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Last Smile  作者: 町田竜祐
6/22

康次は走り続けていた。

異様に暗い、暑すぎる通路をハァハァと息を切らしながら…。

もぅ何時間走っているのだろうか。

いつまでたっても出口が見えず、康次は腰に手をあててその場に立ち止まった。

「…ど、どうなってやがんだ…?」

康次は走って来た道を振り返った。闇だった。

急に頭上でバサバサと音がし、康次は驚いて上を見上げた。

「…こ、蝙か…ちくしょう、脅かしやがって…!!」

康次はまた前を向き、歩き始めた。

「…ん?前…」

康次は呟いた。

「…俺は今、どっちに進んでるんだ…!?」

康次は立ち止まり、首を前後左右に振った。

「…俺は今、どこにいるんだ!?」

康次の顔から血の気が失せ、代わりに恐怖感が募り始めた。

ふいに、康次の頭上からせせら笑いが聞こえてきた。

「誰だ!?」

康次は頭上に向かって叫んだ。

だがその笑いは止まることなく、だんだんと大きくなっていき、康次の頭の中から聞こえてきて、やがて高笑いへと変わっていった。

康次はその場に崩れ落ちた。耳を塞ぎ、首を激しく振り、呻いた。

「やめろ!!やめてくれ!!やめてくれぇ!!!」

 

…声は止んだ。

だが代わりに天井が崩れ、いくつもの岩や石が、康次の頭上に降り注いだ……

 

 

 

「…遅い!!何やってんだ!?」

岩に座った洋介はまだ帰ってこない2つの班に苛立っていた。

「ホントだな…。かれこれ3時間はたつんじゃないか…」

竜が心配そうに言った。

諒子が口に丸めた手をあてた状態で、

「…ひょっとして、何かあったのかも…」

と言い、他の4人の顔を見た。

「探しに行くか…!!」

洋介はゆっくりと立ち上がり、右のほうを向いた……

 

 

 

康次たちの班が行った方角へと進んだ洋介たちは、目の前にある死体と瓦礫の山を見て、目を疑うしかなかった。

腐った死体が放つ異様で独特な匂いに、5人は顔を歪めた。

「………ひでぇ…」

強はゆっくりと山に向かって進んでいき、山の上に登っていった。

死体を踏ん付けて登っていく強の光景はそれこそ異様だった。

「…見ないほうがいいわ。」

諒子は茜を優しく抱き締めた。

 

 

 

強は瓦礫や死体を素手でどかし、掘り続けた。

「…なんかあると思ったが…なんもねぇな…」

強は舌打ちし、ゆっくりと降りようとしたその時、

何かに足首を掴まれた。

「うわぁ!!」

強は足首を掴んだ手を振りほどき、その手を踏み付けた。

「コノヤロウ!!てめッ…!!」

強は何回もその手を踏み付け、やがて手がぐったりしてゆっくりと落ちた。

「なめやがって!!」

強は手に向かって言い放ち、足早に山から降りようとした。

その時だった。瓦礫の中から声がしたのだ。

「…その声は…つよ…しか…?」と。

強は驚いて振り向き、ぐったりした手がまだピクピク動くのを見て、その辺りを掘り返した。

 

 

 

強は見つけた。

衰弱しきった仲間の顔を。

強はもう虫の息の仲間を、必死に山から掘出した。

 

 

 

体はズタズタに切り裂かれ、肌の色は真っ青になってしまった変わり果てた康次だった……。

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