1/8
第1話〜序章〜
一話一話が短いですが、
気楽に読んでいただけると幸いです。
「ああ・・・胸が痛い・・」
一人の少年が森の中でたたずんでいた。
木漏れ日の射す中、この森を彷徨って幾時が過ぎただろうか。
少年は傷ついていた。
体も、常人には無い、背中に生えた煌く翼も、
所々に焼かれた跡や、斬られた跡がある。
しかし何よりも傷ついていたのは心だった。
「雪奈・・・・・・・ミカエル・・・」
おもむろにそう呟いた。
足を引きずりながら、森の奥へと歩いて行った。
何故だか分からない。
吸い込まれるように、ある場所へと足が勝手に動くのだ。
「懐かしいな・・・・・ここ・・・・」
そこには、子供が作ったにしては立派な秘密基地があった。
辺りには、ヒマワリや季節の花が、
この秘密基地を取り囲むように咲いていた。
しかし何故、彼のような背に翼の生えたような少年が、
このような場所を懐かしむのだろうか?
その答えは、2年前のある出来事にあった。