事件の終わり
この小説は作者が中学2年の頃に執筆した作品であり、まだ世の中について理解していなかった頃に執筆したことをご理解ください。
この物語はフィクションです。
「…警視…口警視…山口警視!…山口警視!!」
ハッと目を見開いた。目の前には部下の顔。
「どうしました?ボーっとして…」
部下の心配そうな口調に照れ笑いをしながら、
「いや、こっちのことだ。気にしないでくれ。」
とだけ一言言った。
「…それならいいんですが…あッ!!珈琲置いときますね」
「あぁ、ありがとう…」
大介は力無さそうに言って、珈琲を一口啜った。
大介はまた考えていた…
あの日のことを…
あの一生分の名声を得られた、あの日のことを…
あの日以来、大介のまわりでは『一生安泰』やら『日本の英雄』やらの話で持ち
きりになった。
しかしそんな話を気にしてないわけではないが、大介は洋介の最後のことをいつ
も考えていた…
あの、信じられない光景を…
「ハァ…ハァ……ハァ………」
昼間なのに薄暗い工場の中。洋介は大介に撃たれた右足を庇いながら懸命に逃げ
ていたが、ついに大介に見つかった。
「…あの煙幕の中から抜け出し…かつ俺を見つけるとはな…。」
洋介は力なく笑った。
「おまえの右足から流れ落ちた血の跡を辿っただけだ。」
大介は無表情で言い、拳銃を向けた。
「署で話を聞きたい。なぜ、こんな残虐行為をしたのかの理由を…!!」
「…撃てよ…。」
洋介は一言だけ言った。
大介は少しも顔色を変えずに、今度は左足を撃ち抜いた。
「グッ…!!」
洋介は倒れた。大介は洋介へと歩きだす。
「…待てよ…。」
洋介は薄ら笑いを浮かべて、上着の胸の内ポケットからある機械を取り出した。
大介はひるんだ。その隙を洋介は見逃さなかった。
『ドンッ!!』
大介は倒れた。洋介の隠し持っていた銃で撃たれたのだ。
「ハッハッハ…!!バカめが…油断なんぞするもんじゃねぇぜ…」
大介はうめきながらも必死で立ち上がり、拳銃を再び洋介に向けた。
するとさっきの銃声に気付いた大介の仲間が集まってきた。
「警視!!大丈夫ですか!?…貴っ様ぁぁ!!!!」
仲間の一人が洋介に銃を向けたが、大介は咎めた。
「こいつは…自爆装置を持ってやがる…。むやみに手を出すな…。」
「しかし……グッ!!」
大介は驚いて洋介を睨み付けた。洋介が仲間を撃ったことに対して思わず逆上し
てしまった。
「き、貴様ぁ!!!」
大介は引き金を引いたその刹那…
目の前に1人の少女が現れたのだ。洋介を守るようにして…
女は倒れた。
「な、なんで…?ま、まさかさっきの銃声を聞いて…!!とにかく、き、救急車だ
…!!はやく!!」
大介が仲間に振り向いたその時…銃声が鳴った。
仲間が放った弾丸は洋介に命中した。
「…は、離れろ!!」
洋介は女に言ったが、まったく動かなかった。
「…お、おい、刑事!!この子を…」
その時、洋介の体は少女もろとも爆発した。
大介は口をわなわなと震わせながら、目を大きく見開き、呆然としたまま立ちす
くんだ…。