断罪
「強ぃぃぃ!!!!」
洋介は絶叫した。
諒子は銃を片手に爆煙の中へと走っていった。
「…ち、ちくしょう…!!俺たちは…何もできなかった…!!見てることしか…クソッ!!」
洋介は見えない壁を思い切り叩いた。手に激痛がはしったが、悔しさのほうが勝って、何も感じなかった。
竜はその場に座り込み、何度も地面を叩いた。
茜は涙が頬を自然と伝った。
しばらくして煙が晴れると、諒子がはいつくばって逃げようとしている謙治の後頭部に銃口を押しつけていた。
謙治はゆっくりと首だけを後ろに向け、諒子に向かって口を歪めた。笑ったのだ。
その侮蔑としか読み取れない顔は諒子の目を冷たくさせた。
なんの感情も持たない人形のように、無表情で諒子は静かに引き金を引いた。
銃声が鳴り響き、謙治はその場で絶命した。
諒子は銃を静かに落とした。
そして爆発した機械の残骸を調べ始めた。3人の電磁波を解除するための装置があるかと思っての行動だった。
「…無駄だよ…」
諒子の後ろから声がして、諒子は背筋が凍り付いた。
ゆっくりと振り向くと、殺したはずの謙治が立っていた。
目を見開き、口から血を流し、ふらふらと立っていた。風が吹けば飛ばされてしまうだろう。
だが、その瞳には生きている光さえも見えない。
諒子は首を傾げた。
「…驚くのも無理はない…俺はこいつの脳を支配していた…楽しかったぜぇ…3人も殺すことができたんだからな…」
諒子の目に怒りの炎が映った。
「さて…本題だが、あの3人の電磁波を解除するには神殿のまわりにもあの3人と同じ電磁波が囲んでる…あの神殿の電磁波が解ければ…あの3人も動くことができるぜぇ…」
諒子は神殿のほうを見つめた。
謙治の目が怪しく瞬く。
「だがな…あの電磁波を解くには誰か1人の命捧げなきゃならねぇんだよ…」
諒子はハッとして、ゆっくりと謙治を見つめた。
「てめぇらが…みんな全員で蘇ろうだなんて…所詮無理だったんだよ!!」
謙治は高らかと笑った。
諒子はそばに落とした銃を拾った。
「無理だったんだよ!!無理だったんだよ!!!無…」
諒子は撃った。何の感情ももたずに…。
諒子はもう一度神殿を見つめ、静かに悲しい瞳を伏せた。
自分の今の状況が…運命が見えたような気がした……。