最終試練
「…ようこそ!!」
目から声が聞こえてきた。聞き覚えのある声。
「最初にここに来た時の声はあんたの声だったってわけか…」
洋介は目を睨み付けた。
「その通り。よくここまで来たな!!最終試練だ!!」
「最終試練…?」
洋介は訝しそうに尋ねた。
「その通り…!!」
目は怪しく窄まりはじめた。
「お前の目の前に落ちてるバズーカ砲で私を撃てばよい。それが合図だ。」
洋介は怪訝そうな顔をした。嘘だ!!罠だ!!そう心で思った。
しかし目は何もかもを見透かしてるらしく、細めた。
「ここに来る途中…お前はとてもひどく恐ろしい経験をしたようだな…」
洋介は目を見開いた。
「…あの顔は何だ?なぜあんなにも大量な…」
洋介はハッとした。
「まさか…死んでいった人の…」
「その通りだ。」
目は一層細まった。笑っているのだ。
「哀れな者どもの標本さ。」
洋介は怒り震えた。そしてしゃがみこみバズーカ砲を手に取ると、わなわなと震えながら叫んだ。
「許せねぇ…!!てめぇだけは絶対に許せねぇ!!!」
バズーカ砲の銃口を目に向けた。
目は黙って洋介を見つめていたが、瞳を左右にずらした。
竜と茜が洋介の隣に立っていた。
「…お前ら…」
竜は黙って洋介の左肩に手を乗せ頷いた。茜も右肩に手を乗せ黙って頷く。
洋介は薄く笑みを浮かべ、目に向き直した。
「いくぜ」
引き金を引き、弾は瞳のど真ん中に命中した。
「さすが、洋介」
竜はポンッと肩を一叩きした。
目は焼かれ、瞳を失っていたが、ゆっくりと声が聞こえてきた。
「最終試練の始まりだ…だ…だ……」
不気味にこだましたかと思うと、天井がグラグラしている。
「…おい」
3人は互いに顔を見合わせた。
「走るぞ!!」
洋介は叫んだ。
「神殿が崩れる!!」