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Last Smile  作者: 町田竜祐
9/22

安らぎ

洋介たちは康次やたくさんの死体を火葬し、もとの場所に謙治たちの班が戻ってないことを確認すると、謙治たちがいった方向へと歩きだした。

途中、安全そうな洞穴で一休みすることにした。

死体からはぎ取った燃えそうな布や衣服を使い火をつけ、5人でそのまわりを囲んだ。洞穴の壁に5人の影が映し出された。

「眠くなってきたな…」

強がポツリと言った。

「そうだな、ここらへんで一休みしてもいいんじゃねぇか、洋介?茜も疲れてるだろうしな」

すでに火を背にし、横に体を伸ばし右手を枕にして頬杖をついている竜が尋ねた。

強はすでにいびきをかいている。

洋介はプッと吹き出し、「そうだな、休もう」と言った。

 

 

 

「諒子は寝ないのか?」

3人とも寝静まり、まだ起きている諒子に洋介は尋ねた。

「えぇ、洋介こそ寝ないで大丈夫なの?」

諒子は洋介の顔をじっと見つめた。

「俺はまだ大丈夫。」

洋介は笑顔で答え、「となりいい?」と諒子に尋ねた。

「いいよ。」諒子の答えはすぐに返ってきた。

洋介はゆっくりと腰を落とし、手のひらを火にかざした。

「とんでもない試練だな…康次たちが死ぬなんて…」

洋介は火を見つめながらつぶやいた。

「…そうね。なんだか悔しいわね…。」

諒子も火を見つめながら答える。

しばらくの沈黙のあと、洋介がゆっくりと口を開いた。

「俺さ、蘇ったら人のためになる人生を生きたいって言ったじゃん。」

「うん。」

「もう一つあるんだけど…」

「何?」

「…諒子と共に生きていきたい」

諒子は目を見開き、洋介の方をむいた。洋介はじっと諒子を見つめていた。

「…駄目…かな?」

洋介は顔を少し下に落とした。

諒子は微笑み、「いいよ。」と言って、洋介に抱きついた。

「待ってたんだぞ、その言葉ぁ」

諒子は目に涙を浮かべにっこりと笑った。洋介もやさしく抱き締めた。

「好きだ、諒子」

諒子の頬を涙がつたった。

「…私もよ」

二人は抱き合いながら、ゆっくりと目を閉じた。

暖かい炎が二人の影を優しく照らし続けていた……

 

         【残り6人】

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