時間稼ぎの理由
ゼファールとの会見から五日目になった。この日は騎士対抗戦の三回戦が行われる。
昨夜の夕食時にゼファールはルーディア側の観戦を提案したが、その提案はエリスロットとイリスによって却下された。王女もそれについては仕方がないと思う。二人の騎士が付いていない状態でルーディアの騎士の試合観戦はないだろう。
先日と同じように用意された席に座り、王女はリリーとマーレットの二人を伴いリングレントの騎士の対戦を観戦していた。
先日と同じようではあるが、今日の対戦は初日や昨日より見応えがある。弱い者が振るい落とされ、強い者が残ると剣の対戦は決着に時間がかかるようになって来た。イリスとエリスロットは二回戦も問題なく勝ち抜いており、この三回戦目はイリスの言っていた自分から敗退するつもりの試合となる。
騎士対抗戦が始まり少しすると、ゼファールがリングレントの騎士戦を観戦にやって来た。
「……姫様……あちらからゼファール様がいらっしゃいます」
マーレットが示す方を見ると、ゼファールは伴を付けず一人でブラブラとこちらへやって来る所だった。サラリとしたプラチナブロンドの髪が目立つ。彼は騎士戦に目を向けながら気楽に歩いて来る。
「こちらの様子はどうなのか気になったのでな」
ゼファールは王女の傍に来ると、柔らかい物腰で話しかけてきた。王女は一人で出歩くという事をもう何年もしていない。そのゼファールの行動を少しだけ羨ましく思う。
「ゼファール様は本当に自由な方なのですね。伴も付けず……驚きましたわ」
椅子を勧めながら王女が言うと鼻で笑われた。
「私も多少は腕に自信がある。伴が居なくても何とも思わぬ。お前は伴が居ないと出歩くことも出来ぬのか?」
痛い所を突いて来る。その嫌味たらしい物の言い方を無視し、王女は返事をした。
「はい、そうですわ」
「自由に歩き回る事も出来ぬとは、不自由なものだな」
それをサラリと返しゼファールはリングレントの騎士達の様子を見た。
「見た所、お前の側近達は残っているようだな」
ゼファールは目でエリスロットとイリスの二人を確認すると、王女を振り返り楽しそうに笑った。王女はその屈託無く笑うゼファールの姿に少し驚いた。昨日まで感じていた彼の威圧感が少し薄れている。気が付くと王女自信もその笑顔に自然と笑い返していた。
「えぇ勿論でございます」
「ふむ……私の側近達も勝ち残っている。側近同士の戦いになるやもしれんな」
自信に満ちたゼファールに王女は負けじと言う。
「リングレントとルーディアの頂上決戦ですわね」
「あぁそうだ。負けぬぞ」
「こちらも負ける気は致しませんわ」
言いながらまた不思議に思う。いつの間に自分はゼファールとこうして笑うようになったのだろう。まだ日が浅いのだ。彼の考えは分からない、心を許す事はない。そう思っているのにこうして笑っている。
ゼファールの持つ雰囲気が壁を感じさせなくなった為だろうか? それともこの騎士対抗戦という催し物が一体感を生んでいるからだろうか? 王女はゼファールの横顔を見つめた。
「今から始まるあの試合……勝つのは身体の大きな男だな……」
ゼファールが声をかけて来た。見ると今から試合が始まる騎士達がいた。そこには勝ち抜いていた中肉中背の男と身体が一つ分大きな男がいた。これはさすがに中肉中背の男の方が不利だろう。そう思うものの、王女はゼファールに聞いてみた。
「なぜわかるのですか?」
「身体の大きな男が、先程、剣を持ったまま肩を回していた。あの男は関節の可動域が大きい、見ていろ、脚の動きを……」
ゼファールは身体の大きさではなく、関節の可動域が大きいのが有利だという。試合が始まると中肉中背の男が動いた。ブレの無い動きだ。だが相手の大きな男が一歩踏み出すと、あっという間に中肉中背の男の傍に来た。そしてそのまま剣を構え身体の力で相手の剣を跳ね除けた。
「……気づいたか? 関節の可動域が大きいと、彼の踏み出す一歩で相手を自分の戦いの範疇に入れる事が出来るのだ。相手はそこまで動くとは思っていなかっただろう……リングレントにも良い騎士はいるのだな」
ゼファールは素直に敵方の騎士を称賛した。王女はまた不思議に思った。この人はどのようなものの考え方をするのだろう。隣国バロスまでは手中に納めている。何故、そうもして国を欲しがるのだろう。こうして何年も離れて自国の事や民は心配にならないのだろうか? 何のために戦を起こすのだろう。
そう思っている内に目の前の試合は終わっていた。勝利したのはゼファールの言う通り関節の可動域の大きい、身体の大きな男だった。
「良いものを見せてもらった。お前も我がルーディアを観に来い。待っているぞ」
王女は笑い明言は避けた。試合は次の者に移っている。
ゼファールは立ち上がり「ではまた後でな」と王女に声をかけると背を向け歩き始めた。
王女が暫くその背中を見つめていたその時、突然大きな声がした。
「危ない!!!」
大きな声がしたその方向を向いた瞬間、王女の目にこちらに向かって飛んでくる剣が見えた。一瞬、理解出来ずに身動きが出来なくなる。そして気が付くと誰かが王女を庇い、王女はその誰かに抱き締められていた。目の前にプラチナブロンドの髪が見える。これは……。
金属の当たるキンッという高音が響き、暫くすると何処かでガシャーンと剣が石の床に落ちる音がした。辺りはザワザワと騒がしくなる。
「大丈夫か?! 怪我はないか?!」
王女を抱きしめていた相手が体を離し、王女の顔を覗き込んだ。眉を寄せたゼファールが心配そうに王女を見ている。
「あ……あぁ……はい、大丈夫です」
答えながら王女は、今、自分の置かれた状況を確認した。皆の視線が一斉に自分へ向いていた。イリスとエリスロットがこちらに駆けて来るのが見えた。そしてリリーが剣を片手に立っている。
「姫様、剣は叩き落としました。お怪我はありませんか?」
リリーが険しい表情で王女に言い、それに対比し目の前のゼファールは優しい顔になっていた。
「はい……私は大丈夫です。ゼファール様は? 何もございませんか?」
「あぁ、私は問題ない。お前に何もないのなら良かった……」
そう言うとゼファールは立ち上がり、会場を見下ろし大声で言った。
「今、剣を投げたのは誰だ! 前へ出よ!」
すぐ近くで試合をしていた男が手を挙げた。
「も……申し訳ありません! 私の剣です! 払われた際に手から抜けてしまい……本当に、なんとお詫びを申し上げれば良いのか……」
そして男は地面に平伏した。ゼファールはその男に厳しい目を向ける。
「剣士たる者、死んでも剣を手放してはならぬ! 怪我はなかったとは言え、貴様のおかげで我が妻となる王女が心労を得た! お前と相手の者は二人共に失格とする!」
聞きながら王女は良い判断だと思った。剣を手放す原因になった相手も、それと同様の処罰を与えるのが良い。
だが、あの剣は本当に偶然飛んできたものなのだろうか? 自分にではなくゼファールを狙ったものとは考えられないか。そうも思うが、王女は言葉には出来なかった。間違いである場合、これ以上あの者達を責められない。それに何より、ゼファールが自身の事として扱ってはいない。
並みの人物であれば、このような失態を犯したものはその場で叩き斬られてもおかしくはない。だがゼファールはそれをしない。誠実で平等、今更ながらゼファールの言葉が心に染みた。
剣士二人に言い放った後、ゼファールはまた王女の目の前に膝をついた。
「今日はもう休むが良い。このような事が二度とないよう、皆には言っておく」
そうして王女の頬に触れ鮮やかに笑うと立ち上がった。そこにイリスとエリスロットが到着した。
「申し訳ありません。我等のどちらかが常に着いておくべきでした」
「これからは常にそうしろ。彼女を傷つける者は私が許さぬ」
「は!」
そしてゼファールは立ち去った。
複雑な思いが王女の心に生まれていた。ゼファールは悪い人ではない。王女は確かな確証を得た気がした。
だがエリスロットが立ち去るゼファールをずっと見ていた。その眼差しが厳しく光る。イリスは王女の傍に来た。
「我ら側近が迂闊でした。許してください」
「良いのですよ。何もなかったのですから」
そう言いつつ王女はゼファールを思った。何もなかった訳ではない。王女の中に一つの希望が芽生えていた。リングレントを救う道、それはゼファールと自分に懸かっている。そのゼファールの誠実さが、今少し見えたようにも思う。王女はリングレントを救う道を強く思った。
ゼファールと別れ騎士戦を途中退場した王女は、部屋に戻る道々ゼファールのことを考えていた。と同時にこれから先の事を考える。
騎士対抗戦が終われば、ここに留まる理由がなくなる。そうなれば王都へ向かうことになるだろう。父や兄からはまだ連絡はない。リングレントはどう動くのか? 解らないまでも数日の後に移動する事を伝えなければならない。それまでの間にまだやる事はあるだろうか?
そして思う。ゼファールはリングレントをどうしたいのだろう。何を思いここへ来たのか。彼を見ていると彼の要求はただの支配欲や権力欲とは違うように思えるのだ。
この国を、民をどうしたいのか、それを聞かねばならない。自分がここを出る前に、ルーディアへ移動する前に、なんとか聞き出したいものだ。
あのゼファールを心から信頼する事が出来れば、何も悩む必要はないのかもしれない……。
エリスロットとイリスは一旦騎士戦を離れ、王女を部屋へ送るまでついて来た。
「姫様? どうかされましたか?」
王女が考え込みながら歩いているとイリスが声をかけてきた。王女はイリスの瞳を真っ直ぐに見ると、決意の意味を込め口を開いた。
「少しみんなと話がしたいと思います。騎士戦の後、私の部屋に皆を集めてください」
「わかりました。部屋で待っていてください。この事はすぐに知らせて来ます。集まるのは今日の騎士戦を終えた後で良いのですね?」
イリスはそれを確認するとその場を離れていった。エリスロットが黙ったまま王女の傍についた。
「エリスロット、私が思う事を聞いた後は、貴方の率直な意見を聞かせて下さい」
「……わかりました」
その日の騎士戦は終わり、エリスロットは勝ち残り、イリスは宣言通り敗退して戻って来た。
暫くすると王女の部屋に側近達が揃った。四名の侍女は下働きとしてルーディア側に居る者達であり、ロルカとフィリップは伝令係だ。もう一人の伝令係は城に居るためこの砦にいるのはイリスとエリスロットを含め十人になる。みんなが揃ったのを確認しエリスロットが声を掛けた。
「皆揃いました」
王女は居並ぶ者達の顔を一人一人見た。
「ここに揃って貰ったのは、私の思う事をあなた達に話し、あなた達の考えを聞きたいからです。遠慮は要りません、皆の考えを聞かせてください」
王女は今日の騎士戦の時のゼファールの行動を話した。
「騎士戦の観戦時の出来事を皆聞いていますね? ゼファール様は咄嗟の判断で、自分の事よりも私の安全を先に考えてくださった。その事実を見た時に思いました。もしかすると彼は話せばわかる方なのではないかと……。彼が悉く他国を手中に収めて来た理由はよくわかりませんが……私はその理由を尋ねてみようかと思うのです。何をしたいがために今ここに居るのか。本当に聞きたい事はリングレントをどうしたいのかと言う事ですが、それはさすがに話す事はないと思いますし、聞けません。でも腹を割って話せば、わかる事があるのではないかとも思うのです」
皆は眉を顰めたまま返事をしなかった。エリスロットは特に視線を真っ直ぐに王女へ向け険しい表情をしている。
「皆はどう思いますか?」
王女はユックリと言葉を重ねた。皆の考えが聞きたい、そこには気合も嘘もない。ただ純粋に今後の事を考えこれからの事を皆と話し合い、共有したかった。
「……私は、姫が今それをするのはあまり賢い遣り方ではないと思っています」
口を開いたのはエリスロットだった。
「ゼファール王は……正直に、私自身の考えを申せば、得体の知れない独特の雰囲気が私には払拭出来ていません。私には今日の出来事も彼が仕組んだのではないかとすら思うのです」
皆が耳を傾ける中、一様に頷いた。
「私も信頼するにはまだ早いと思います……まだたったの五日しか経っていません。彼の言葉に騎士の士気が高まるのを見ていると、更に今後の行動の観察が必要だと思っていました」
今度はイリスが声をあげた。そしてそのまま話し出す。
「ゼファール王の『国は関係なく皆を平等に扱う』との言葉……並みの指導者ではそうは考えません。例えそう考えたとしても一部の者のみを、そう扱うだけで、全ての者を扱うわけではない筈です。何故なら、その平等に扱う中に刺客が紛れている可能性だってある……そして、全て平等に扱う事はやろうとしても出来ないのです。相当緻密な社会の仕組みを作り直さない限り、現実には無理でしょう」
イリスは深く息を吸った。
「私はずっと不思議に思っていたのです。なぜバロスの軍はゼファール王がバロスを離れたにも関わらず、従っているのかと……彼の下で人はどう思うのか……彼はよく姫様にも『好きにしろ』と言う……そして気付きました。彼の下では人は自由なのだと。バロスの軍がゼファール王に従う理由が、騎士達の様子から少し垣間見えたように思います」
王女はそれを聞いて解らなくなってきた。細部に心を囚われれば、大本が見えなくなる。
「バロスの民は、自分の王の下では自由ではなかったと言う事ですか?」
「判りません。判りませんが現実は、少なくともバロスの軍隊は彼に従っている……ですが……我らのディオニシス王の居られるリングレントではバロスのようにはいきません。ディオニシス王は国の民を大事にしている。それを一番に分かっているのはリングレントの民自身ですから」
王女のよく知る国というものは自分のリングレントと隣国ルガリアードだけだ。王女の思う事はルガリアードでも通用する。王は民を守るためにある。それが当たり前だと思っていたのだが、国によっては上に立つ者により随分と様子が違うのだろう。
学び分かっていた事ではあるが、実感したのは今が初めてである。
それにゼファールの事は、王女の気持ちと皆の気持ちの隔たりを感じる。彼に直に接しているのは自分であって、彼らは冷静な視線でゼファールを見ている。自分には見えていない物が彼等には見えているとも言える。
王女は口を開いた。
「今一度、自分の考えを纏めて置きたいものですね。考えなくてはならない事がこの五日の間だけでも多くあります。王都には何と言うべきか……」
エリスロットはそれを聞き少し心配そうに王女を見た。
「出来る事なら、姫はゼファール王に染まらずにいて貰いたいと……私の我儘なのかもしれませんが……」
エリスロットの瞳の中に、樹木に登り謹慎中の王女を見に来た子供の頃の彼を見た気がした。王女は安心させるようにエリスロットにニコッと笑い掛けた。
「染まる事はありません。私は父の娘ですから、父の遣り方が一番良いと言う事を知っています。ですが、ゼファール様からも学ぶ事はありそうだとも思うのです」
柔軟である事、それは大切だと父も母も言っていた。素直に相手を認める事は自分の成長に繋がるという。そう思っていると、イリスが王女を見据えて小さく呟いた。
「……そうか……だから姫様が必要なのだ……」
いつも冷静なイリスに珍しく、自分自身が考えた事に驚いたようにも見える。
「イリス? 何ですか?」
イリスは慌てて口元に手をやり目線を落とした。そして暫く考えた後、顔を上げた。
「突然ゼファール王が姫様を嫁に欲しいと言って来た理由です。彼はリングレントの情報をとてもよく知っているのではないでしょうか?」
「えっ?……どういうことですか?」
王女は少し怯えるようにイリスを見た。そこは考えていなかった。
「つまりこういう事です。自らが侵略した他の国の場合、国の王と民の間に隔たりがあったのではないでしょうか。彼はそこを突いた。自分に着けば自由になれると……そうだ……きっとそうです。だから王に不満を持っていたバロスの民とその中心の軍は動かない。貴族達も我が身可愛さに、それに付随した」
イリスは言葉を止め、暫く考えた後また話し出した。
「しかし、我々リングレントとルガリアードはディオニシス王とラディウス王が居る。この二人の王は国の民を大事にしている。民に慕われている王を排するとゼファールは民から怨みを持たれる。そうなると本当の意味で侵略した国を我がものには出来ない……だから姫様との婚姻を望んだ。リングレントを手中にすれば、今まで通りルガリアードとの関係も壊さずに利用できる。この辺りの地域一帯を手中に入れたも同じ……そして、ルガリアードには姫が居ない。だから先にリングレントだったのだ」
王女は聞いているうちに気分が悪くなってきた。エリスロットもリリーもマーレットも他の者も言葉を発しない。
「我々には時間を稼ぐ理由があります。でもゼファール王も同じく時間が必要だった。この砦で時間を稼ぐ事、それは姫様との仲を確実なものにしようと思っていたからではないだろうか? イヤイヤ結ばれるのでは姫様の支持を得られず、己の思いを遂げる事は出来ない。自分を実際に愛し支え確かな夫婦になる事を望み、あのような誠実さを見せつけた。実際、姫様はゼファール王を悪い人ではないと思い始めている……彼は相当の策略家で自信家に思える。彼の狙いは姫様の心を自分に向けさせること、そこなのでは?」
「姫の心の鎧を剥いでいく……つまりはそう言う事か……」
「彼の見せる誠意は計算尽くである可能性が高い。我々の気性も知っているのであろう」
王女の脳裏に先程見たゼファールの優しい笑みが浮かんだ。そうではないと思いたい自分がいるのも事実だが、イリスの言葉はいちいち本質を突いているように思える。
人の欺き方や思惑には様々あるものだが、ゼファールのそれは俄かには信じ難い。内側からジワジワと侵食して手中に収めて行くやり方だったのだ。
王女は身震いした。これはどうすれば良いのだろう。もし今、イリスが気付いていなければ、自分は良い夫婦になろうと努力したかもしれない。リングレントが彼のものになる事に疑いもなく協力したかもしれないのだ。
気付いた今なら理解が出来る。初めに会った時のあの一抹の底知れない不気味さと観察されているような視線。あれは正に王女の心の内を観察していたのだ。王女の表情や微妙な呼吸や目線や仕草、彼の言葉に反応する王女の様子を確認し、自分を受け入れているのかどうか……それを観察していたのだ。
それにこのリングレントの言葉を流暢に話す事も……王女とのコミュニケーションを取るのを確実にしたいがため……全てが腑に落ちた。
王女は体が強張って行くような感覚に陥った。今すぐこの砦を出て行きたい心境に駆られた。やはりゼファールは自分のような小娘では太刀打ち出来ない。それをまざまざと実感した。空恐ろしい何かに纏わり付かれているような感覚がある。
「……この事をリングレントに知らせましょう……そして出来るなら、姫を安全な場所へ移したい。それを含め報告しましょう」
エリスロットが静かに言った。
ぜファールの本心は……