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くじ引き勇者と魔物使い  作者: 坂道草
12/13

12話 オークと旅路と魔物使い

―王都近辺・ラケの森―


「ああ、居た居た」


 翌日俺は、ゴブリン達の下に来ていた。


 いくら使役しているとはいえ魔物は魔物、街に入れる訳には行かなかったので、ここに待機させたとミアに聞いて来たのだった。


「ほら、お土産だ、食え」


 持ってきた牛の生肉を渡す、ガツガツと食べ始めた。


「…焼くの忘れてたけど、生で食うのか…いや、魔物だからそんな物なのかな?」


 しばらくすると、食べ終えたゴブリン達は満足した様な顔で此方を見ている。


「よし、取り敢えずこれを装備してくれ」


 ここに来る前に買った革の鎧と短剣、弩と矢筒を渡す。


「よし、装備したな…ちょっと練習しようか」


 先日感じたが、やはり結構器用な様で、革の鎧を自分で着ていた。


 まずはゴブリン達に弩を構えさせる。


「ん、じゃああの木を―」


 とまで言いかけて、森の奥から何かが出てくるのに気付く。


 そこに現れたのは槍を持った猪頭オークだった。


「これは…確か猪頭オークだったか?ゲームで見た気が…って、来るか!?」


 モールを構え、戦闘準備に入る。


「よりによってこのタイミングで来るかよ…ゴブリン隊、援護頼むぞ」


 ゴブリン達に指示を出す、弩を構え周囲に散開させる。


 先制にモールを降り下ろす、しかし槍で受け止められた。


「ぐぉっ…結構力強いな…」


 ギリギリと鍔迫り合いをする、そこへ後ろへ回り込ませたゴブリン達が矢を放った。


「ブギャァ!」


 背中に矢を受けた猪頭オークが痛みで身をよじらせる、そして俺を弾くとゴブリン達へ向かい始めた。


「おいおい、隙だらけだぞっと!」


 背中を見せた猪頭オークへ、渾身の一撃を喰らわせる。


「グギャァァ…」


 地面に沈む猪頭オーク、しかし魔核に成らず、しばらくすると体毛が緑色になって起き上がった、どうやら使役に成功したようだ。


「ふう…何とかなったか…使役も出来たし、ゴブリン達も充分戦えるのがわかった、一石二鳥かな?」


 一息つき、ステータスを確認する。


「そういえば緊急クエストから確認してなかったな…っと」


―――

ステータス

タキシロ ショウ

Lv19

耐久470

魔力100

SP280

MP225

―――


 少し調べてわかった事だが、SPは理屈はわからないが食事で1~5増えていた、MPは使役成功で5上昇し、両方共レベルアップで10増える様だ。


「レベルアップ早いな…」


 レベルはクエスト前に9だったのが19まであがっていた。


 そしてスキル、使役魔法は他のスキルと違い、自分のレベルと連動してあがっていて、新しい『名付けネーミング』と言う魔法を習得している、これはMPを10消費する代わりに使役魔物に名前を付け、そのステータスを倍にする強力な魔法だ。


 とはいっても、MPには限りがある、試しにゴブリンの一体に使ってみる。


「…えーっと…思い付かんな…ゴブきちでいいか『名付けネーミングゴブきち』」


 ゴブリンの一体が光に包まれ、消えた時には身体が少し大きくなっていた。


『ゴブリン→ホブゴブリンに進化しました』


 メニューにそんなテロップが流れた。


「ホブゴブリンか…確かに強力にはなったけど、MPが他に何に使えるのかわからないしな、残しておくか、コイツらは…また待機かな?」


「待機ゴブか?マスター」


 …


「…喋った!?」


「はいゴブ、進化した事で、スキル人語理解を手に入れたみたいゴブ」


「そ、そうか」


 取り敢えずゴブきちに使役魔物を任せ、この場に待機させ街に戻る事にした。


◇◇◇


 冒険者ギルドに居た3人と合流する。


「戻ったのかい、ショウの旦那」


「ああ、どうだった?」


「駄目だ大将、運悪くキャラバンも先日出発しちまったみたいだ」


 俺が魔物の様子を見に行っている間、3人には北へ向かう移動手段を探してもらっていた。


 初めは馬車を買おうと思ったのだが、値段の問題があり購入出来なかった、そこでキャラバンに目をつけたのだが…


 どうやらキャラバンは既に出発してしまったようだ。


「仕方ない、徒歩で行くか…」


「そうなるね、徒歩だと二日程掛かるから食料と水は用意しとこう」


 簡単な準備を済ませ、街を出発した。


◇◇◇


 街を出て使役魔物と合流して、街道を歩く。


「所で大将、なんか一匹、魔物増えてないか?」


「後、このゴブリンも大きくなっている様なのですが…」


「ゴブ!ゴブきちはホブゴブリンに進化したゴブ!」


「ちょっと、喋ったよ!?このゴブリン!」


 3人にさっきの出来事を説明した。


「成る程ね…しかし猪頭オークとは…」


「普通、森の入口辺りに猪頭オークなんて現れない筈なのですが…」


「そうなのか?」


「大将、普通、猪頭オークは森の奥にしか生息していないんだよ、居たとしても群れからはぐれた豚頭オークくらいだ」


 猪頭オークは猪の顔をした魔物で、ある程度の知性があり、豚頭オークの上位種になる。


 豚頭オークは豚の顔をした魔物で、知性もそれほど無く力もあまり無い事から、駆け出し冒険者の相手として人気の魔物だ。


「オーガといい猪頭オークといい…やっぱり魔王の影響が出てきてるのかね?」


「可能性はありますね、注意していきましょう」


「だな…所で、もう二時間は歩いたけど、魔物が一匹も居ないな」


 魔物処か動物も見当たらない。


「王都周辺の街道は、騎士団が定期的に討伐巡回してますからね」


「だから街道も結整備されてるんさよ、歩きやすいでしょ?」


 確かに道も綺麗で、凄く歩きやすい。


「て事は、この先は道が悪くなったり、魔物が出たりする様になるのか?」


「そうなるな、ちなみに整備されてない道だと馬車での移動で地獄をみるぜ」


 フェルドが遠い目をして語る、訓練生時代に遠征訓練をしたのだが、その際激しく揺れる馬車に、皆酔ってしまい中が凄まじい事になったらしい。


「キャラバンの馬車何かは、詳しくは知らないけどその辺りの対策はしてあるらしいけどね、普通はしてない方が多いよ」


「道を整備しろって話もあったけど、金が掛かるから誰もやらないんだよな…国がやってはいるけど、全く追い付いていない状態だし」


 国とて、資金が無限にあるわけじゃない、しかも、平行して開拓もしているので年々町や村は増えている、人手も足りていないのだ。


「リンドブルグまではどうなんだ?」


「途中まではそれなりに整備されてますけど、間に大きい町が無いですから、そこは結構荒れてる可能性がありますね」


「確か最近、プレイスって村付近に山賊が出たとか聞いたぜ、自警団でも対処仕切れなくて、騎士団に出撃依頼が出てた気が…」


「山賊か…」


「実際どうなってるかは行ってみないとわからないね…」


「だな、兎に角行ってみるしかないか」


 そんな話をしながら、二度の野営を挟み、特に問題も無く次の町マデシャに到着した。


 使役魔物はゴブきちに任せ、町の近く待機させる。


「何か対処を考えないといけないですね」


「確かに毎回待機させるのもな…」


「取り敢えず、後で差し入れでも持っていこうさね」


「まずは宿だな、そういや大将、アイツらって何食うんだ?」


「前は生肉で喜んでたし、後は果物なんかも食うんじゃないか?」


「んじゃ後で買って持っていってやるかね」


 その後宿を見つけ、猪頭オーク用に槍と革の鎧を買い、生肉と果物を持っていった。

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