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死神少女はどこへ行く  作者: ハスク
玖 ―私の居場所―
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死神少女達の帰る場所

【ベルセイン帝国 小さな村リネ】

エミリアが目を覚ましたのは翌日の昼過ぎであった。


目を覚ましたの瞬間四人の少女が飛び付いて泣き出した時は驚いたがエミリアは黙って小さな体で受け入れた。






廃砦の元冒険者達は大半がエミリアによって殺害されたが生き残りが数人いた。

だがその全員が何かに怯えている様子だった。

後日来る騎士団に引き渡す予定なのだが


「この村から出してほしい」

「死神が手を出せない場所に拘留してほしい」

「あいつに全員殺される」


と口々に叫んでいた。


あの場にいた冒険者達は彼らが言う『死神』が誰なのかわかっていた。


あの時、ドラゴンの側で眠るエミリアは全身血塗れだった。

成人してない少女が一人であの地獄を作り出したとわかり戦慄した。




一部の冒険者はエミリアに恐怖を抱き関わらないようになったが大多数は前向きな態度で接した。

セリカ、リリノア、フローラは後者だ。


アズマの巫女桃江はしばらく村に滞在するらしく、冒険者ギルドで時々仕事をすることにしたようだ。

新たな仲間にフローラと冒険者一同は歓迎していた。












あれから一ヶ月





エミリア達の前には白く、大きな家が建っていた。


たった一ヶ月でこれだけ大きな家が立つものなのだろうか?


玄関でガハハと笑っている建築ギルドの親方と部下がブラックギルドもビックリな重労働でやりとげてくれたのか。

杜撰な建築だったら文字通りその首が飛んでいくことになる。


「おじさん達、ありがとう。」

「おう!建築ギルドとして最高の仕事をさせてもらったぜ!」


誇らしげに再びガハハと笑いだす。

聞いているといつまでも残り思い出しそうだ。











これがお家…………。


以前住んでいた家よりも大きい。

ガハハな親分さん達は随分頑張ってくれたみたい。



「良かったね!お姉ちゃん!」


レイラがぴょんぴょん跳ねた。

ひとりぼっちだった私に着いてきてくれた最初の仲間。

昔のナタリーみたいだったから可愛がってたらまさかドラゴンだとは思わなかった。そのドラゴンパワーで何度も助けられたっけ。



「立派な家だよね。まるで貴族さんの家みたい。」


うんうんと頷くハンナ。

霧の森で助けてから着いてきてくれた仲間。

狩人ってのは聞き慣れないけど魔物退治の専門家らしい。

専門家なだけあって魔物退治は大分楽をさせてもらったね。


私よりお姉さんだけどお母さん子らしく私を母親に見立ててよく甘えてくる。悪い気はしないけどくすぐったいんだよね。



「おめでとうございます、これでまたこの村で過ごすことができますね。」


手を合わせて微笑むクリス。

幼馴染みで私の親友は聖女とかいう凄い人になっていた。

女神様の力を借りて色んな事ができるんだって。

冒険中は私の怪我を治してくれた。多分これからもお世話にはなるかも。



「あぁ、遂にこの時が来ましたわ!この時を何年待っていたことか!」


私に抱きつきながら感激するナタリー。

血の繋がった妹は帝都の学校で賢者って呼ばれているみたい。

私と違って頭も良いし凄い魔法も使える。

自慢の妹だ。








あれ?こう考えると私って何ができるんだろう。


たくさん人は殺したけど、芸の一つも持ってないや。魔法なんか温い風しか出せないし。



こんな私によく着いてきてくれたよね………。






「お姉様、皆様はお姉様が大好きなのですわ。」

「?」


ナタリー、私が考えてることがわかったのかな。

昔から勘が良いからこういう時は助かる。


「お姉様の良い部分も悪い部分も含めてです。どうかそのままのお姉様でいてくださいまし。」


周りを見ると皆が頷いている。





真剣な眼差し。


こんな私を皆慕ってここまで着いてきてくれてる。

きっとこれからも。




「みんな、ありがとう。」


「「「「!?」」」」



急に皆がびっくりしたような顔をした。


「お姉様………今笑顔に?」

「今のすっごく可愛かった。」


私、笑顔になってた?

うーん自分ではわかんない。


取り敢えず…………お家に入ろっか?













里帰りしたエミリアは信頼し合える仲間と共に過ごす家を手に入れた。


冒険者にもなり、例のダンジョンへ挑むためにもこれから多くのお仕事をこなすことになる。

たくさん危険な目にも合うだろうが力を合わせればどんな困難にも立ち向かえる。

そんな気がするのだった。








エミリアにとって予想外だったのはベッドが五人全員が入れそうな巨大サイズのもの一つだったことだ。

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