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くじ引き勇者と魔物使い  作者: 坂道草
3/13

3話 レベル1の魔物使い

 召喚の間を出て、直ぐに飛び込んできたのは大きな煉瓦造りの街並みに、海と潮の香りだった。


「うはぁ…すげぇ…」

「おっきい街だね…」

「おー、空が綺麗…」

「海も綺麗です…」


 皆感嘆している、大気が汚染されていないから、とても空気が綺麗だ。


「ここから見えるのは商業区です、海にある港から輸出入される積み荷を直ぐに運べるように、こちらに商店などが集まっています」


 外に居た兵士に、何か話していたエストリーゼ王女が話が終わったらしくそう教えてくれた、曰く、そこにまとめた方が商人ギルドでも管理がしやすい為、区画整理がしっかりされているらしい。


 やっぱりあるのか…ギルド…


「ギルドってなんですか?」


 林太郎はこう言う事に疎いのか聞いていた。


「皆様の世界にはありませんか?役割は色々あるのですが、基本的には不正が起きないように、例えば商人ギルドなら商人の商売を取り仕切るのが仕事ですね」


 例えば何処かの商人が不作の際、麦の買い占めを行い、値を吊り上げる…こんな行為を防ぐために各商人達の売り買いの記録を取ったり、遠方への輸出入の仲介または、輸出入制限のある物の取引を見張ったり…商人の仕事全てをまとめ仕切っているわけだ。


「他にはどんなギルドがあるんですか?」


 まことのそんな質問に、歩きながら答えてくれた。


 次の窓から見えたのは職人区、ここには職人ギルドがあり、職人の持つ技術が途絶えないよう、弟子候補を派遣したり、新しい道具類は誰が最初にそれを作ったのか、などを記録しまとめている。


 その次は、巨大な田園風景、食糧生産区だった。


 ここにもギルドがあり、その名も生産管理ギルド。


 食糧を生産したら、まずはここに集まる、ここで国民が食べる分と輸出する分が分けられ、商人ギルドに納入される。


 そして次は城ともう一つの塔を挟み、居住区になっている、居住区には冒険者ギルドと魔法師ギルド、盗賊ギルドがある。


 冒険者ギルドはその名の通り、冒険者を支援するギルドだ、魔物を倒すとこの世界ではその身体は魔核と呼ばれる物に変化する、これを買い取ったり、誰かの出した依頼を斡旋したり、お金を持ち歩かなくても良いように、預かってくれたりしている。


 依頼は主に「魔物討伐依頼」「賊討伐依頼」「キャラバン護衛依頼」「素材採掘依頼」「迷子のペット探し」などがある。


 魔法師ギルドは、魔法の研究をするギルドだ。


 新しい魔法を作ったり、冒険者や騎士等に魔法を教えたりもしている。


 盗賊ギルドは、名前こそ『盗賊』と付いてはいるがその実態は情報収集にある、要は探偵のような物である。


 金さえ払えば、どんな情報でも買えるらしい。


 ギルドは昔は無かったのだが、ある時召喚された勇者がもたらした異世界の話を元に作られたらしい、だから盗賊ギルドなんて名前になっていたりする。


「所で、この国面白い形してますね」


 桜宮嬢の言う面白い形とは、まず城が中心にあり城を挟む様に2つの塔が建っている、それを囲むように城壁があり、その外に貴族の屋敷が建っている、さらにそれを囲むように城壁があり、その周りには騎士や兵士の家がある、さらにそれを囲むように城壁があり、その外、南側に商業区、東側に職人区、北側に食糧生産区があり、西側に居住区があり、更に大きな城壁がある。


「私も詳しくは知らないんですが、元は他の場所にあった王都をこちらに遷都した際、この様な形になったとされています」


(これって何か街というより…まあ、今は気にしても仕方ないか)


「ちなみに、国王様ってどんな人何ですか?」


 今の内に聞いて置こう、テンプレ嫌味国王だったら大変だ。


「父上はですね―」


 エストリーゼ王女曰く大変豪快な性格で元は何と平民らしい、だがとても強く、平民から冒険者稼業を経て騎士になり、武勲を立てて貴族になり、今の王妃に見染められたとか。


(豊臣秀吉みたいな人だな…)


 ちなみに王妃は今、旅行中らしい。


◇◇◇


 そうこう話をしている内に、謁見の間に到着していた。


「勇者様方を、お連れしました」


「はっ、陛下は中でお待ちです」


 大きな扉が開く。


「おうリーゼ、召喚の儀、おつかれさん」


 そこに居たのは、えらく気さくな感じの大男とローブを来た細見の壮年の男性だった。


「父上…せめて公共の場では威厳を出してください…」


 確かにフランク過ぎる気もする。


「いいじゃねぇかよ…っと、そっちが例の勇者様方か、話は先に来た兵士に聞いている、確かに1人多いな」


「オルステット、自己紹介くらいしろ、よくお出でくださった勇者様、私は宰相のジャクルス=イアンだ、ジャックと呼んで貰って構わない」


 細見の男性がそう名乗り。


「わーってるよ、俺はこの国の国王オルステット=フェイクだ、よろしく頼む」


 先程の大男が国王らしい、見た目はワイルドな感じだ。


 俺達も自己紹介を済ませて、自分達の把握している事を話した。


「ふむ…成る程な…では、ショウ殿だけ勇者ではないのか…」


「そうなりますね」


 確かに力は貰ったが、自分は勇者ではないと正直に話した。


「なら、勇者方の旅には案内に騎士を付けるつもりだったし、ショウ殿にも個別で護衛に騎士を3人程付けよう、ジャック、確かゲオルグの所に3人、良いのが居たろ」


「ああ、確かに居たな、わかった手配しておく」


 護衛はありがたい、この世界の事で知らないことが多すぎるからだ、しかし、さっきから宰相がやたら王様に偉そうなんだか…こんなものなのだろうか?


 それと実はテンプレのような王様を警戒して勇者じゃないから冷遇されたらどうしようと不安だったが、この王様は大丈夫そうだ。


「後はあれだな、神様からも聞いてると思うが、自分の力を確認する方法がある、ジャック、あれを」


「はいよ、勇者様方、これを」


 宰相が渡してきたのは指輪だった。


「それはメニューって言う魔法具でな、初代勇者が使っていたメニューという魔法を仕込んである、異世界人専用魔法具だ」


 類似品に、この世界の人も使えるステータスカードと言うのもあるらしい。


「『メニュー』と唱えると発動するようになっている、やってみてくれ」


 取り敢えず、早速使ってみる。


『『『『『メニュー』』』』』


 すると、前方に光のモニターが現れた、そこには。


―――

メニュー

―――――――――――――――

∥ステータス▼∥スキル▼  ∥

―――――――――――――――

∥称号▼   ∥ヘルプ▼  ∥

―――――――――――――――

―――


 …何て言うか…ゲームっぽい…初代勇者の趣味か?


 まあいい、とにかく確認だ、ステータス▼を押すか。


―――

タキシロ ショウ

職 魔物使い見習い

Lv1

耐久40

魔力10

MP10

SP10

―――


 高いのか低いのかわからんね…MPとかSPも気になるので、後で確認しておこう。


(しかしあれだな、異世界に来たらチートとかよくあるけど、チート何て無かった―だな、まあ、そもそも貰った力も余りみたいな物だしな)


「確認出来たか?んでだ、レベルはどれくらいだった?」


「200になってました」

「あ、僕も同じだったよ」

「ぼくもだね」

「私も200でした」


 流石勇者、リアルにレベルが違う。


 国王、宰相、レオ、林太郎、まこと、桜宮嬢がこっちをみてくる、こっち見んな…とは行かないか。


「……レベル1です…」


 一番年上が一番弱い、わかっては居たが格好がつかんね。

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