3、叶わない思い
アンジェラが部屋でくつろいでいると、カーリーがドアをノックした。
「アンジェラ、お話があります」
「何ですか? お母様」
アンジェラがドアを開けると、深刻な顔をしたカーリーが立っていた。
カーリーはアンジェラの部屋に入ると鍵をかけた。
「アンジェラ、デイヴ様のことですが、関わってはいけませんよ」
「急に、何故ですか? お母様」
「アンジェラ、あなたは本当はオルティス家の娘だったのです」
アンジェラは言葉の意味が分からず、しばらくぼうっとしていた。
しかし、母親の言葉を理解すると、顔が青ざめた。
「何故? 今になって言うのですか?」
「このことは死ぬまで私の胸にしまっておくつもりだったのですが」
カーリーは深いため息をついた。
「アンジェラは、デイヴ様に心を引かれていたのでしょう?」
「……ええ、お母様」
アンジェラは力なく頷いた。
「アンジェラ、血のつながりは無くても、私たちは親子です」
「お父様はこのことを知っているのですか?」
「いいえ」
カーリーは頭を振った。
「お父様には話すのですか?」
「いいえ」
アンジェラはベッドに腰掛けた。
「お父様をだます事は私には出来ません」
「分かりました。すべてを今夜お話ししましょう」
カーリーはアンジェラの部屋を出て行った。
「私がオルティス家の娘だなんて。お母様は何故黙っていたのかしら」
アンジェラはデイヴのことを思い出した。
「懐かしいと思ったのは、お兄様だったからなのですね」
アンジェラは窓から外を眺めた。