミスカス、通りすがりの冒険者さ。運命の出会いに感謝を。」


エミリアの左手に手を絡めてくる。

ナイフでも刺そうかとした所でハンナが手刀で無理やり引きなはす。


「いった!!いきなり暴力はひどいぞ!!」

「ゴミだかカスだか知らないけど嫌がることはやめてよ!」


エミリアはほとんど無表情で雑菌でも落とすかのように外簑で拭っていた。


「ごめんなさい、ほんとごめんなさい。」


アルフレッドの後ろで神官風の少年が謝っている。


「えぇい邪魔をするな!僕はその女の子に用があるんだ!」

「きゃ!?」


アルフレッドがハンナを突き飛ばした。

瞬間、アルフレッドにエミリアが近づき首を掴みあげた。


「悪いことするのは駄目。」


アルフレッドの足が少し浮かんだところで道に叩きつけた。

本当はもう一発くらいいきたいが人が多すぎる。

このくらいでやめておこう。


アルフレッドが咳き込んでるが無視してハンナを起こす。


「いこ?ゴミカスが全部悪いから。」

「ま………待ってくれ…………けほっ。」


声を無視して宿に戻る。




「ハンナ、怪我はない?」

「あーうん。大丈夫あれくらい。」

「怖かった……」

「はぁ…………」


エミリアは一気に疲れが出たらしくため息をついた。














ほとんどの人間が寝静まった頃。

エミリアの部屋は二階の窓際でなかなかいい場所だった。




黒い頭巾を被った男が二階の窓に手をかける。

すると鍵が勝手に開き、窓が開いた。


盗賊の道具の一つで宝箱につかう物だがこのように窓にも使える物もある。


使うと犯罪だが彼には関係ない、仕事だからだ。



明かりの無い部屋の様子を伺いながら、部屋に侵入する。






鈍い音と共に男の意識が無くなった。


「そんな気はした。」


ヒビの入った花瓶を持つエミリアは呟く。

部屋には二つの寝息が聞こえる。


何らかの報復はあるだろうとずっと待ち構えていたのだ。

まさか花瓶で気絶する柔な輩だとは思わなかったが。



男を二階から落とし、窓をしっかり閉じる。

二回はないはずだ。

エミリアは今度こそ寝ることにした。










翌日、宿の前では当然騒ぎになっていた。

そして気絶した男の上に


「次は殺す」


と綺麗な字で書かれてた紙が置かれていた。

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