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死神少女はどこへ行く  作者: ハスク
拾弐 ―嫉妬の果てに―
151/174

死神少女は気が晴れない

※過激な残酷描写にご注意ください。

【ベルセイン帝国 小さな村リネ】

「私のお姉様に手を出した事を後悔させますわ!」


ナタリーの魔法が発動すると急激に気温が下がり始めた。

回復したナタリーが目にしたのはボロボロのエミリアと殴られて顔が歪んだライル。

これだけで死刑は決まったようだがエミリアの呟きで考えを改めた。


「あいつが全部やった。」


それだけで二人から両親を奪った元凶だと理解したナタリーはやり方を変えた。





吐息が白く見えるほど寒くなるとライルの身体が凍らされていた。


「なんだこれはっ!?」


学生時代に逆らった貴族子息を襲った悪夢の魔法。

今回は顔を除いて氷像化させた。


大半の魔力を使い切ったナタリーは再びその場に崩れ落ちた。

駆けつけたかったがエミリアはまずライルを始末する。




グリムリーパーが二本の剣に変形した。

亡き母が使っていた物と似ている。


「来るなっ!!主人公の俺はこんな所で終わる男なんかじゃ無いんだ!!」


ライルの喚きは無視だ。



「あんたは主人公なんかじゃない。」


「何を言って……ぎゃああ!!」


二本の剣がライルの胸を貫いた。


「主人公ってのはね………強いだけじゃだめなの。」


エミリアの中で四人の仲間が思い浮かぶ。


「ハンナのように格好よくて、」


ライルの左腕が切断される。


「クリスのように優しくて、」


今度は右腕が。


「ナタリーのように頑張り屋で、」


右足。


「レイラみたいないい子がなれるの。」


左足。

四肢を失ったライルは首を振ることしかできなくなる。


「やめてくれ………わかったよ、リセットさせて」


ライルの顎を剣が貫いた。


「あんたは多分どれも持ってない。」


交差するようにもう片方の剣が貫く。


「主人公でもないあんたはお父さんとお母さんを殺した。今度はあんたが死ねば良い。」


交差した二本の剣が動き出す。


「じゃあね脇役。」


ライルの顔が切り取られ、そのまま絶命した。

偶然にも亡き母がかつて自分を陥れた冒険者への処刑法と同じ物だった。















「まぁ、私も主人公にはなれないけど。」


そう呟くとエミリアはペタンと座り込んだ。

両親の仇を取っても何故か心が晴れなかった。


ライルを殺した所で二人は戻ってこない、なんとも言えない虚無感が襲ってきた。



「お姉様。」


復活したナタリーがエミリアを優しく抱きしめた。


「私達にとってお姉様は立派な主人公ですわ。」




その一言はほんの少しだけエミリアの心のもやもやを晴れさせた。
























【バナス砂漠 遺跡】

ベルセイン帝国南部には広大な砂漠が広がっている。

とある文明が滅んでから急速に広がったとされる。


砂漠の中央部には『砂漠の民』と呼ばれる部族が独自の文化を築いている。

アクセスの悪さと過酷な環境、そのせいか犯罪者や後ろ暗い者が集まっていた。





集落の外れにある遺跡で黒ローブの集団が一人の少年に頭を垂れていた。


「あの方の再臨は近い。更なる贄を捧げるのだ。」


黒ローブの集団は音を立てずにその場から立ち去った。






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