突然の通知
「世界人口の増加に伴う食料問題、土地問題が解決されます。」
付けたままにしていたテレビから、やや興奮気味のアナウンサーの声が聞こえてきた。
(何かを誰かが発明したのか?)
マンガもちょうど読み終わったところなので、視線をテレビの方に向けてみることにした。
(このアナウンサー、最近ちょっと太ったな。)
などと関係ないことを考えていたら、アナウンサーが映るスタジオ映像から記者会見らしき映像に切り替わった。
見るからに‘博士’といった見た目の初老の男性が話しだす。
「我々はワープ航法の研究中に思わぬ成果を得た。」
「子どもの頃、マンガやアニメ、小説や映画といった世界に憧れを抱いたことはないだろうか?」
「そのような‘ファンタジー’世界に行ってみたいと考えたことはないだろうか?」
「今回我々が得た[成果]は、そのような世界へ行く手段です。その世界はこの地球上以外に存在する。我々はその世界を[異世界]と呼称することにしました。」
「正気かこのじいさん!?」
思わず声が出た。
夏の暑さで頭がやられてしまったにしてはしっかりとした目つきをしている。
周りにいる数人も真面目そうな顔のままだ。
どう反応してよいものか考えていると、初老の男性は続けて話しだす。
「しかもこの異世界は複数存在している。」
(異世界が複数存在する?)
(何種類ぐらいだ?)
(どんな異世界があるんだ?)
(どうやって行くんだ?)
男性の気迫ある言葉に負け、疑いの気持ちが減り、徐々に信じ始めていた。
また、それと同時に異世界への興味が湧き、色々と疑問が浮かんできた。
それを見透かしたかのように、画面の中の男性は言葉を続ける。
「我々は既に20種以上の異世界を発見しており、発見した数は日に日に増えてきている。」
「異世界への移動手段もより手軽な方法へと改良が進み、皆さまが気軽に異世界をして頂けるとようになった。」
・・・・・
・・・
・
会見の映像が切れ、またテレビの画面に戻ってきた。
嘘のような話が続いた会見だが、内容を要約すると、
・異世界は複数存在し、確認されている数は増えている
・異世界への移動手段はある特殊な‘紙’を破るだけ
・その特殊な‘紙’は《切符》と呼称され、全国のコンビニで販売される。値段設定は検討中。
・発売日や購入方法の詳細は決定次第また展開される
まぁこんな感じか。
値段がいくらぐらいなのか、まずはそれが問題だ。
あまりに高額過ぎると学生身分の俺には手が出せそうにない。
手が出る範囲で販売されることを祈るばかりだ。
異世界の種類は複数あるらしいが、詳細は発表されなかった。
どんな異世界が俺の理想なのか、販売されるまではそれを考えておこう。
〜次話の内容は〜
主人公の島津ゲンナイが《切符》の説明会に参加します