死神少女と不可視の友達
ヒソヒソ…
ヒソヒソ…
ヒソヒソ…
【ブラウェイン王国 シルフの森】
エミリアが起き上がると自分の周りに何やら白い光が集まっていることに気づく。
何なのかはわからない、この森特有の虫か何かだろうか?
しかし光を触ろうとしても空を切るだけだった。
わからない、取り敢えず今のところ害はないし放っておく。
そろそろ森を抜けよう。ハンナは抜け道を知っているだろうか?
「っと。」
ハンナは狩りにでも行ったのか姿が見えない。
寝起きが悪いのも考えものだ。
レイラは珍しくまだ寝ている。
「んにゅ………」
ハンナが戻るまで寝顔を見ているのも悪くない。
ヒソヒソ……
ヒソヒソ……
ヒソヒソ……
誰かに視られている。
エミリアは気配の察知に優れている。
誰かの視線や気配にはすぐ反応できる。
だが先程から感じる気配の場所を確認しても何もないのだ。
確かに気配自体はそこから感じる。しかし何も見えない。
「…………お祓いとかしてもらおうかな?」
ゴーストに憑かれるのは勘弁だ。
教会に行けばお祓いとかしてくれるだろうか?
ハンナがソードタイガーを抱えて戻ってきた。
取り敢えずご飯が先。
空腹では何もできないし。
ヒソヒソ……
ヒソヒソ……
何となくわかってきた。
この気配は周りを漂う光だ。
魔法生物の一種だろうか?
ふと、レイラがずっとエミリアを見つめていることに気づく。
「お姉ちゃん、妖精さんが集まってきてるよ。」
「ん…………この光のこと?」
レイラは魔物だからか妖精が見えるらしい。
手のひらサイズ程の大きさだという。
「うん。妖精さんの言葉はわかんないけど、妖精さんが集まっている場所や人はお気に入りなんだって。」
「……妖精に気に入られるようなことはしてないと思う。」
「んー、妖精さんのことは私もわかんない。」
ヒソヒソ…
ヒソヒソ…
「ちなみに妖精は今なにしてるの?」
「お姉ちゃんによじ登ったり髪をもふもふしてる。」
完全に遊び場になっているらしい。
言われて初めて感じる微かに髪を触られる感触……ただ悪い気はしなかった。
ヒソヒソ…
ヒソヒソ…
そういえば背中の痛みがいつの間にか消えていた。
もっと長引くと思っていたが………
ヒソヒソ……フフフ……
妖精とやらに頭を弄くられながら歩くと泉のような場所に辿り着いた。
そして気配……六人。
草むらに隠れて様子を伺う。
金髪セミロングの女性と後ろに金髪ボブの少女、向かいに全身緑のオーク四体…………昨日潰したのと同じ見た目だ。
女性は剣を構えているが左腕を怪我している。
ヒソヒソ……
エミリアの頭の光が激しく動く。
妖精の言葉はわからない。でもどうしてほしいかは何となくわかった。
レイラとハンナは何時でもいいと頷く。
よし、ぶっ飛ばそう。




