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コント「勧誘」

作者: クトルト

ツッコミ「タイチのやつ、話があるって言ってたけど、なんだろうな…」


待ち合わせのカフェに入ると、タイチが声をかけてきた。


ボケ「シュウ。悪いね、忙しいのに」


シュウはタイチの向かいの椅子に座った。


ツッコミ「なんだよ、話って」


ボケ「どうしても直接伝えたいことがあってさ」


ツッコミ「まぁいいけど」


タイチは座り直し、姿勢を良くして流暢に話し始めた。


ボケ「はい!今日はお忙しい中、お越しいただきありがとうございます。今回ご紹介したい商品はこちら!」


ツッコミ「ちょっ、えっ、なに?」


ボケ「まぁまぁ、最後まで聞いてよ」


ツッコミ「…分かった」


ボケ「今回ご紹介したい商品は衣類用エコ洗剤。自然由来の成分のみ使用で、環境を汚染することはありません。環境にやさしく、汚れに強い、まさに洗濯界のヒーロー。今なら1箱たったの3円。おひとり様100個までお買い求めいただけます」


ツッコミ「…もしかして、何か仕掛けようとしてる?」


ボケ「仕掛けるって何?」


ツッコミ「いや、だから…」


ボケ「はっきり言ってよ」


ツッコミ「そのしゃべり方はなんだよ」


ボケ「しゃべり方?別に普通だけど」


ツッコミ「通販番組みたいなノリは何なの?」


ボケ「通販番組?」


ツッコミ「……あと、3円ておかしくない。しかも限定100個って」


ボケ「大丈夫だって。ちゃんと、利益はでるようになってるから」


ツッコミ「どういうこと?」


ボケ「そういう仕組みなんだって。今買ってくれたら、家まで郵送するから」


ツッコミ「わかった!送料や手数料が高いんだろ」


ボケ「無料だけど」


ツッコミ「怖い怖い」


ボケ「なんだよさっきから。疑ってるの?」


ツッコミ「いや、まぁ、ちょっと怪しい感じがして」


ボケ「良い話だから、一番にシュウに伝えようと思っただけなのにさ」


ツッコミ「悪かった。疑って」


ボケ「いいよ。じゃあ、他の商品もあるから紹介するね」


ツッコミ「ああ」


ボケ「続いてご紹介する商品はこちら。ミラクルストーンZ。この石さえあれば、大金が手に入って、異性にモテて、人生ハッピーになること間違いなし。今なら、1個たったの1億円」


ツッコミ「おい!」


ボケ「なに?」


ツッコミ「詐欺だろコレ」


ボケ「はぁ?何言ってんの」


ツッコミ「下手なんだよ。こういうのって、少しずつ値段上げていって、購買欲を高めて、高いものを買わせるんじゃないの。3円からの1億円って、この高低差じゃ誰も買うわけないだろ」


ボケ「勉強になるなぁ」


ツッコミ「今、認めたよな」


ボケ「なにが?」


ツッコミ「詐欺の勉強になるなぁってことだろ」


タイチは自分の膝を叩く


ボケ「なんでバレたんだよ!くやしいなぁ」


ツッコミ「熱い感じで悔しがるなよ。やってること最低だからな」


ボケ「俺は最低だ!」


ツッコミ「そうだよ!」


ボケ「シュウには言ってなかったけど俺、詐欺にあって10万円の借金ができたんだ。俺をはめた詐欺師から、くやしかったら、強くなって、詐欺して取り返してみろって言われて。だから俺、その詐欺師の会社に入って、修行してるんだ。なのに…クソッ、何やってんだよ俺は」


ツッコミ「…なんで会社に入ったの?どういう感情?」


頭を抱えるタイチ


ボケ「どうすればいいんだ」


ツッコミ「いや、普通に詐欺をやめればいいだろ」


ボケ「もう一度やっていい?」


ツッコミ「はぁ?」


ボケ「もう一度詐欺を仕掛けていいかな?」


ツッコミ「無理だって。もう詐欺って言ってるし」


ボケ「あきらめたら、それで終わりなんだよ!!」


ツッコミ「おしいんだよなぁ。お前は良いやつなんだよ。目指す目標がおかしいだけなんだよ」


ボケ「俺、本気出すから」


ツッコミ「いや、だから…」


ボケ「はい、今回紹介する」


ツッコミ「やめろ」


ボケ「商品はこちら。ミラクルストーンZ」


ツッコミ「やめろ!」


ボケ「この石さえあれば」


ツッコミ「やめろぉぉぉ!!」


シュウはタイチの両肩をつかむ。


ツッコミ「ごめんな、お前がこんなになるまで気づけなくて」


ボケ「シュウ…」


ツッコミ「俺はタイチに詐欺なんか、してほしくないんだよ!」


ボケ「…実は今の会社に借金があるから、やめることはできないんだ」


ツッコミ「だったら俺が10万払ってやるから、そんな会社は今すぐやめろ!!」


ボケ「ダメだ。シュウから金はもらえない」


ツッコミ「やっぱり、タイチは良いやつだな」


ツッコミ「待ってろ!」


ボケ「シュウ!!」


シュウはATMに行って10万をおろし、カフェに戻り、

タイチの胸に、10万の入った封筒を突き付けた。


ツッコミ「これで返してこいよ」


ボケ「ありがとう、絶対に返すから」


ツッコミ「ああ、待ってるぞ」


タイチは立ち去った。


ラインの着信音が鳴り、シュウは送られてきたラインの文章をつぶやいた。


ツッコミ「タイチは下手な詐欺師を演じて、相手の同情心をあおってお金をだまし取ってるから、絶対に関わるな……か」


ツッコミ「努力して詐欺なんかすんな!」


終わり

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