あれから・・・
………それから数か月後…
黒沢洋介の死刑は執行された…。
『多くの人々のためになりたい』
それが自分の命を尽きることで、日本の人々が喜んでくれる意味をもはらんでい
るのだとしたら…
この瞬間に洋介の夢は叶ったのだろうか……
…いや…決してそうは、思わない……!!
…ある日、大介は歩いていた。
キャスタースーツケースを引いて、前を見据えて前進していく。
「山口警視!!」
ふと、後ろから声をかけられた。
大介が後ろを向くと、洋介の自爆に立ち合った2人の若い刑事だった。
「お前達…何やってるんだ!?こんなところで…」
大介は驚きながら、2人に尋ねた。
「山口警視はどこにいかれるんですか?」
1人が笑いながら尋ねる。
「…俺か?俺は妻とも別れたし、警察も捨てたからな。…世界で1からスタートし
ようと思ってる…!!」
大介が笑いながら答えると、2人がにやにや顔で互いの顔を見合わせる。
「なんだ…?どうしたんだ?」
1人が尋ねる。
「俺たちもついていっていいですか!?」
もう1人も続ける。
「俺たちも警察辞めたんです。…俺たち、山口警視にどこでもついていきますよ!!
」
大介は驚いた顔で
「…いや、でもお前ら…」
「パスポートならこの通り!!」
大介が言い終わらないうちに、2人は上着のポケットからパスポートを取出し、目
の前に掲げてニカリと笑った。
大介はまだ目が真ん丸としていたが、やがて笑いだし、2人の肩を抱いた。
「行くぞ!!」
大介は振り替えって、胸を張りまた前進し始めた。
2人は笑いながら顔を見合わせた。
「はい!!」
青々とした、雲1つない空だった。