カバンの中には四次元が広がっていました
皆さんはカバンの中に入れていた物がなくなっていたことってありますか?そんな時は大抵、落とした、忘れた、もしくは盗まれたと考えるかもしれません。
ですが
今回はある高校生の出来事についてお話します。
僕は今年で16歳になる高校生の田中寿限無だ。学校生活はまずまずで友だちもいる。そんな僕にも悩みがある。
寿限無「あれ?小ポケットに入れていたギザ10がない!えー、落としたのかな〜」
寿限無「え?ハンカチがない!どうやって手を拭こう?」
このように、僕は最近、物をなくすことが多くなっていた。そんな僕に、ある事件が起きた。それは友だちのラーメンを食べに行ったときだった。
寿限無「カバンの中に2千円ちゃんといれた。よし行こう」
ラーメン屋に着いた。少し待っていると友だちの佐藤が来た。こいつは中学からの親友だ。
寿限無 「入ろうか」
佐藤 「そうだね」
店内に入ってラーメンを食べていたときあの話題を出した。
寿限無「最近物がよくなくなるんだよね」
佐藤 「最後に見た場所とかちゃんと覚えてる?」
と佐藤は言った。
それに対し寿限無はこう言った。
寿限無「覚えてるから困ってるんだよ」
佐藤 「じゃあなくなった原因を探してみたら?」
寿限無「そうだね。いやさ、単なる忘れ物なら良いんだけどさ」
佐藤 「けど?」
寿限無「ハンカチなら入れ忘れで済むかもしれない。でも、カギは違う。カバンに入れたはずなのに消えるなんて、普通じゃないだろ?」
と寿限無は困ったように言った。
佐藤 「じゃあ一回みてみようよ、例えば財布とか見せてみてよ」
と佐藤が聞いた。
寿限無「良いよ、ほら財布の中には2000円ぴったり入っているだろ?」
佐藤に財布やカバンの中を見せた
佐藤 「よかった〜、もしかしてこれを使って奢らせようとしてるのかと思った」
寿限無「そんなことするわけないわ!」
佐藤 「んで、さっき言ってた物がなくなるってやつ、誰かに盗まれてるんじゃない?」
と話した。
寿限無「一回警察に調べてもらおうかな〜」
と話していると食べ終わったので会計をしに行った。
その時ある問題が起きた。
会計で財布を開いてみると立ち止まってしまった。
寿限無「千円がない」
2千円あったお金が千円なくなっていたのだ。何度も確認したが千円しかなく、佐藤も探した。
佐藤 「そうか、後ろで待ってる人もいるしここは一旦俺が払うわ」
寿限無「ごめんな、本当」
佐藤 「いや、こういうことがあるかなと思って多めに持ってきてるから、大丈夫」
寿限無「家ついたら、お金返す」
とうとう財布のお金すらなくなってしまった。カバンの隅々までみてカバンポケットも探したがなくなっていた。
家に着いて寿限無はカバンの中身を全部出したが千円は見つからなかった。
佐藤があることを言った。
佐藤 「本当になくしたんじゃなくて、『消えた』んじゃない?」
寿限無「どういうこと?」
佐藤 「ちょっと、順番に考えてみよう」
佐藤 「寿限無の状況から考えて、行く前までは2千円があったんだろ?」
佐藤 「俺はその時、2千円をちゃんと見たし、カバンの中も確認した」
寿限無「そうだね」
佐藤 「しかも、俺が会計するまでさほど時間は経っていない」
佐藤 「これだけなら、財布に問題があると考えるのが普通だ」
寿限無「じゃあ、財布に問題があるってこと?」
佐藤 「いや、そこに違和感があるんだよ」
佐藤 「さっき話していた、前にもハンカチやカギがなくなったことがあるんだろ?」
佐藤 「そうなると、問題は財布じゃない」
寿限無「じゃあどうなるの?」
佐藤 「でも、ここである共通点がある」
寿限無「共通点?」
佐藤 「全部『カバン』に入れたものだ」
寿限無「でも、カバンに入れた物がなくなるってどういうことだよ?」
佐藤 「だから試してみよう」
佐藤 「何かなくなっても困らない物は?」
寿限無「このノートの1ページならいらないよ」
佐藤 「じゃあこれに大きく『あ』という文字を書いて丸める」
佐藤は丸めた紙をカバンの中に入れた。
カバンの中を見てみると丸めた紙があった。
寿限無「なんだあるじゃん!」
佐藤 「もう少し待ってみよう」
カバンのチャックを閉めて5分程度待ったころ、カバンを開けた。
佐藤・寿限無「紙がない!」
寿限無「どこにいったんだ?」
佐藤 「これで、カバンの中に入れた物が消えるってことはわかった」
寿限無「どうやって物が消えているんだ?」
佐藤 「そこが問題だ」
佐藤 「物が完全になくなるなんてことが、本当にあるのか……」
寿限無「もしかして『消えた』じゃなくて別の場所『入った』じゃない?」
佐藤 「じゃあ、消えた物はどこに?」
寿限無「まずは部屋の中を探してみようよ」
佐藤 「わかった」
佐藤と寿限無は部屋の中を探した。すると、押し入れを調べていた佐藤があるものを見つけた。
佐藤 「カギ?」
佐藤 「こっちにはハンカチ、ペットボトルが落ちている」
佐藤 「これは、千円札?」
その時あるものが落ちてきた。
佐藤 「痛て、なんだこれ?」
佐藤が拾い上げた紙を開いてみると、そこには『あ』と書いてあった。
佐藤 「これは?」
佐藤は周囲を見回して、ある違和感に気づいた。
佐藤 「この押し入れ広すぎないか?」
佐藤 「これ以上進むと何があるかわからない」
佐藤は戻り、寿限無に押し入れのことについて話した。
佐藤 「これって寿限無の物か?」
押し入れにあった物を見せてみた。
寿限無「そう!何処で見つけたの?」
佐藤 「押し入れの中で見つけた」
寿限無「押し入れ?」
佐藤 「ああ、でも普通の押し入れじゃなかった」
寿限無「どういうこと?」
佐藤 「広すぎるんだよ」
寿限無「え?」
佐藤 「普通の構造じゃありえない広さだった。まるで無限に続くような、別の空間みたいだった」
寿限無「まるで、四次元空間みたいだね」
寿限無「押し入れの奥に行ってみないか?」
佐藤 「行ってみよう」
寿限無と佐藤は懐中電灯を持って押し入れの中に入った。
押し入れの中を進んでいった。しかし、進んでも進んでも壁がない。
その時、寿限無が立ち止まった。
寿限無「これ、僕のギザ10!だけど、年号が違う」
佐藤 「お前そのカバンいつから使ってる?」
寿限無「もう5年くらい」
佐藤 「もしかして前にも、ギザ10をなくしたことがあるか?」
寿限無「……ある」
佐藤 「それはいつ頃?」
寿限無「……5年前くらい」
佐藤 「つまり、このカバンを使い始めた頃から、物はここに来ていた?」
さらに奥へ進んでも、壁が見える気配はなかった。
寿限無「もしかして、本当に四次元空間なんじゃ?」
僕たちは急いで外に戻った。
僕は昔から、カバンの中でよく物をなくしていた。
落としたと思っていた。
忘れたと思っていた。
盗まれたと思ったこともあった。
でも、違った。
見つからなかった「物」は、ずっと一番近くにあった。
僕のカバンの中には、四次元が広がっていた。
あのまま僕たちが進んで行ったらどうなっていたのだろうか。




