第6話〜戦慄"魔狂領域"前編〜
前の話とだいぶ期間が離れてしまいました。
これからはまた定期的に更新していこうと思います^^
今回は前編と後編に分かれます。
後編も来月初旬には更新します〜^^;
私立戒山魔法聖徒学園。
今日も、200人あまりの生徒たちが、授業を受けにやってきた。
皆、学園側から与えられた家から各々登校する。
ところで、この学園の主旨は一体何なのか?
生徒たちに多額の生活費を渡してまでしたい事とは何だ?
普通の学問は習わず、社会に出るための勉強もせず、魔法を習う学園。
もともと何のために作られたのか?
学園の創始者は今、学園にはいない。
どこかでのどかに暮らしているのか・・。
それとも、次元の挟間を彷徨っているのか?
目的を失った学園・・・。その学園に残された、古の力であり新しくもある力。魔法・・・。
そんな学園に彼らは通っていった。
「よっ!!!!海人〜〜!われらがヒーロー!!!」
「朝から元気だな彪牙・・・。俺なんか寝不足で・・・。よぅ・・海人・・・ふわぁ・・」
2人は両極端なテンションで海人に挨拶した。
彪牙はニコニコして元気そうだが、雅人はぼ〜〜〜〜っとしている。
魔法実習のレポートを徹夜でしていたらしい。
彪牙はというと、もちろんレポートなどやっていない。
この後担任に、呼び出しを食らうはめになる。
「あぁ。おはよう2人とも。・・・ていうかヒーローって呼ぶのやめてくれよ。恥ずかしいだろ」
「いいじゃない。褒めてもらってるんだから」
「そうだよ。人がせっかく褒めてんだからさ〜〜」
「お前に褒められてもなw」
昨日のヒュドラ退治のことで、学園のみんなが海人を「ヒーロー」と呼んでいた。
本人は嫌がっているようだが、周りはおかまいなしだ。
拝み始める強者までいる。もちろんふざけてやっているだけだが・・・。
といってもヒュドラなんて大した魔物ではない。
彼らはあの日初めて魔物というものを見たのだ。
ある程度魔力があればだれでも倒すことのできるようなその程度の魔物なのだ。
しかし経験がなければ、どんなに簡単なことでも完ぺきにこなすことは難しい。
恐怖というものもあるだろう。
慣れれば問題はない。
知らないものほど怖いものはない。
そういうことだ。
だから彼は嫌がっていた。
あの程度で大騒ぎされると逆に困るというわけだ。
と言ってもあの時ヒュドラを倒すことのできるものは彼以外になかっただろう。
1限目が始まる。
全校生徒が集まって、先日のことについて話があるらしい。
海人も説明側で参加した。
神界のことには触れなかったが、魔物についての説明を小一時間した。
これから起こるであろう戦いについても・・・・。
「もはや時間はないんだ、俺達には。近いうちにあの様な魔物がここに来る。俺たちがどうにかしないといけない。それだけはわかっておいてほしい。」
そう話を締めると、ちょうど1限目を終えるチャイムが鳴った。
今日から特別授業ということで全校生徒で、海人を含む講師から授業受けることになった。
「あくまで相手は魔物だ。気を抜くと命を失うことを忘れないでほしい。」
海人は重い口調で言った。
「対峙したらすかさず杖を抜け。」
そう何度も繰り返した。
いくら海人でも、全校生徒200人すべてを守り抜くことは難しい。
自分たちでどうにかしなければ、多くのものが命を失うはめになる。
海人は何としても、"こちら側"に被害が及ぶことなく、目的を達成しなければならなかった。
全ては自分の大切な仲間、そして3つの世界を守るため。
「次に魔物が来る時は1体では来ないと思う。大群で、確実に仕留めるためにな。」
狙われているのは俺だけではない・・・。
自分が学園から離れたところで、見せしめに学園を破壊する可能性は十分にある。
そうなれば、抵抗することすら不可能かもしれない。
そう考えながら、さっきの言葉を口走った。
不安を抱えつつ、その不安を振り払うかのように、生徒たちは魔法を練習した。
誰もが、ここにいるみんな・・家族を救おうと・・・。
学園の先生も、いざというときのため、準備をしていた。
魔導紋章兵器"デジェネレーター"
魔力の波動で一種の空間を生み出し、閉じ込め、内側から大爆発を起こし破壊するものだ。
衝撃は一切ない。
あるのは内側だけだ。
ただし消費する魔力は並大抵のものではない。
先祖代々、学園に在籍した学園長が月日を重ねて魔力を送り込んできた。
今まで一度も使われていないため、これまでの魔力が衰えることなく、兵器の中に蓄積されている。
ただ、これだけの魔力をもってしても、いくら使えるかも分からない。
もしかしたら使えないかもしれない・・・。
だがもしもの時はこれに賭けるしかないのだから。
十数人いる先生らが、休まず魔力を送り込んだ。
「よし!!次は実戦魔法だ。」
「おっ!とうとう来たか〜!」
彪牙は待っていたかのようにいきなりはしゃぎだした。
「まだそんなに元気があるのか・・・。さすがお前だよ。好きなことだけには真剣な所は勲章ものだなw」
海人はそう言うと、くすくすと笑いだした。
それにつられ周りにいた者も次々と笑い始めた。
「まあ俺にはそれぐらいしかとりえがないからな〜」
「呑気なことを・・・」
「んだよ〜。早く教えろよ〜。待ちくたびれたぜ俺〜」
「ふぅ・・・わかったよ・・。じゃあみんな、教えるからしっかり繰り返せよ」
海人はそう言うと杖代わりである剣・・「命晶剣ラヴァストーム」を自らの前に突き出し、こう唱え始めた。
「我が願うは理の炎・・。
我が願うは猛る炎・・。
我が願うは冷厳なる炎・・。
今、立ちはだかる全ての者からわが友を救え!」
そう唱えると海人の周りから、青い炎が出現した。
うねる様に海人の周りをまわる。
「この炎は普通とは性質が違うんだ。・・まあ簡単にいえば、殴ったりもできるし壁になったりもする。いわば不定形な武具みたいなものかな。」
海人が青い炎を意のままに操っている。
「これができればある程度のことはできると思うんだ。時間はかかるけどみんなならきっとできるよ!」
「よっしゃ〜俺が最初にやってやるぜ〜♪」
張り切った彪牙は、見よう見まねで唱えた。
するとひょろひょろとした炎があらわれ、ポン・・と消えた。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
急にしーんとした。
すると突然生徒たちが、
「あはははははははははははははは!!!!!!!!」
「くくっ。さすがは彪牙だな〜〜〜。笑わせてくれるぜ〜」
「ほんとにやる気あんのかよ〜。あはははははは〜」
これでもかというほどに笑われた。
本人も苦笑いを浮かべつつ笑っていた。
「大丈夫かな〜。ああ言ったけど・・・」
海人は彪牙をみて急に心配になった。
だが彼らはそんなことも気にせず、次々と蒼炎の魔法を成功させていった。
「おお〜すげ〜ぞこれ〜♪」
「わあ。できたできた〜」
3日もしない間に一人残らず使いこなせていた。
海人も正直驚いていた。
これほど早くできるとは思ってもいなかった・・・。
まあ扱いの良さには多少の違いはあったが、十分だった。
「これからだ・・・・。本当に大変なのは・・・」
ふと海人は呟いた・・。
そして運命の日は刻一刻と迫っていた。
人物紹介2です(・ω・)っ
三倉亜美…ウォーロック最年少者。甘えっぽい。
崩立 静…ウォーロックの1人。最年長者でもある。
坂上いつき…ウォーロックの1人で「ですぅ」が口癖。策略家。
築嶋 蓮…ウォーロックの1人。希少なネクロマンサークラスでもある。
マター(マレアリーフ=タイト=ロディアス)…刻死天使王の次女。今は監禁されている。
ラズィ(ラズィール=カルラ=ロディアス)…刻死天使王の長女。現在の刻死天使最高指揮官。マターを監禁している。
また新たなキャラクターが登場するかも・・・。
随時更新しますww