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Last Smile  作者: 町田竜祐
11/22

犠牲

「危ない!!」

洋介たちはすんでのところで避け切った。

「て…めぇ!!謙治!!頭イカれやがったか!?」

強が謙治を睨みつけ叫んだ。

謙治は首だけを強のほうに向け、吠え狂った。

「………イカれてやがる」

強は飛んでくるマシンガンの弾から走って回避した。

謙治は強をマシンガンの銃撃で追い回した。

そんな強を助けようと、洋介たちも謙治に罵声を浴びせた。

謙治はまたもや首だけを洋介たちに向け、吠え狂い、マシンガンを発射させる。

強が隠し持っていた銃で機械目がけて引き金を引いた。

キンッと音をたててむなしく弾はその鋼より堅いボディにはじかれる。

「…マジかよ」

強は唖然として、銃を遠くへ放り投げた。

「くその役にも立たねぇじゃねぇか!!」

強は悔しがって岩を蹴ると、機械は強のほうを振り替える。

「いっ!?やっべ…!!」

強はとっさに岩に隠れ、マシンガンの銃撃を避けた。

ふと、自分のポケットに何かが当たった。炸裂弾だった。

「…そうか…これなら…」

強は一瞬の隙をついて、岩影から出てそのまま走って逃げる。

「洋介!!洋介、どこだ!?」

強は叫んだ。洋介は走ってくる強を見つけ、手を振った。

「ここだ!!」

「おぉ!!洋介!!いい作戦を思いついたんだ!!」

必死に逃げる強の後ろに機械が見えた。

「おい!!こっちくんな!!」

洋介たちもたまらず逃げる。

「ちょ、待てよ!!おい!!」

強は後ろを振り返った。機械がその4本の足で必死についてくるのが見える。

「あいにくだが、走りなら俺たちのほうが速いな」

強は得意そうに笑い、そしてまた考えた。

「…ひょっとすると、アイツ走りながらじゃ銃は撃てないってわけか…」

うーんと頭を掻きながら、もう一度振り向くと、機械は止まっていた。

「へへっ!!疲れちゃったかな」

強は立ち止まり、笑った。

が、その目はみるみる凍り付いた。

「なんだ!?なんかくる!!」

強の目に映ったバチバチと音をたてるそのフラフープの輪に似たようなものは、ゆっくりと左右に揺れながら迫ってきた。

「おっと!!」

強はすんでのところで避けた。

が、強はハッとした。

強は仲間たちに叫んだ。が、聞こえてきたのは何人かの苦痛の叫びだった……。

 

 

 

強は目を大きく見開いた。

洋介、茜、竜の3人があの円の中でもがいていた。

そのそばでかろうじて助かった諒子が倒れている。

しばらくしてバチバチと音を出していたその稲妻のような光が消え、洋介たち3人はその中で跪いた。

「大丈夫か!?」

強が走って駆け寄ると、何もないはずなのに何かに弾かれ、突き飛ばされた。

「見えない壁でもあんのか?」

強は頭を押さえながらゆっくりと立ち上がり、諒子の元に駆け寄った。

 

洋介は意識朦朧だったが、倒れてる諒子を目の端で捕らえ手を伸ばした。

が、諒子に触れそうになった時、手に激痛がはしった。

「ぐあっ!!」

洋介は思わず手を引っ込めた。「何だ?これは…!!」

「電磁波さ…」

驚いて洋介と強は声のしたほうを向くと、機械が立っていた。

「俺は逃げ回るねずみは嫌いでね…そのほうが楽に死ねていいだろう?」

謙治はニタリと笑った。

ゆっくりと諒子が起き上がった。ついで、竜が茜が意識を取り戻す。

「よしよし…気を失ったまま死んでもらっちゃ痛くも痒くもないからな…苦しんで死んでもらわなきゃ…」

謙治の瞳が危険な感じにすぼまる。

「…シネ」

 

強はゆっくりと立ち上がった。手には炸裂弾が握り締められていた。

「諒子…お前、サポートしてくれ」

諒子は強のほうを向いた。諒子はこっちを見つめている強の目に何かを覚悟した炎が燃えているのが見えた。

手に握り締められた炸裂弾を見て諒子はすべてを察した。

「ガキは2人でいい。もしまた出会えたら、そん時、見せてくれ」

強は諒子に微笑んだ。諒子は涙を浮かべ頷いた。

「洋介を頼むな…」

強はゆっくりと謙治に向かって歩み寄った。

「…何ダ…キサマ?」

強はゆっくりと右手を上げた。

「この世界の炸裂弾だ。」

強は叫び、謙治に突進した。謙治も叫び、強にマシンガンを発射した。

強は頭を撃たれ、心臓を撃たれても堪え、決して倒れなかった。

止むことのない弾の嵐の中で強は謙治を睨みつけ笑った。そのすさまじい形相に謙治は怯んだ。その隙を見逃さなかった。

振り上げられた右手が機械の頭上に当たったその刹那…。

強は洋介をチラッと見て笑い、高らかに叫んだ。

「さらばだ!!洋介!!」

その瞬間、すさまじい爆発が強と機械を包み込んだ……。

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