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死神少女はどこへ行く  作者: ハスク
参―見守る者―
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死神少女と巨大海獣

【ブラウェイン王国 港町スレイル】

青い髪の少女をサハギンが包囲する。

エミリアはトライデントを構えるとおもむろに後ろにいたサハギンを貫く。

先端でサハギンがもがいているが見えないふりをして別のサハギン目掛けて叩きつけた。


何かがつぶれた音がして二体のサハギンが絶命した。


先端に肉塊が付いたまま次の獲物を潰しにかかる。

流石に目の前の小さな人間が異常なことに気づくが、獲物を前に逃げるわけにはいかない。

数に物をいわせて一気に襲いかかった。


肉塊を外してエミリアは飛びかかるサハギン目掛けてトライデントを突き刺す。


「あっ。」


トライデントが折れた。

さすがに乱暴に使いすぎた。

プレートナイフを取り出しサハギンのトライデントを受け止める。


刺突の攻撃は受け方を間違えると滑って刺さってしまう。


相性が悪いと判断したエミリアは受け止めたトライデントを引っ張りサハギンを蹴飛ばし武器を奪う。

再びトライデントを手にして近くのサハギンを串刺しにするとまたハンマーの要領で叩きつけ始めた。

エミリアにとってサハギンはもはや生きている玩具と化してしまっていた。










物量で攻めてくるサハギンだが冒険者たちの善戦により上陸しても撃破される一方であった。




沖合いで様子を見ていた赤いサハギンチーフは雄叫びをあげる。


周囲から無数のサハギンが現れ港町へ向かう。




そして巨大な影がサハギンチーフの後ろから迫っていた。











「ちっ、流石に数が多すぎる!」


冒険者たちにも疲れが見え始め負傷者がでてきた。


「赤い奴を探せ!何処かにいるはずだ!」


以前起きた襲撃も赤いサハギンチーフによって行われたことを覚えていた。

その時は逃げられたが、もし同じ奴が襲撃を企てるとしたら…………


「おい!!なんだあれは!?」


海賊の一人が叫ぶ。






そこにいたのは別の魔物。

長く強靭な足を複数持ち、海賊船よりも大きな巨体。




海の怪物、クラーケンが向かっていた。





「クラーケンだと!?くそ、こんな時にっ!!」


「あいつの頭を見ろ!!赤いサハギンがいる!!」

「奴等、手を組みやがったのか!?」


クラーケンの頭上…………厳密には胴体にあたる部分には赤いサハギンがいた。


クラーケンは他のサハギンを巻き込みながら港町へ向かう。



「遠くから足止めするしか手はねぇ、船の大砲を使うぞ!!」


フェイズ達は海賊船へ乗り込む。

既にサハギンが何体かいたが全て蹴散らし砲撃準備を行った。


「くそっ、あいつの注意をひけないか?!砲撃が間に合わねぇ!!」


クラーケンは他の船を沈め始めていた。













「おっきーい…………」


ハンナは今まで見たことない巨大な魔物を見上げていた。


「どこを狙えばいいのかな?目玉しか思い付かないなぁ。」


クロスボウを構えてみる。

本体の動きは遅いが回りの足で狙いがつけづらい。

足を狙うも弾力で矢が弾かれる。


「うーんどうしよう。」


取り敢えずサハギンを斬って考えることにした。











「よし、撃てぃ!!」


至近距離で海賊船から砲撃が行われた。

砲弾はクラーケンに何発か命中。

爆煙が海賊船に広がる。


そして唐突に感じる浮遊感。


「ダメだ!船から降りろ!!」


海賊船はクラーケンに持ち上げられ絞められていた。

次々と海賊が海に飛び込む。

やがて海賊船はバラバラになった。


「ちくしょうどうにもならねぇ!!」

「覚悟を決めろ!フェイズ海賊団に逃走はない!」












クラーケンが波止場にまで進んできた。


セリカは負傷して下がっている。

スケルトンだけでは歯が立たない、リリノアはもっと上位のアンデットを呼び出す。



「う゛っ?!」




瞬間、顔に衝撃を受け倒れた。

召喚に夢中でクラーケンの足に気がつかなかった。

そんなことよりも……



「あ……いやぁっ!!」



リリノアが咄嗟に顔を隠す。

仮面が飛ばされてしまったのだ。




目前の敵よりも顔を見られたくない気持ちが勝り物陰に隠れる。


「うぅ…………なんてことなの………。」


物陰から顔を半分だけ出す。

ツインテールの銀髪が揺れ、金色の瞳が不安な様子で周囲を伺う。

半分しか見えないが顔立ちは悪くなく、間違いなく美人に部類されるだろう。


「セリカ……早く戻ってきて……。」


途中退場した相方を待ち続けるしかなかった。













エミリアはサハギンを踏みながらクラーケンを見上げていた。

先程トライデントで刺してみたが足の弾力で弾かれてしまった。

この様子だと投げナイフも通じそうにない。


ふと、クラーケンのてっぺんにいる魔物を見る。



大将っぽい奴を倒せばなんとかなるかな?

さっさと寝たいエミリアは勝負を決めに行くことにした。





太ももを触られたので踏む力を強め………踏みぬいた。

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