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死神少女はどこへ行く  作者: ハスク
序 ―居場所を求めて―
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死神少女は盗賊の用心棒になる

エミリアは盗賊下っ端と共に潜んでいた。

まもなく街道を商人の馬車が通る…それを襲撃するためだ。


盗賊頭……ボールドは利用できる物は何でも利用するタイプの男だ。この襲撃でエミリアの価値を決めるつもりのようだ。


エミリアは木の上から双眼鏡を覗きこむ。


「護衛のような男が二人見える。鎧を着こんだ斧持ちと盾を持った奴。後ろにも何人かいそう。」

「お嬢は前の二人を任せたぜ。十人で後ろから、三人で横から襲撃する。」

「わかった。」


お嬢とは盗賊内でのエミリアの呼び名だ。

盗賊には女性が一人もおらず、名前で呼ぶのに全員抵抗があったのだ。

エミリアはじっと獲物を見つめた。右手は既にナイフの柄を握っている。



先に動いたのは盗賊下っ端だった。

大声をあげ馬車に襲いかかる。

鎧の男がすかさず盗賊に斬りかかった。


その瞬間


「うぐっ……あっ…?!」


木の上で潜伏していたエミリアが飛びかかり、喉を掻き斬る。

斧持ちはその場に倒れる……即死だった。


すかさずエミリアは盾持ちの男にナイフを投げる。

盾持ちは慌てて首に向かってきたナイフを防ぐ。一本……一本………更にもう一本防ぐ。

エミリアがもう一発投げようとした時、盾持ちは腰に帯びた剣を抜くとエミリアに斬りかかる。

エミリアは逆手のナイフで受け止める。同時に構えていた投げナイフを突き刺す。


「ぐっ……?!」


さすがに体勢が悪く肩に刺さる。

不満げな顔をして止めを刺す。


盾持ちが倒れた瞬間である。

エミリアは何かを感じ逆手ナイフを構える。


金属音が三回。馬車の後方から矢が三本飛んできた。

視線の先には弓矢を構えた女性が一人。


「女の子?!」


エミリアはおもむろにナイフを投げる。弓持ちはすんでで避ける。


「バッツ、ヤバイのがいるわ!!多分私たちじゃ相手にならない!!ハリーもルドもやられた!!」

「くそっ、なんて奴らだ!おいおっさん逃げるぞ!!」


エミリアからは見えないが馬車の後方には弓持ちを含めて三人の護衛がいたらしい。

こちらはかなりの強敵だったらしく盗賊のほとんどが倒されていた。


バッツと呼ばれた男は商人と弓持ちの女性、一瞬だけ見えたが魔導士風のローブを着た女性を引き連れ走り去った。



「はっはっは!!お嬢のおかげで襲撃成功だ!お前ら、ブツを持って引き上げるぞ!!」


ボールドは上機嫌に叫ぶ。

一方エミリアは何故か腑に落ちない顔をしていた。


(この人たちの役には立った。でもなんで胸がもやもやするんだろう?)


疑問に思いながらもエミリアはたまたま見つけたクロワッサンにかじりつく。














森を抜けた先には小さな町【メグラール】がある。

近くに魔物の住み処である森、そして比較的難易度の低いダンジョンが発見され、小さな町ながら多くの冒険者が利用していた。



冒険者ギルドにて


「信じられねぇ……ハリーとルドがガキに殺されるなんて……いや、それよりも……」


先程商人の護衛をしていた冒険者パーティーのメンバーは襲撃の事を話していた。


「過ぎたことを悔やんでも仕方がないが、あの盗賊どもを放っておくわけにはいかねぇ。」


黒髪の筋肉質な大男……バッツはこのパーティーのリーダーである。

頭に血が昇りやすい欠点はあるが戦闘時以外は比較的冷静だ。


「今回の件でギルドマスターは討伐隊を編成すると思う。私たちは当然?」

「あぁ、二人の仇を取る。」


弓持ちの女性……ルーシーはパーティー最古参でバッツとはパーティー結成時以来の付き合い。

戦闘時は猪になるバッツのストッパーで第二のリーダーとも呼ばれている。


「………。」


先程からこの場にいるが一言も喋っていないのは魔導士リオ。魔法のエキスパートで彼女のおかげでパーティーは危機を乗り越えてきた所もある。

一度考え込むと周りの声が一切聞こえなくなってしまうが、呼び掛けには応じる。

そして


(ちょっとしか見えなかったけどあの子すっごい可愛かったなぁ!!頭撫でたら笑ってくれるかなぁ?)


小さい女の子大好きな残念な女であった。







《盗賊討伐クエスト》

受注資格:Cランク以上


近くの森を根城にする盗賊の討伐クエストをギルドマスターから提示する。

盗賊の全滅をもってクエスト達成とする。


ただし彼らに味方する少女が二人のCランク冒険者を殺害している。

目撃次第必ず複数で囲むように相手をし、必ず生かして捕らえること。

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