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死神少女はどこへ行く  作者: ハスク
弐―死神と竜と狩人と―
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死神少女はスラム街を駆ける

【ブラウェイン王国 王都近郊の町キクス】

全快したエミリアは目当てのクロワッサンを手に入れてご満悦だった。


パンを食べながら周囲を探る。

昨日のあいつは居ないようだ。

あの現象はなんなのか。

レイラには悪影響を及ぼしそうだし、警戒するべきだろう。

仮にエミリアに味方したとしても側にはいたくない。









広場は今日も多くの人が集まっていたが、今日は空気が違っていた。


掲示板の真ん中には緊急依頼書が貼られていた。




『急募 霧の森のハンター捕縛作戦』

ここ最近霧の森にて多くの一般人、冒険者たちが死亡している。

犯人は森に住む一人の少女、エビルベアの毛皮を被っている。このままでは霧の森は誰も立ち入ることができなくなってしまう。

冒険者ギルドはこの案件を最優先の事案と判断し、ギルド未所属の者も本作戦への参加を募集することとする。

作戦は夕方15時に現地集合、人数が集まり次第開始する。

なお、少女の生死は問わない。

参加の際は係の者から識別用の魔道具を受けとること。


報酬:金貨1000枚から山分け









物騒な依頼書である。

たった20人殺しただけでこんな騒ぎでは目も当てられない。

だが報酬はなかなかの物だ。あまり気は進まないがやってみるのもありか。

しかし夕方まではまだまだ時間がある。

取り敢えずまた町を回ってみようか。






ある路地に入った時、何やら嫌な視線をたくさん感じた。

エミリアは顔をしかめる。

昼間なのに薄暗いこの場所は少し埃っぽい。レイラが裾をぎゅっと握りしめてきた。



仰向けでどこかを見ている男。

ゴミ箱を漁る男。

様々な場所にある謎の落書き。




どうやらスラム街に入ってしまったらしい。


引き返そうとすると入り口に男が数人いて塞いでいた。


「お嬢ちゃんたち、せっかく来たんだからお兄ちゃんたちと遊んでかないか?」

「こいつは高く売れそうだぜぇ。」


下衆が。

今すぐ殺してもいいが向こうは大通り、騒ぎは起こしたくない。


「走るよ。」

「うん!」

「あ、待て!」


エミリア達は男たちから逃げ出した。

男たちは追いかけてくる。


速さはだいたい同じくらい。

もっと速く走れるがレイラに合わせていた。


途中で物陰から何かが飛び出すが取り敢えずすれ違い様に斬りつける。

レイラも時々何かを焼いた。


エミリア達は走る。しかし土地勘がないため何処へ行けばいいかわからなかった。



一本道に辿り着く。この先に何があるかはわからない。

レイラは振り向いて『フレイムタワー』の魔法を唱えた。

その場に高温の火柱を起こす特殊な魔法、狭い通路や炎を嫌う魔物に使うとバリケードの役割を果たす。

火柱は道を丁度塞ぐように燃え始めた。


追いかけてきた男たちは立ち往生しているようだ。



エミリア達は距離を稼ぐ。



やがて一本道を抜けると道が無くなっていた。

下は結構な高さがあるが川が流れている。



ここしかない。


「私に捕まってて。」

「……うんっ。」


意を決して川に飛び込んだ。



二つの水飛沫があがる。


一先ずは乗り越えた。

レイラはエミリアの肩に捕まっている。




川に流されてから上に戻れそうな場所を探しているが見つからない。

この町は全体的に川より高く作られているようだった。



エミリアは町に戻るのを諦めてひたすら流されることにした。



















【ブラウェイン王国 霧の森】

時は夕方。

しかし変わらず濃霧に覆われた森を多くの冒険者が行く。


全員討伐隊のようだ。

その中にバッツらメグラールギルドの冒険者もいた。


時々魔物の襲撃を受けるも難なく退けてみせた。


「こう霧が濃いと弓が使いにくいわね。」

「まぁ同士討ちすることはないから安心できるな。」


彼らは腕に魔道具を付けていた。

これは着用者を青く光らせる効果がある。

しかしその光は目には見えないが、同じ魔道具を装備している者にだけ見ることができるのだ。

昔、戦争で同士討ちを恐れた魔導師が作ったものだ。



しばらく進むと冒険者の一人が


「ぎゃぁぁぁ!!」


悲鳴をあげて足を抑える。その足には魔物用のベアトラップ。


「野郎罠を仕掛けてやがったか!気を付けろ!近くにいるぞ!!」


バッツが叫ぶ間にまた一人ベアトラップにかかった。


その瞬間、前方から矢が数本飛んできた。

バッツら三人は避けるが冒険者数人に当たってしまう。

するとその冒険者達はすぐ倒れてしまった。


「ど、毒だ!毒が塗ってあるぞ!」


バッツの視界には毛皮を被った少女が見えた。


少女が森の奥へ逃げ出す。





今、狩人を狩る戦いが始まった。

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