5話 晩餐とレベルアップと魔物使い
精神的に疲れはてた俺達はエストリーゼ王女に案内された部屋で夕食まで休んでいた。
部屋は一部屋が俺のアパートの部屋よりも大きかった、備え付けの風呂まである。
そして各自待機していた、自分達の部屋があるのに何故か俺の部屋で。
「いや、なんか疲れたな…」
「目の前で大金が動くの、僕、始めてみたよ」
「凄かったねー、あ、スズハちゃん、服どう?」
「柔らかくて肌触りもいいし、着やすいですね」
「だよね?だよね?なんか高そうな服」
全員、用意してもらったこの世界の服を来ている、確かに凄いいい肌触り…じゃなくて。
「何で俺の部屋のなんだよ」
「「「「何となく?」」」」
「いや…まあいいけどな…」
ふぅ…と嘆息をして、ふと考える。
(しかし、流石異世界、俺達にとっての非常識の連続だな…神だの勇者だの魔王だの……部屋も滅茶苦茶デカイし…この『メニュー』って魔法具もどうなんだよ、これ)
と、心のなかで『メニュー』と唱えた時、目の前に光のモニターが現れる。
「あれ、これワザワザ口に出さなくても良いのかよ」
「え?……と、あ、本当だ」
「そもそもさ、魔法ってどうやって使うんだろう」
「宰相さんも確か普通に使ってたよね、呪文とか無かったし」
「そうでしたね、私達はどのような魔法が使えるのでしょうか」
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メニュー
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∥ステータス▼∥スキル▼ ∥
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∥称号▼ ∥アイテム▼ ∥
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∥通信▼ ∥ヘルプ▼ ∥
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「ん?この通信て何だ?」
「あ、本当だ増えてる」
押してみると、4人の名前が並んでいた。
「えっと、ヘルプによると、1度登録した離れている異世界人と通信が出来る、とありますね」
桜宮嬢が真っ先にヘルプを確認した、便利だなヘルプ。
メニューの画面を色々と確認しようとした時、部屋のトビラをノックする音が聞こえた。
「失礼します、お食事の用意が整いました」
とメイドさんが呼びに来た、流石異世界でしかも王城、生メイドだよ。
「ああ、はい、すぐに行きます」
夕食の用意された部屋に移動すると、そこには国王と王女、それと始めてみる二人がいた。
「来られたか、御初に御目にかかる、私はフェイクライズ王国第一王子レオンハート=フェイクだ」
「俺は第二王子のバノッサ=フェイクだ、因みに兄上とは歴とした兄弟だからな?」
レオンハート王子は綺麗な銀髪で、美青年タイプ、エストリーゼ王女と似ている。
バノッサ王子は茶色い髪をした、堀の深いワイルドタイプ、正直似ていない、いや、国王とは似ているか。
「レオン御兄様は母上似で、バノッサ御兄様は父上似何ですよ」
とエストリーゼ王女が苦笑しながら説明してくれた、確かにちゃんと聞かないと兄弟とはわからない位似ていない。
因みに次期国王候補はレオンハート王子に決まっていて、それにバノッサ王子も異論無く、とても兄弟仲はいいらしい。
「俺に小難しい政治の話は無理だからな、兄上が国を統治して、俺は軍を率いる」
「逆に私は戦う事が苦手でな…父上に憧れる身としては羨ましい限りだが、無いものをねだっても仕方ない」
食事をしながら、話をする。
「そういえば、国王様は宰相様とどんな関係者が何ですか?私達の世界だと、あり得ない様な気がする話し方だったんですが」
「ああ、あれはあの宰相が特別なだけだ、なあ父上」
桜宮嬢の質問にバノッサ王子が苦笑しながら答えてくれた。
「ジャックは、俺が冒険者だった頃からの付き合いでな、今更丁寧に話されても鳥肌が立つだけだ」
成る程な…だからあの口調か。
(しかし旨いな、この肉…ん?今なんか身体に力が…)
身体に違和感を感じた、後で確認してみよう。
◇◇◇
「ふう…旨かったなぁ…」
「野菜があんなに美味しいなんて」
「野菜もだけど、肉!ソースが美味しかった!」
「シチューも美味しかったですね」
多分あれが魔力を吸収した食材の味なんだろう、俗に言う星三つ!というレベルだった。
「レベル…ああ、そうだ」
と思い出したように『メニュー』を開く。
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ステータス
タキシロ ショウ
職 魔物使い見習い
Lv2
耐久60
魔力10
MP20
SP25
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「やっぱり、レベルが上がってる」
「へ?何で?」
「多分あれだと思う、夕食」
「ああ、宰相さんが言ってたよね魔力を吸収した食材がどうとか」
「私は変化なしですが…」
「それは200もあれば、1が2になる魔力量なんか微々たるものだろう、俺の場合、今のレベルってこの世界の赤ん坊レベルだしな」
「成る程…確かにそうですね」
気になるのはMPとSPの意味と増え方、SPが5多くあがってる。
「SPはありますけど、MPはこちらには無い数値です」
桜宮嬢の言葉通り、他の三人にも無かった、ヘルプを確認してみる事に。
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ヘルプ
SPとは
スキルポイントの略称、スキルポイントを使いスキルのレベルをあげる・新規スキルを獲得する事が出来る
異世界人専用ステータスポイント
MPとは
モンスターポイントの略称、モンスターポイントを使い魔物のレベルをあげる・その他使役魔法のコストに使う事も
魔物使い専用ステータスポイント
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MPは成る程、魔物使い用だった、今は使役魔物が居ないので一旦放置。
しかしSPは…
「あれ?これ、チートじゃね?」
分類として、魔法スキル、肉体強化スキル、生産スキルに分かれていて、得意不得意で習得ポイントが違うらしい。
だが、スキルを自由に取得出来る…ポイントを必要とする制限こそあるが、無限の可能性を感じる。
「俺は今の手持ちは2005ポイントか」
「あ、僕も同じだよ」
「私もです」
「同じ、んっと…結構ポイント使うねこれ」
まことの言葉を聞き、まことのモニターを確認してみると、肉体強化系スキルは大体500~1000、魔法スキルは大体が習得済み、まだの魔法は大体が2000~3000、生産系スキルは2000~だった。
「兎に角、当面はレベル上げと、このSPの取得条件を探さんとな…」
忘れないうちに、自分の物を見てみる。
「!?なにこれ…」
俺の言葉を受け、4人がモニターを覗き込む。
「火魔法10000水魔法10000…」
「肉体強化スキルは5000位です」
「あ、でも生産系スキルは大体2000~だって」
「何でこんなに差があるんでしょうか?」
「…勇者だから?」
桜宮嬢の疑問に答えた林太郎の一言。
「へ?」
「ほら翔さん、これ、称号のとこ」
林太郎のモニターを見ると。
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称号
勇者
耐久・魔力が大幅にあがる
スキル習得必要ポイントが下がる
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「ああ、間違いなくこれだな…俺のには称号勇者は無いから」
結局俺にはチートがあるようで無かった…ただこれはSP獲得の方法がわかれば、解決しそうだ。
「取り敢えず、このスキル習得に関しては、しばらくは私達だけの秘密にしておきましょう」
「んぁ?なんで?スズハちゃん」
「何でも出来る可能性があるって事は、何に利用されるかわかりませんし…」
「まあ、確かにな、この国で今の所信用できそうなのが王族だけだしな…」
「成る程な…了解」
「わかりました」
「そう言う事なら、わかったよ」
「では、明日に向けて今日はもう休みましょうか」
ひとまず落ち着いた所で、明日から訓練が始まるから、今日はもう休むことにした。