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2、はじめての会話

「もう行きますよ」

「はい、お母様」

 アンジェラは18才になり、オルティス家の長女として可憐に育っていた。


 アンジェラには二才違いの妹がいた。パティ・オルティスだ。

「お姉様、素敵なドレス。似合っていらっしゃるわ」

「ありがとう、パティ」

 オルティス家の乗った馬車は王宮に向かって走った。


 王宮に着くと名家の子爵達がもう、つめかけていた。

「遅かったですね。オルティス様」

「これは、ネイサン様。お久しぶりです」


 オルティス伯は娘を紹介した。

「娘のアンジェラです」

「はじめまして。サイラズ・ネイサン様」

「はじめまして」


「私の息子も18才なんですよ。来なさい、デイヴ」

「デイヴ・ネイサンです」

「はじめまして」

 アンジェラはデイヴと会って、なんだか懐かしい気持ちになった。


「初めてお会いした気が致しませんわ」

「そうですか? 私もです」

「ご挨拶はそのくらいにしてはいかが?」

 アンジェラの母、カーリーが割って入った。


 二家族が離れると、カーリーはアンジェラに言った。

「デイヴ様とは仲良くしてはいけませんよ」

「何故ですの? お母様」

「どうしてもです」

 いつになく厳しい顔で、カーリーはアンジェラに言った。


「さあ、王様、王妃様から呼ばれますよ。準備なさい」

 カーリーはアンジェラに打って変わって優しい顔をした。

「はい、お母様」

 アンジェラは名前を呼ばれると、王と王妃に挨拶をし無事に社交界デビューをした。


 しばらくすると音楽が鳴り、人々は踊り出した。アンジェラも踊ったが、緊張から直ぐに疲れてしまった。

「お料理を頂いてきます」

「いってらっしゃい」


 アンジェラが料理を取り、食べているとデイヴがやって来た。

「またお会いしましたね」

「はい」

 アンジェラは会釈をして、去ろうとするとデイヴが話しかけてきた。

「アンジェラ様と私の家は近いのに、お会いするのは初めてですね」

「そういえば、そうですね」


 デイヴの笑顔はまぶしかった。

 アンジェラは母からの言いつけを思い出し、デイヴから離れようとした。

「私、家族の元へ戻りますわ」

「そうですか。それでは、またお会いしましょう」

「……ええ」

 アンジェラは後ろ髪を引かれる思いで、家族の元へ早足で戻った。


「どうしました? アンジェラ?」

「いえ、別になんでもありませんわ、お父様」

「それよりも、お父様達は踊らないのですか?」

 それを聞いて、カーリーは嬉しそうな顔をした。


「そうですね。たまには私たちも踊りませんか? ジェフ様」

「そうですね、カーリー」

 二人は踊りの輪に加わった。


「なぜ、デイヴ様と仲良くなってはいけないのかしら?」

 アンジェラは葡萄のジュースを一口飲んで呟いた。

「私はそのようなことは言われませんでしたよ、お姉様」

「パティはデイヴ様が気に入ったの?」

「ええ。とても素敵な方ですもの」

「そうですわね」


 舞踏会が終わるとオルティス家とネイサン家は挨拶をして、それぞれの屋敷に戻っていった。

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