友の死
「強!?どうした!?」
洋介は山の上の強の異変に気が付き、声をかけた。
「…康次だ…」
「何?聞こえねーよ!!」
「康次だ!!!」
強は語気強く言った。
「衰弱しきってる!!冷てぇ!!体温がねぇ!!なんかあったけぇもの持ってこい!!」
康次は「…ぃぃんだ」とだけ語気荒い強に言って、「洋介を…」とだけ言った。
「洋介!!」強は叫んだ。「話があるそうだ!!」
洋介は走って駆け寄った。
洋介は衰弱しきった康次を見て、手を握り、「今、暖かくしてやる」と言った。
だが康次は黙って首を振ると、「…話を聞いてくれ…」とだけ言った。
「…広一は…死んだ…。おそらく、孝志と和也も……」
康次はゆっくりと消え入りそうな声で喋りだした。
洋介と強はただ呆然と聞いていた。
「…みん…な…すまないと…思っ…て…いるん……だろう…な……」
康次は洋介に向かって手を伸ばした。洋介はしっかりと握り締める。
「…お、俺は…お…前に…嫉…妬…してい…た……。リー…ダー…として…は…情け…ないのに……もかかわらず……みん……な…に…慕わ…れ…た…お前…に……。……す…ま…なか……った……」
洋介は手に力を入れて、「馬鹿!!今そんなこというんじゃねーよ!!」と言っていっそう強く握り締めた。目には自然と涙が溢れていた。
それを見た康次も目に涙を浮かべた。
そして最後の力を振り絞って、
「俺は……俺は………」
と唇を動かしたが、「俺は」の後に何を言ったかは聞き取れず、康次はゆっくりと目を閉じた…。
洋介は体を震わせた。
強は近くにあった瓦礫を悔しさで蹴った。
「あったかいものできたよぉ!!」
山の下で叫んだ諒子の声が切なかった……。
【残り8人】